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SMOKE

SMOKEみてきたの。
なんか、公演中止やら色々で、お芝居を見ることに疲弊しちゃっているような気がしたけど、やっぱり劇場で、物語の世界が始まったら、お椅子が硬かろうがちょっと寒かろうが、もう、わたしは世界から守られてた。絶対に外界から安全な100分。

そして、SMOKEの物語に背中を押されて、自分の選択や頑張りや失敗しちゃったなっていう後悔も、全部ひっくるめてそれでいいよって言ってもらえた気がして劇場を後にしました。本当にありがとうなの。外は雪で現時点で無事帰れるかも不明だけど、200%みに行って良かった!!

胸を病んでいる作家が「自分の最後の日は自分で決める」と決意してるところからお話しが始まるの。

純粋な印象の海(日野真一郎さん)と、作家の超(戸井勝海さん!!)は、身代金をとって海に行くんだって、ある女性を人質にとるの。紅(MARIA-Eちゃん)っていう女の人。

超が外に出てる間に紅は海にお話しを語って聞かせるの。貧しくて家族に恵まれなかった男の子は、自分の愛情、寂しさ、憎しみを全部包んで胸に抱えてたのだけど、包みが胸を押しつぶすから包みを置いていってしまったと。

超が帰ってきて、紅と超はお互いに知ってることがわかる。そして、だんだん3人の共通点が浮き上がってくる。
3人とも激しい咳をする。。。
超は縦書きの文章を左から右に書く。
海は普通通り右から左。

鏡の中に閉じ込められた超、感情を両手にいっぱい抱えた紅、2人はピストルで打たれても死ねないの。

日本の検閲官に削除を命令され、取り調べを受けながら狂人として創作することに疲弊して、命を断つ場所を探す1人の作家の、感情と魂を引き剥がされ、鏡の中に押し込められるようなくるしみや、それでも感情に書くことを求められ、鏡の中の自分に生き続けることを求められる、束の間の眠りに、一緒に潜り込んだ100分だったの。

1937年に27歳だった、韓国の作家のお話しだったから、ちょうど生まれた年から日本の占領統治が始まった人だよね。歴史的なことを考えると占領側の国のわたし達と占領された国の作家で、簡単に共感してはいけないのかなとも思いつつ、

この物語はきっと、誰にとっても「わたしのお話し」だろうなと思うの。個人的な、大事な自分の中心部分に寄り添ってもらって、自分がしてきた選択やしてこなかった選択を、それでもいいよって背中を押してくれるような作品だったな。

わたしがずっと気にかけてる、海みたいな子にもSMOKEみせてあげたいなと思った。彼も感情を持て余して、全部包んでどっかに置いてこうとしたり忘れたふりをするのを、その包みを持って追っかけ回すようなことを今もしているのだけど、この作品が彼を慰撫してあげられるんじゃないかなって初めて思いました。

嫌がるだろうけど無理やり連れてこうかな。
彼にとっての「僕の物語」になるといいな。

海の日野真一郎さんの無垢な感じや、作家としての苦悩に感情移入してずっと応援したし、
MARIA-Eさんの、全ての感情をひっくるめて渡そうとする必死さや愛情に心を掴まれたし、
超の戸井勝海さんの死にたいほど苦しむ自分を見ている、苦しさや、心配や、愛情を込めた眼差しが、こちらも苦しかった

ほんっと素敵な3人だった。
戸井さんの慈愛に満ちた眼差しよ。。。
あと声がぴったり!!戸井さんの若々しいエッジのある声と、日野さんの伸びやかな丸みのあるこえと、パワフルで包容力にあるいーちゃんの声が合わさって、1人の人の魂の声だった!!

ほんと素敵だった。

ただ、ところどころ戸井さんの顔が良すぎて、なんかもうカッコ良すぎてみてられなくて、心臓が口から出てった。あんなにかっこいい顔でお酒とか煽られたらもうなんか声出る。必死で押し殺したけども。。。。


はーーーーーーーーーかっこよかった。
毎度のことですが神様戸井勝海さんをこの世におつかわしくださりありがとうございます。

最後オタクの叫びで台無しだけど、本当に素敵な、わたしの物語だったの。雪でおうちかえれるか不明だけど、後悔はないわ!!!



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