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ヴァグラント!!!

ヴァグラント、初日観てきました。
これはあれです。すごいもの見ちゃった

物語の舞台は炭鉱。時代は米騒動の頃。
炭鉱の働き手たちが、危険な労働環境と安すぎるお給料に不満を爆発させてる。10年前に何人もの死者を出した炭鉱事故の記憶もまだまだ生々しい。
労働者のリーダー(上口耕平さん)と、炭鉱を経営する会社の、父親に逆らえない若き二代目社長(水田航生さん)と、会社の私設警備隊の隊長(小南満佑子さん)はもともと幼馴染で、この土地(ヤマ)をよくしたいと誓い合った仲なんだけど、お互いの立場で動くのでいっぱいいっぱいになってるの。それぞれの立場の違いからすれ違うけれど、ヤマのみんなを幸せにしたい気持ちはおんなじで。。。

こういう設定って昔からなん度も語られてきた物語だと思うんだけど、この物語にはそこに「まれびと」っていう芸能の民で、お祝い事や不幸があるときに歌や踊りを奉納する人たちが出てくるの。まれびとは不浄の民として、普通の人たちとの接触を制限されてる。歌い踊るまれびとの美弥るりか様と平間壮一さんは華やかでかっこいいの。みやさん、もう何らかの魔力を持ってるというのも納得な華やかさかっこよさ。みやさんに触られるなら寿命くらい縮んでもいいわ!

この、まれびとの左之助が、本来は触れてはいけないっていうラインを超えて、このヤマの人たちを知ろうとするの。コミュニティの外から見た自由な視点で、本当に復讐がやらなきゃいけないことなの?って疑問を投げかけたり、大きな亀裂になりそうな場面で身を挺してヤマの人たちを救ってくれる。対立構造の外(下)に、その対立構造を見上げる立場があるっていうのがすごく新鮮だったし、まれびとの存在が単純な対立構造を、いったん解いてほぐして人と人との個人的なつながりの物語に導いてくれた。

ハレとケの感覚や、日本人古来の死生観、人生の節目に立ち会って句読点を打つまれびとの、人との関わり方がすごく日本的だし新しい視点だった。

会社と炭鉱夫たちの対立構造っていう簡単な話じゃなくて、それぞれの人物に丁寧にズームインして関係性や心情を理解できるかんじ、一人ひとりの登場人物に寄り添って応援して物語の行き末を見守る感じが、すごくすき。

板垣さんの、最後フィクションだったとしてもちゃんとハッピーエンドの方向性をくれるストーリーテラーとしての優しさ、すっごく好きなの。
でも、ご都合主義の大団円じゃなくて、みんながそれぞれの苦しさや難しい立場をしっかりわかってその上に立って、それでも互いに手を取り合おうとする気持ちにぐっっときちゃう。

ポルノグラフィティの新藤晴一さんのプロデュース、作曲で、曲にぐいぐい引っ張られて、暗めのテーマなのに終始心がわくわくしてる感じなの。あのグルーブ感、疾走感、一体感。すっっっっごい。

登場人物の一人一人に至るまで、通し役がついていて、それぞれの物語が最後まで追えるのもすてき。
実力派がこれでもかこれでもかと出てきて、なんか、豪華すぎるよ。

物語の最後にお祭りのシーンが来て、高揚した気持ちと音楽の高揚感がとてつもない気持ちよさで重なって、自然発生的に手拍子が起きたの。舞台に入り込んだ気分。

こういう物語こそ海外の人に見てもらいたいな。世界中の人に共感されるし、日本的な独特の世界観もある。お衣装の日本的なビビッドな色合いも、すっごくユニークで素敵。

ポルノグラフィティの新藤さんの曲を、何人もの声を重ねて歌った厚みで聴くと、ほんと、わくわくする。すっごい楽しかった。

カーテンコールでの客席の、うわあこっれはいい作品!!っていう高揚感を久しぶりに感じてどきどきしちゃった。帰り、リピーターチケットの窓口に長い長い列ができてた。

この作品の完成の初日に立ち会えて光栄だなと思ったよう。すっばらしい作品をありがとうございました!!



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