スリルミー 新納さん田代さん

スリルミー行ってきました。

スリルミーってどなたが演じられるかによって、ストーリーがガラッと変わりません?なんだか毎回「違うお話しみたい!!!」って衝撃を受けて帰る感じがします。

なので、今回は新納さんと田代さんのバージョンの感想!!


あ!!今回のネタバレは本当にすごいネタバレなので!

以下本当にひどくネタバレです。

ところで田代さんって、Story of  my life 前後ですっごく変わらない?
それまでもキラキラでお歌もお上手だし姿形もきれいだし、拝見するのたのしかったけど、SOMLの前後から、お芝居がなんか、バックグラウンドが見える感じの。わかんないけど、思わず感情移入しちゃう感じじゃない?


実際にあったレオポルドとローブ事件をもとにしたお話しなの。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%89%E3%81%A8%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%96)

スリルミーの中では53歳になったレオポルドの独白っていう形で描かれてて、レオポルドが「私」(田代万里生さん)。ローブが「彼」(新納慎也さん)ってなってるの。

知能指数が高くて、飛び級で法学部を卒業した「私」と「彼」はお互いに一番の理解者で、お互いにいびつな形で依存し合ってたの。「私」は、自分こそが「彼」の唯一の理解者だと思ってて、実際に突出して頭のよかった二人は、お互い以外は話が通じないって思って世界は二人きりだったのかなっておもうの。

「彼」は、ニーチェに心酔していて、自分たちを「超人」だと考えて、普通の人とは違うという万能感や、社会・家庭からの疎外感をもってる。「彼」は「私」を試して、しばらく連絡を取らなくしてみたり、「私」以外の恋人がいることをほのめかしてみたりして、反応を見て楽しんでる(や、不安を解消してるのかな?)感じ。

二人にしかわからない、でも強烈なつながりがある感じ。

ところで、最初の方で新納さん「彼」が田代さん「私」にキスするとこ、新納さんが自分の口を開けて見せて田代さんの口を開けさせて、そこにキスするのあれ考えた人だれ!!えっろ!!ノーベル藤田賞あげる!!!

失礼取り乱しました。

「私」は、「彼」の言うことを何でも聞いていたんだけど、ある日、「彼」が「契約書を作ろう」って言い出すの。(ここ、演じる人によって誰が主導っぽく見えるのかが違って見えて面白いの。)二人は、「当事者Aは当事者Bの言うことを何でも聞く。その場合、当事者Bもまた当事者Aの言うことを何でも聞く。」という、契約書を作るの。

(ちなみに、二人は法学部だけど、この条件は典型的な不可能条件で、民法133条1項により無効になります。ごめんだけどもう一回一年生からやりなおそ!ニーチェ読んでる場合じゃないぞ。)


「彼」は、「私」を犯罪に付き合わせて、その代償に「私」を抱いてあげるの。そこから彼の行動はエスカレートしていく。最初は放火を、そのあと窃盗、でもどんどん麻痺していくの。スリルがほしい!!って。最終的に彼は、誘拐殺人を思いつく。

超人である我々に、一般の人たちがかなうわけないっていう、少年時代特有の傲岸さで、完全犯罪をもくろむの。10歳くらいの子をスポーツカーを餌に連れ出して、顔を塩酸で焼いて殺して下水道に投げ込む。身代金目的を装って脅迫状も作るの。

(スポーツカーがだいたい特定されやすいし、怪しさ満点の服装で誘拐しに行くし、背中のあざはそのまんまだし、何もせずに死体を下水道に投げ込んでるし、脅迫状はかすれが出る特徴的なタイプライターで作っちゃうし、ほんと、法学部で何勉強したのさ!!)

そして、「私」は現場にめがねを忘れてしまうの。パニックになる「私」。落ち着かせようとなだめる「彼」。このなだめる「彼」がかっこいいよね。わかるよ「私」!!両手で首元を包むみたいに触られたら、よしっ!!てなるよね。わかるわかる。新納さんあしなっっっっっっっっっっが!!

めがねを足がかりに私が警察に呼ばれると、「彼」は「自分の名前は出さないように」と「私」に伝える。「私」を切って自分は生き延びようとするの。

「私」は、そんな「彼」に、事実を全部伝えると伝えて、警察に事実を話す。そして、「彼」も捕まるの。「私」は警察に事実をすべて話したから、司法取引で「私」だけに執行猶予がつくという選択もあったんだけど、「私」は、「彼」と一緒に通常の裁判にかけられることを選択するの。


二人一緒に99年の実刑判決が下り、二人は同じ刑務所で処遇される見込みだってことを話したあと、「私」は「彼」に、真実を告げる。


彼のために、彼について、彼の指示通りに犯罪に手を染めたとおもってたのは、彼を自分の物にする私の計画のうちだった・・・


なんかでも、田代さんの「私」は、本当に全身で「彼」のことが大好きで、「彼」のことしか見えてなくて、一生懸命に「彼」を愛して、「彼」の一挙手一投足に一喜一憂しているから、観客も思わず感情移入しちゃう。最後のどんでん返しも、そっっか。。。だいっっっすきだったんだね。ってなる。最後、「彼」の死を思い出して泣いちゃうのもかっっわ!ってなる。

新納さんの「彼」は、家族に自分を受け入れてもらえない経験から、人から愛情を受け取ることが不得手で、不安で私の愛を図る感じが切ない。

こういう、少年時代の未発達な、いびつな承認欲求(悪口として流通されてる意味じゃなくて文字通りの意味での)とか愛着とか不安って、それだけ大きなエネルギーだなっておもうの。

新納さん田代さんのスリルミーは、私たちの感覚でも想像ができる、切なさ、焦燥感、一生懸命さがあって、殺人者の気持ちがわかるって変だけど、そのときそのときのお互いの気持ちがすとんとわかって、素敵だった!!!

あと一個本当に思った感想は、みんな、弁護士に過大な期待をしすぎ。

腕のいい弁護士がついたから死刑が無期になるとか普通に言ってるけど、そんな簡単な話じゃないから!!!弁護士は、無期になるべき事件が死刑になりそうなときに無期にとどめるだけで、死刑になるべき事件を無期にはできないからね!!!

あとこれは最初っから死刑事案ではないと思いますん。



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