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DogFight 等身大のしんどさ

ドッグファイト見てきたの。初演再演は視界が赤くなるほどカッとしながら見たの覚えてるの。

ベトナム戦争直前のアメリカ。

まだ13週間の訓練を終えたばかりの若い海兵隊員が、沖縄それからベトナムに送られる前夜のお話。

まだ21歳の若い海兵隊員エディーバードレイス(屋良さん)、多分もうちょっと若くてまっすぐでみんなに可愛がられてるディッキーバーンスタイン(大久保祥太郎さん)と、ちょっとお兄さんで、世間を良くも悪くも知ってるラルフィボーランド(藤岡正明さん)の三人は、イニシャルがBってつながりでなかよしで、スリービーズなんて名前を自分たちにつけて命を共にしようって誓ってるの。

なんにも知らなくて何にも知らされてなくて、「常に忠実たれ」って言うモットーと自分は海兵隊員であるって言うプライドと引け目を一緒くたにして、ぎゅううって緊張して出兵前最後の夜を過ごしているの。

そこで、パーティに1番ブスな子を連れてきた人が賞金をもらうっていう賭けをして、面白おかしく、ブスな子を探そうとするの。

エディは太った食堂の娘ローズ(昆夏美さん)を連れて行こうと口説いて、ローズはパーティに誘われたことに舞い上がってピンクのドレスにおてもやんみたいチーク入れていそいそ行っちゃう。

美人でクラスの中心人物みたいな人はいざ知らず、私もそうだしなんていうかパッとしない女子はみんなこういう経験あるじゃない?褒められて舞い上がって叩き落とされちゃうみたいな。

なんかそういう経験が急にフラッシュバックして、危うく舞台に上がりそうになりました。「そのピンクのドレスだけはきちゃダメ!!あとチークは控えめに!!どれだけメイクしたように見えないかが勝負なのぉお!!!」って言いにいきそうになったし、海兵隊員3人組に「さいってい!!どんなに歌上手いからってダンス上手だからって可愛い顔してるからって許されないことがあるのよ!!」「たしかにいつかはさいこうだったしマーキューシオはかっこよかったけど絶許!!」って胸ぐら掴みにいきそうになりました。舞台に上がらなくてえらい!!自分で自分の理性を褒めてあげたいです。

でも、「明日からのこと」への不安を「凱旋パレードをしてもらえる」って奮い立たせて、訳のわからないまま娼館で童貞を捨てて、お揃いのタトゥを入れて死ぬときは一緒だって誓う、何も知らされていない20そこそこの兵隊さんのこと、その子たちが今後経験する、我々が知っているベトナム戦争と帰還後の対応を考えると、この子達、この新兵さんたちを守れなかった大人たちの罪科を考えちゃうよね。

そして、物語の初めにただの「ブス」としてパーティに誘われたローズが、海兵隊エディの幼さを拾って愛して助けてくれるの。ローズはベトナムが内戦中だってことを知っていたから、エディたちのその後も想像できてたんだろうな。ローズの昆夏美さんが純朴で理知的で、なんというか、愛さずにはいられなかった!あと歌うっっっっまい!

ベトナム帰還兵の人たちの手記を読んだり報道に接したりすると、整理された戦争被害者としてのベトナム帰還兵の状況を知るけれど、本当は、こういう、軽率で無知で柔らかい子どもたちだったんだろうなって思いました。そうして、周りを傷つけて自分たちを傷つけて、若いままに戦争に行って傷つけられたんだなって。等身大に描かれてる分しんどい。。。

んだけど、とにかく曲がよくて、しかもみんなおうたがうっっまくて、色々ぎゅうってしんどいことがあるんだけど楽しいも最高に楽しいの。

彩乃かなみさん坂元健児さんがほんっと素敵で、、

いったんさかけんさんだけ見る日を作らないと目が足りない。結構な役の数されてるんだけど全部のさかけんさんがさいこう。あ!!さかけんさんの燕尾服ある!!みんな見て!!さかけんさん燕尾だけでドッグファイトの罪を許せる、や、ゆるせない。

屋良さんかっこよかった!髪型「ドツボあたま」が本来悪口なんだけど、こんなに似合うことある?ない!

大久保祥太郎さんの少年と青年の中間の危うさと、ぎゅうううって緊張してるのがわかる娼館での激高が、すごかった。歌わなくてもすごいのに歌うじゃん。そしたらもっとすごい!!それで藤岡さんの擦れた感じが憎たらしくて大嫌い(大好き)藤岡さんの高音ずっと聞いてたいし、大久保さんと一生はもってほしい!!

そうしかもね!!わたしが大好きな弾き振りだったの。ピアノの大隅一菜さんの「ワンッツウ」めっちゃかっこいい。し、あの、空の椅子とテーブル的な歌のときがほんとにかっこよかった。

座ってて足取れそうになったけど、元気になった。でもちゃんともう一回ベトナム戦争について勉強しよって思った。それでサイゴンを迎えるのだ。



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