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私の読書●小説家志望の読書日記

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日々の読書の感想・雑記です。 お気軽に覗いていただければ幸いです。
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#東野圭吾

私の読書●小説家志望の読書日記⑮ 東野圭吾『プラチナデータ』

東野圭吾『プラチナデータ』読了。 最初は遺伝子(DNA)論のような方向にいくのかと思っていたのですが、それ自体には踏み込んではいませんでした。 それはともかく、やや、二つのテーマが絡み合わずに併存してしまったような印象があります。もちろんそれでも十分に興味深かったのですが、この作家ならもう少し深掘りできたのではないかという気がします。 (私の捉えた二つのテーマとは、DNAデータの国家管理という問題と、二重人格である主人公の、トラウマの底にある陶芸家だった父親の自殺、そこ

私の読書●小説家志望の読書日記⑪馳星周『長恨歌』(『不夜城』三部作完結編)

 馳星周『長恨歌』読了。  結果的に三部作となった『不夜城』シリーズの完結編。  面白く、読みごたえがあったけれど、読まなければよかったという気持ちも半分。完結してほしくなかった。  本作は、前二作、とりわけ二作目の『鎮魂歌』とはかなり趣を異にしている。文体も明らかに異なるが、何といっても、『鎮魂歌』のようなグロさがない。依然中国人黒社会の話ではあるのだが、どちらかというと心理戦に重きが置かれている。そして、まさかの結末。ちょっと喪失感。なぜか、エミリー・ブロンテ『嵐が

私の読書●小説家志望の読書日記⑩大沢在昌『売れる作家の全技術』・東野圭吾『容疑者Xの献身』

 大沢在昌『売れる作家の全技術』(角川文庫)によると、「どうすれば読者の記憶に残るような魅力的なキャラクターを作れるようになるのか。大事なことは一つしかありません。『観察』です。『人間ウォッチング』、それしかない。……会社や職場、あるいは通勤電車で見かける人たちを、想像しながら観察してください。いつも同じような服装か、本を読んでいるか、音楽を聴いているか、どんな仕事をしているんだろう、家族はいるのか、一人暮らしか……」。  読んでいて、思い出すものがある。  東野圭吾『容疑