「塩ひとつまみ」ってどれくらい?
Twitterで「#料理のハードル」として、レシピ本で難しく感じる表現を教えてもらったところ、たくさんの投稿をいただきました。中でも多かったのが「計量」に関するもの。今日は迷いがちな「塩ひとつまみ」について説明します。
この写真は、スープ・ラボで塩ひとつまみをつまんでみてくださいとお願いしてやってもらった、みんなの「塩ひとつまみ」。ちなみに、中央が正解です。
ずいぶんな差がありますね。中央は0.9gです。
ここで私の手持ちのレシピ本から、塩ひとつまみがどれくらいか、という部分を抜き出してみます。『レシピの書き方』(実業之日本社)では、「ひとつまみ」は、親指、人差し指、中指の3本の指でつまむくらい。約小さじ1/5とあります。粗塩(天然塩)で約1gです。
ところがもう一冊『覚えておきたい料理の基本123』(扶桑社)では、ひとつまみ=親指、ひとさし指、中指の3本の指でつまんだ量。塩なら小さじ1/4くらい、となっています。約1.2g。
ネット情報も調べました。クックパッドでも、親指、人差し指、中指の3本の指でつまんだ量のことを指す、とあります。約小さじ1/5〜1/4ですが、なぜか重さは約1〜1.5gとなっています。
あれこれ当たってみたところ、どうやら三本指でつまむのは同じですが、計量では小さじ1/8~1/5、グラム数で0.6~1.5gと、かなりの開きがありました。人の指の太さはそれぞれ違うわけですから、そうなることに不思議はありません。(小さじ1は自然塩・天然塩で5g、精製塩・食塩で6g(前出『レシピの書き方』による)。
この差は実際に料理に入れると相当違うんですが、このぐらいの誤差がレシピにはあります。みんなが絶対だと思っているレシピ本は、こういうかなり曖昧な計量に支えられているのです。迷うのは当たり前かもしれません。
量る方法がないものを手の感覚で表現しているという解釈で、塩ひとつまみは1g弱、としておきたいと思います。
こちらは塩について書かれた当時のスープラボ・レポートです。ご興味ある方はどうぞ。
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。