見果てぬ夢 ラマンチャの男
最後の白鸚さんのラマンチャの男、見てきました。
初演を見た母と一緒に。
母は今大忙しなんです。贔屓の真風涼帆さんが退団するということで、宝塚にかよってます。この間、いつ観劇するの?って聞いたら、「平日マチネ全部!」って言ってました。あー、そういうやつね。
でも、ときどき「真風さんは多分退団しないと思う」って「退団するわけがないわ!」って呟いてて、今から何だか心配です。
友人みんなが「この親にしてこの子あり」という変態ぶり。や、だいぶわたしは薄まってると思うんだけどな。
そんな大忙しの母が見たい!!っていう白鸚さんラマンチャ、初演の時の思い出話を聞きながら開演前
ドブ板通りでおっっきなハンバーガーを3口くらいで食べる母を眺めてました。わたしのハンバーガーは早々に崩壊してフォークとナイフでいただきましたん。元気で何よりです。
ラマンチャの男、ちっちゃな時に見た時の、アルドンサが酷い目にあってるショックが強かったんだけど、これ、それをおいてもすっごくぐっとくるお話しよね。
教会を侮辱したかどで投獄された作家のセルバンテスが、牢名主にドン・キホーテのお話しを語って聴かせるの。
狂気によって自分が遍歴の騎士だと思い込んで、世界の全ての悪を滅ぼそうと、サンチョパンサを連れて遍歴の旅に出て、大きな風車に向かって行くの。
哀れなお爺さんだと、そう思ってみはじめるのに、「見果てぬ夢」で、道は極め難く腕は疲れ果つとも遠き星をめざして我は歩み続けんって歌に圧倒されて、わたしたちも、牢名主たちも、ドン・キホーテの正義に説得されちゃう。
真剣で真摯で、ひたむきなドン・キホーテに同情じゃなくて心打たれちゃう。おつきのサンチョパンサも同じ想いなんだよねきっと。サンチョパンサがうたう、僕はドン・キホーテが大好きなんだって歌が大っ好きで、あの、全幅の信頼を得られたら死んでもいいなって思う。
これから宗教裁判にかけられる(だいたい死刑のやつよね?)セルバンテスが、最後、ドン・キホーテはわたし自身だっていうんだけど、周りから見て滑稽でも、自分にとっての正義を貫くことの美しさに、気づいたら圧倒的号泣。
このセルバンテスさんを白鸚さんが、お話の聞き手となる牢名主を上條恒彦さんがされるんだけど、圧倒的な説得力なの。お芝居の力。
声が出なくても、体が自由じゃなくても、お芝居が心を打つんだって思ったし、まあ泣いた。今までお二人が背負ってきた歴史がものすごい説得力を持って押し寄せてくるよね。
サンチョパンサの駒田一さんの愛嬌っていうか、ドン・キホーテを慕う感じが、ご本人たちとオーバーラップするよね。こそして駒田さんのドン・キホーテ大好きソングが大好き!!
ちなみにドン・キホーテ大好き度合いでは負けてないのがロシナンテ。。。2匹いてかつロバっぽいんだけど。この二匹が最高なの。タップ踏むし、ドン・キホーテの悪口言うやつ絶対許さない姿勢が大好き。
あと、松たか子さんの圧倒的なオーラにほあああってなった。ほんと、圧倒的。白鸚さんを(物理的&精神的に)支えながら、こんな輝き、大好きでしかない。
そして達者な出演者たちが舞台を所狭しと駆け回って、みんなみんな大活躍なの。
見果てぬ夢、白鸚さんは朗々と歌うと言うよりは、台詞のように伝えて歌われたの。あの曲大好きだから、あれから色んな人の見果てぬ夢聞いてるけど、結局ジョシュグローバンより誰よりわたしの中の見果てぬ夢は白鸚さんなのねって思った。
母とパンフを覗きながら
私「染五郎。。。ってあの染五郎?」
母「どの?私が知ってるのは白鸚になったわよ」
私「あれ?その息子が染五郎だったよ?わたしの知る限り」
『うわあー!その息子さんだあ!』
という、タイムスリップした歌舞伎ファンあるあるをひとしきりやって帰りましたん。上條さんも白鸚さんも、お二人ともラマンチャは卒業されてもいつまでも素敵なお芝居みたいな。いつまでもお元気で!!!
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