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【雑木林】生物たちのドラマと自然を届けるコラム

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生物や環境問題をネタにしたショートコラム集です。生物たちの意外な一面をユーモアを交えて紹介したり、環境問題をより身近に感じてもらったりするためのコラムです。誰にでも親しみやすく、…
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#自然保護

守るために何もしないということ

 「ここはとてもきれいなところですから、あなたは来ないで下さい」  沖縄県の「やんばるの森」が世界遺産登録目前で注目を集める中、とある雑誌の記事に掲載されていた言葉である。  この言葉は、沖縄北部に残された雄大な自然を目にしたフォトグラファーからのメッセージであった。私がこの言葉に出会ったとき、少し複雑な気持ちになった。きれいな自然があるなら、私だって訪れたい。しかし、この言葉は真実である。  産業革命以来、人類の開発行為によって地球上の自然は多くが失われ、今もなお危機

地球を壊すカバ

 地球を壊すカバがいる。ただし、——なぞなぞのようであるが、―—カバはカバでも普通のカバではない。カバの正体は、地球の生物多様性を減少させる要因を、その破壊性の強さの順に並べたときの頭文字である。生息地(Habitat)の消滅、侵略種(Invasive species)によるかく乱、汚染(Pollution)による環境破壊、人間の過剰人口(Population)、そして過剰収穫(Overharvesting)。これら5つの頭文字を並べると、HIPPO(カバ)になる。 *