【家族のことを書く】待てど暮らせど

ゆるい兄と妹の関係

 兄は地元を離れたところで働いている。兄もわたしも独身なのでお互い保証人や受け取り人が必要なときに連絡を取っている。日本は家父長制度というか家制度がまだ残っているので親族がいないと不便なことが時々起こる。そんなときは兄妹で助け合う、そんなゆるい関係性が気に入っている。

兄は独立して自分の店を開くらしい

 今月でいまの職場を離れ、自分の店を開業するらしい。カフェなのかレストランなのか不明だが、居心地のいいこじんまりとしてお店だろうな、と勝手に想像しているがおそらく間違いはない。

ゲイなのか?疑惑

 母が30歳を越えても結婚しない兄に「あんた、ゲイなの?別にゲイでもいいのよ。心の準備をするから」と電話で聞いたことがあった。あのとき兄がゲイだと言っていたら母はどうしていたのだろう。リベラルを気取っていたけれど近所の北朝鮮にルーツをもつ家族や沖縄出身者に偏見をもってた母のことだからうろたえて病院さがしとかしていただろう。同じようにわたしは知人から「もしかしてレズ?」と酔った勢いで聞かれたことがある。40近くになって未婚でいると不倫か同性愛者と思うらしい。わたしが同性愛者だったとしたら、このひとは態度をどう変えるのか、とふと思った。もしわたしが同性愛者だったら酔った勢いで性的嗜好を聞いてくる奴を無礼と思うのに加えて傷ついていただろう。かくゆうわたしも猫シッターをしていたころ、ずっと異性愛者として育ってきたが同性に惹かれることに気づき、生きるの死ぬのと苦しんでいたひとを知ることがなかったら、性的少数者の苦しみを身近に感じることはなかった。気づくようになると身近に一定数いて、そのひとたちに偏見をもっていたり、嘲笑するひとたちの存在も見えるようになった。

50歳を過ぎると何も言われない

 いまは独身でいても何も言われない。実家を離れたので母のイヤミも泣き言も聞こえてこない。ただこれからやってくる「母の日」と「父の日」はちょっと気をつけないと「自分は冷たいんじゃないか」と自責の念が浮かんでくる。決して冷たくはない。いままでの母の日と父の日の彼らのリアクションを思い出せ、とも言いたいが、それもしたくない。どうすればスルーできるのか。とりあえず柏餅が好きなのでこどもの日はこしあん、つぶあんの両方を食べることにする。


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