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ブレイキング・ザ・コード

何してるんだよって話ですけど、観劇して感想を溜めてたのをちょっとづつ出さないと死にそうになってるの。

ブレイキング・ザ・コード

これすっごかった。第2次世界大戦中に、ドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読したイギリスの天才数学者、アランチューリングのお話

16歳でアインシュタインの理論を理解し、プログラム内蔵式コンピューターを考案したり、エニグマの解読をしたことで有名なチューリングさんは、戦争後、同性愛行為によって逮捕されて女性ホルモン注射を投与され、その2年後には青酸中毒で亡くなるというかなりしんどい人生を過ごしてきてるの。

チューリングの数学者としての凄みと、社会の中で生きずらさを感じながら生きる1人の男性だったってことが、一つの物語の中に螺旋のように共存していて、ぐいぐい引き込まれちゃった。

AIやプログラムについて、目をキラキラさせながら話すチューリングに、こちらもワクワクしちゃう。話している内容はかなり難しいプログラミングの話なんだけど、小田島創志さんの訳が音楽的で、旋律を持ってるみたいに自然に聞けちゃう。チューリング役の亀田佳明さんの、どんどん自分の説明が楽しくなってきちゃって声が高く、早口になる研究者らしさに、等身大のチューリングを感じたの。オタクって古今東西分野に関わらずこういう話し方するよね。

吃音があって、吃音が出たり出なかったりするのも、表現に必要な限りで自然だったの。

チューリングが魅力的だなって思った男の子に対して、変に媚びちゃう感じや、おどおどしちゃうの。いつでも自分と社会との間に薄い幕が張ってる感じもすごくよくわかる。

私にはこんなに能力はないけど、チューリングが抱えてた生きづらさの一部は私も持ってるなって思いながら見てたの。

チューリングの相手になった男性で、性的に魅力的で頭が悪い、アルファメールって感じの人を水田航生さんが演じてらしたんだけど、ピッタリ本当に魅力的だし、暴力的。

チューリングのお母さんの保坂知寿さんも、息子を心配するお母さんがピッタリで、悲しくなったりウザくなったり。

この作品の初演が1982年だってことにまず持ってびっくりなの。チューリング、台詞の中でAIの説明してるんだもん。今の私たちだったらチャットGPTに触れたりしてわかることも増えてるけど、これを1982年にかけたこともすごいし、観たお客さんもすっごい。

やっと時代が追いついた感じがするな。

文学座の演出家の方が演出されてたんだけど、面白いの。時系列が、あっちに行ったりこっちに行ったり、過去と未来を飛び飛びになりながら物語が進むんだけど、どうしてか混乱せず、いつのお話かがわかるの。どうしてかな。不思議だった。ほぼ同じセットで、前の場面に使ったキーとなる小道具をそのまま舞台上に置きざってお話が進んでいくの。それも面白かった。前の場面で地面に置いた本を拾い上げてみたり。
舞台上で不自然に立ったまま話したり、座ったり、床にピクニックみたいにしたり、高さがどんどん変わるのも、目線が動いてドキドキした。あっっっっというまの3時間弱だったの。

流石のネタバレ大魔神の私でも、最後の場面をネタバレはしないでおこうと思うの。でも、最後の場面のチューリングの目がすごく印象的だった。強い意志を感じた。最後、めちゃくちゃお気に入りの場面。

また見たいなあ。。。。。

ところで、パレードといい、蜘蛛女のキスといい、舞台上の床に布を敷いてピクニックごっこをするとその後ろくなことが起きないのよ。今回もそうじゃーーん!ピクニック、恐怖!!

さて、今から真面目に寝落ちするまで仕事します!!!

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