マガジンのカバー画像

興味深いnoteの記事

293
気になった記事を取り置きするマガジンです。
運営しているクリエイター

2020年4月の記事一覧

元祖・戦うお姫様に女子の中二病をくすぐられて悶える|氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』|monokaki編集部

6月1日(土)今月の日記は、まず早稲田・龍善寺からお送りします。エブリスタでは昨年から「氷室冴子青春文学賞」に特別協力していますが、今日は氷室冴子さんを偲ぶ、年に一度の藤花忌。今年で11回目となる「氷室冴子を偲ぶ会」は、同賞の審査員でもある久美沙織さん・柚木麻子さんをはじめ錚々たる作家の皆さま、氷室さんの同級生の方々、そして氷室作品のファンが集まり、ひとつの和室で氷室さんにまつわる思い出を語り合う温かい会でした。 私と氷室冴子作品との出会いは、中学校の教室で回し読みされてい

物書きのための校正教室|逢坂千紘

 はじめまして、翻訳者・校正者・小説家の逢坂千紘(あいさかちひろ)です。今回は、文字やことばをシビアに見直す「校正」という作業について、創作とからめて話したいと思います。どうぞ、よろしくお願い致します。  私から伝えたいことはひとつです。原稿、キレイにしませんか?――たった、これだけです。  編集者に見せる企画書や原稿、そのままウェブなどを通じて読者に見せる作品、それをもっとキレイに仕上げることができたら、見るひとの反応も変わります。特にたくさんの原稿が送り込まれてくる「

「売れるもの」と「自分の得意・不得意」のバランス|二軒目〔後編〕|黒澤広尚

『創作居酒屋』そこは編集者・作家・書店員・漫画家・イラストレーター・サイト運営者・読者など分け隔てなく、書籍業界にかかわる人々が集まり、創作論を語り合う居酒屋である。 どうも皆様お疲れ様です。 5月も終わり、これからいよいよ夏本番ですね。2019年がもう半分経過しようとしているという事実を受け入れにくい黒澤です。 この半年間、ニュースもいろいろありましたが、Web小説業界では「LINEノベル」「ノベマ」「ノベルアッププラス」「セルバンテス」等、この半年で新サービスが数多く

純文学はWebにアップするべき?老舗新人賞に送るべき?|monokaki編集部

小説作品が誕生する場として、投稿サイトはすでに非常に大きな存在になっています。ライトノベル的な作品(という定義もいろいろなのでしょうが)を手がける編集者は、エブリスタさんほか各サイトのパトロールを熱心にやっているはずです。この流れは今後、たとえば純文学的な作品にも拡がってゆくのでしょうか? 前回に引き続き、新潮社「yom yom」編集長の西村博一さんに答えてもらいました! 投稿サイトに純文学作品が少ない理由【質問】 純文学に近い路線で商業作家を目指しています。ですが、新人

女たちにとっての「自由」と「エコノミー」|角田光代と桐野夏生|仲俣暁生

 「平成」という時代を象徴する言葉の一つとして、「失われた○○年」というものがある。昭和末期に最高潮に達したバブル経済が破綻し、その後、現在に至るまで続く長いデフレと不況の時代を指す言葉だ。この時代に失われたものは、日本社会の経済的繁栄だけではない。個人の内面にかかわること、たとえば変化を怖れない勇気だったり、自由に生きることへの希望などもまた、この長い停滞の時代に失われたような気がする。  そんな時代に、長い時間をかけて独自の世界を築き上げてきた二人の女性の小説家を今回は

苔を買ってみた話

大阪へ行ったときに、この前から気になっていたお店に立ち寄った。 苔や石などがちりばめられた色々な形の容器が、店内に所狭しと並ぶ。苔テラリウムといって、小さなスペースで簡単に育てれることもあって最近流行っているそう。まるで小人でも住んでいるかのようなミニマルな自然の世界が広がっている。静かに流れる水の音や、澄んだ空気も感じられて、お店にいるのも心地がいい。 できあがっている作品だけではなくて、自分で作るキットも取り扱っていて、ワークショップなども開催されている。 何十種類