#1 すきなひとに、謝ったりなんかしない。
やっぱり、オノ・ヨーコの言った通りで、
海に落ちたどんなに小さな砂も虫も、
世界中の海に影響を与えるのだと思った。
それは、確かに生きる意味なのかもしれない。
とてもすきなひとがいて、
でもずっとずっと秘密にしていて、
そのひとへの、すき、という気持ちに全身で浸かってぷかぷか浮いていた。
前にその人にこんな風なことを言ったことがあって。
「忙しかったり、目の前のことでいっぱいいっぱいになったりしてしまっている時、誰もいない海でぼんやり浮き輪で浮かんでぼ〜っとしてたくなる。そんなことしたことはないけれど、でもそんな光景がいつも頭に浮かぶ」
今思えば、わたしのそのひとへのすき、は正にこんな感じだったなあ。不純な気持ちとか、下心とか、そういうのが全くないとかいう訳ではないんだけど。
なんかこう、騒々しい都会を遠く離れた場所で、自分のパリパリしたもの(一般の会社員で言うスーツみたいな)を脱いで、ぽや〜んとしている感じね。
日常の中にそういう時間が、空間があること、
とても大切だなあって思う。
このままひっそりとそれを守り続けることもできたんだと思うけど、気持ちが溢れてしまって、自分の中だけでこの気持ちを持ち続けるのが難しくなったから、伝えるほかなかった。
秘密の終着点だった。
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