皿洗いブルーからの脱却
ミングルを作るとき、条件のひとつに入れたのは、食洗機だった。
片付け嫌いな私は、食事の後の片付けの気の重さには悩まされ続けていた。作って食べているときはご機嫌なのだが、ごちそうさまの途端に憂鬱になる。まさに皿洗いブルー。
ミングルの片付けオペレーション
ミングルでは「作って、食べて、片づける」を最小限の動線でやりたいということから、テーブルの下に食洗機を入れた。
ミングルの片付けを図にするとこうなる。赤が私、青が夫、黄色が食器の流れ。
食べ終わると、私が夫の側に食器を寄せる①。すると夫は座ったまま、そこにある水道で大きな汚れをさっと水で流す②。その食器を私が引き出した食洗機に次々入れる。洗剤を入れてふたをしめ、スタートボタンを押す③。サッカーでいうところのパス&ゴー。
私が食洗機のセットをしている間に、夫は卓上の調味料を冷蔵庫に片づけたり台を拭いたり。正真正銘これでおしまい、あとは食洗機が洗って乾燥までしてくれる。まさにワンツーからの鮮やかなゴールという感じだ。
皿洗いはきわめて小さな輪の中で行われる。食洗機の導入も大きいが、とにかく動線の短さによってそのハードルがぐっと下がった。
作業場と食卓の距離は心理面での起動性に大きく関わる。そしてこの「起動」こそが、片付けの最も大きなポイントだと思う。食事することで(飲んじゃったりもして)すっかりくつろいだ体と心を、再起動させるのは結構大変なことだからだ。
はじめての食洗機に子供と化した私
それにしても食洗機。人によっては「使いにくい」「あまりきれいに洗い上がらない」「場所をとる」などという不満が出ていたので、それほど期待していなかったのだが、実際には昭和の主婦が初めて洗濯機を使ったときもこうだったのではないかと思うほど、感動した。
軽い食事なら鍋もボウルも全部入る。私が洗うと汚れや油が落ちきれていなかったりするが、食洗機は熱で汚れを溶かすので油汚れはほぼパーフェクト。グラスも曇りなく仕上がって、最初のうちは汚れてもいない家の食器を食洗機に次々かけてみた。子供か。
使い始めてたった1日で、私は食洗機がなければ生きていけない人間になってしまった。
お客さんが来て結構な枚数の皿を使っても、大体入る。
ぴかぴか。
食洗機を組み込まなければデザインの制限も少なく値段も安価に仕上がったのだけれど、入れて正解だった。マシンひとつで、こんなにも晴れやかに食事を終えることができるなんて。
それは「困りごとを解決した」というよりは「幸せが生み出された」という感覚だった。食事そのものが楽しくなったから。
道具のメリットは常にその人の求めるものとの関係性の上にある
食洗機がダメという人の言葉を再度ふりかえる。たしかに、たんぱく質など固まったこびりつきには弱いし、よくよく見ると、水跡が残っていたりすることもある。つまりこうなんだと思う。
丁寧な手洗い>食洗機>>>雑な手洗い
本当に料理ができない人だと買った惣菜のほうがおいしく感じるのだけれど、料理がある程度できる人にとっては買ってきたものより手作りがおいしいと思うのと似ているかもしれない。つまり、求める&できるレベルによる。私は片付けレベルが低いので食洗機で喜べる。
少人数だと一回の食事で回すのはもったいないと思ってしまう、というのも理解できた。何をもったいないと思うかの感覚は極めて個人的なものだけれど、時間の不足、人手不足を解消するためのものだから、こうしたことはどちらの目的をとるかと考えるしかない。
食洗機の普及率は30%に満たないらしい。キッチン周りは家庭によるオペレーションの差が大きいせいもあるからかな。
とはいえ、こういう道具は使ってみるまでわからないということも事実。
食後の後片付けが面倒だなとちょっとでも感じている人は、スペースや金銭的に可能性があるのであれば、無理しても導入してみては。世界も目もひらけると思う。そしてみんなが使えば性能ももっとよくなるはずだ。
あと、賃貸住宅はもう食洗機マストにしてほしい。人の習慣は最初に刷り込まれる。一人暮らしを始めるとき食洗機はデフォルトになっているといい。
ミングルにはパナソニックのビルトインの食洗機が入っています。機種がよかったのかも。柳沢くんがちゃんとミングルに合わせて扉に木の板つけてくれていた。
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。