お魚食べてる?~みんなの魚事情~
先日、アメリカの料理家で『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』の著者キャスリーン・フリンの、新刊プロジェクトイベントに参加しました。
料理を習うことによって女性たちの人生に起こった大きな変化を書いたこの本。日本でもヒットし、キャスリーンの次の本を心待ちにするファンが多数集まっていました。
キャスリーン・フリン。ほがらかで、笑顔の素敵な方です。
彼女が次に狙うテーマは、魚。日本の魚事情を調べるべく来日し、豊洲移転直前の築地や寿司アカデミーなどを取材したそうで、それに関するトークを。その後、会場に集まった人たちに、魚をどう食べているかをキャスリーンが聞く時間がありました。
彼女の本のファンは「料理ができないことに罪悪感を持つ人」あるいはそういう人に共感する人が多いため、話のメインはどちらかといえば「食べなくなった理由」の方向へ。
食べる、食べない、どちらの話も面白かったのですが、イベントでは時間も限られていたので、自分でももっとみんなの魚の話を聞いてみたいと思い、その晩Twitterで投げかけてみました。
このtweetについて、多くのコメントをいただき、なかなか面白かったので、今日は代表的なご意見を見ていきたいと思います。
肉に比べて魚は高い!
真っ先にあがったのが、魚は値段が高くて買えない、という意見。多数の方が魚の値段をハードルと感じています。
確かに、最近はアジやサバ、サケなどの大衆魚でも、そこそこしますよね。ブリやスズキ、タイなどは切り身が2切で6~800円でも安い方。マグロの刺身は1サク1,000円以上します。家族4人となればかなりの値段になる上、肉に比べボリューム感がない。育ち盛りの子のいる家ではとても足りません。
日常に取り入れようとすると、輸入の冷凍魚、干物などの安い魚に頼ることになっていきます。
魚はゴミの処理が困る!
値段が高いとおなじぐらい多かったのが、こちらの意見。魚の内臓をとったり、また食べ終わった魚の頭や骨などをそのまま生ごみの中に入れてしまうと、匂いが気になるというものです。狭く気密性の高い現代家庭では、意識せざるを得ない問題です。
これについては、どう解決しているかと言う意見も多く聞かれました。
このおふたりのように、ゴミの日の前日にしか魚は料理しない、冷凍庫にいれてしまう、という方は多かったです。スーパーは、周囲の住宅地のゴミの日を把握すると売れる日が把握できるってことでしょうが、まあ、商売柄きっとそうしていますよね。
あ、キャスリーンはこんな話も。
鮮度が落ちやすい(保存しづらい)
冷蔵庫つながりで言うと、鮮度が落ちやすいというのも、魚が買いにくい理由のひとつになっています。
これは、働いている人の多い現代では、結構大きな問題ですよね。お魚は、肉より鮮度が気になるっていうのも、あります。これを解決するために、干物や漬け魚、冷凍などの技術があり、それぞれにおいしいとは思うのですが、やはり生魚信仰が強いのかなという気もします。
さばけない、うまく料理できない
ゴミがどうというより、そもそも魚をさばいたり、上手に調理することができない。切り身になっていても、身が崩れやすく扱いがデリケート。
煮魚、焼き魚、お刺身のような和食よりも、揚げ物や洋風のソテー、中華風に味付けするほうがうまくいく、というのは普段食べ慣れているもののイメージもあるのかもしれませんね。
また、魚をさばくのはお店にまかせる!という人は多いです。スーパーでも頼めばやってくれるそうなので、これはどんどん使いたいサービスです。
学校の家庭科では、魚のさばき方を教えるところは少ないですし(地域によってはあるようです)、魚についての正しい知識や技術を得る機会を持てる人は、希少だと思います。先にあげたように、魚は値段も高いので、数をさばいて慣れることもなかなかしづらい。
さて、魚をさばくことについて、ちょっと気になったのがこちらの発言。
このツイート通り、切り身の魚使って何が問題なのかと思いますが、魚をおろせないことにコンプレックスを持つ人はいるし、そういうことを言う人もいるのでしょう。
社会的な価値観のほかに、日本人が魚の味に厳しいこともありそうです。おろしたてがおいしいと知っていて、料理する人につい求めてしまうんですね、きっと。
もちろん、自分で魚をさばきます!という人もちらほらといました。
家族に釣り人がいると、魚をさばくのは上手になるようです(笑)
ただ、丸から魚をさばくことが一般的とまではいえず、現代家庭においてはホビーになりつつあるようです。
魚って、買い方もむずかしい
考えてみれば当然のことなのですが、国内でも地域によって、食べられているものにかなり違いがあります。引っ越しなどでまったく違う魚文化に触れる人もいます。
内陸はやはり新鮮な魚より漬け魚などを食べていたのでしょうか。現代では道路も整備され内陸でも新鮮な魚も手に入りやすくはなったと思いますが、食習慣は簡単には変わらないものかもしれません。
輸送技術が発達して、全国の魚が手に入る時代。扱いの似た肉と違い、魚には旬もあり、それぞれにさばき方や食べ方も違います。選択できる魚の種類が増え、どれを選択すれば良いかわからない、ということも多いのではないでしょうか。
魚を取りまく環境の変化
漁業環境も、悪化しています。
漁獲量が減っているということはもうここしばらく言われていることですが、小さくなっている、というのは気が付きませんでした。
原発事故に限らず、海の環境問題が、魚の生態系に影響を与えている、というご指摘もありました。原発事故当時は、本当によく話題にのぼっていましたよね。
漁業を取り巻く環境については、ツイートではないけれど、以前noteで読んだこの記事が印象に残っています。多くの人は値段が高いと思って魚を食べているけれど、その一方で漁業量は減り、漁業従事者は食べて行けなくなっている。ぜひ読んでみてください。
それ以外の意見
個人的に面白かったのは、これ。
このリプライをもらって気づいたのですが、魚料理は、洋風のものが少ない。インスタ的なスタイリングに、うまくフィットしないようです。アヒージョや、丸魚のグリルなどはインスタ映えすると思いますけどね。
魚を食べない理由はたくさんあるけれど、ほんとうはもっと食べたい
魚って、おいしいですよね。好きな人はたくさんいると思うんです。
家ではなかなか魚を料理しきれないという、いろいろな理由があります。
みんなが魚を食べなくなった原因を突き止めることは確かに、大事です。ただそれは魚を供給する側の問題。食べるわたしたちは、どのみち今の環境は変えられません。
それに、いろんな理由で魚料理ができない人の中にも、魚好きはたくさんいます。Twitterでは、お魚をおいしく食べるアイデアもいくつか出ていました。
簡単な魚料理だってたくさんあります。食べたくなるような楽しい情報をみんなで共有しあって、魚料理の良さを盛り上げていくのがいいんじゃないかと思っています。
それについては、また別の記事で。質問にお答えいただいたみなさま、ありがとうございました。
キャスリーンと記念撮影してもらいました!左は阿古真理さん。
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。