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愛しのムニキス

チョコザップでみっちりと運動した帰り道、地元のケーキ屋さんで久々にケーキを買ってきた。これはラズベリーとライチとローズフレーバーのムースケーキ。

菓銘「イスパハン」だった。かの銘菓リスペクトと思しき

画像に「本日の運動を無に帰すひと皿」と書き添えてツイートしたら、フォロイーさんから「素晴らしい"ムニキス"です」とリプライを頂戴した。あらカタカナ表記にするとなんだかいいですわねそれ。今後、運動で消費したカロリーを無に帰すような高カロリー食品を「ムニキス」と呼びましょう。「オニキス」みたいだな「ムニキス」。

「ムニキスは週に3皿までですよ」とか「今週はもう2ムニキスとっちゃったから、あと1ムニキスしか残っていないんだ」だとか。ええ、当番もね、日曜日に特大サバサンド、月曜日にケーキを食べちゃいましたからね、もう今週のムニキスは残機ゼロですよ。次の土曜日は通院日だから、もうたんぱく質20gサラダと豆腐とわかめと雑穀米のお粥オンリーの生活に戻るんですよ。食べた分しっかり筋トレもしましょうね当番。

とか言っておきながら。

これ、再来週用のムニキス。ちょっと大人数の持ち寄りオフ会に参加する予定がありまして、シェアおやつ用に買いました。500g入りの業務用カラースプレーチョコ2袋。バカの物量。これに加えて会場近くで大容量バニラアイスを調達し、カラースプレーかけ放題祭り。昭和の1クラス分くらいが集う会なので、たぶん1袋は軽く空くでしょう。こういうつみぶかいことは、道連れにできる人が大勢いるときに実行するに限る。

わるだくみをするのは楽しいなあ、「カロリーの妖精」を自称していた頃を思い出すなあ(それほど遠い昔ではない)。

カラーチョコスプレー余談。カラーチョコスプレーだとかアラザンだとか、砕いたナッツ類やその他お菓子の飾り付けに使う小粒の砂糖菓子の類を英語では sprinkles と称する。sprinkle は「撒き散らす」という意味のごく一般的な動詞だから sprinkles はまあ「上に散らすもの」くらいの意味であって英語話者にとってはとりたててかわいらしい響きのある名前ではないのかもしれないが、日本語話者にとっては「パ行」と「ラ行」が入っている言葉はだいたいかわいらしく異国情緒とハイカラさを備えているように聞こえるのである。かわいいよ、スプリンクルズ。たとえその意味合いが日本語で言えば「『ふりかけるもの』だから『ふりかけ』」レベルの一般的なものだったとしても。

(なお日本の「ふりかけ」も英語サイトでは Japanese furikake, or savory sprinkles 日本のフリカケ、または塩気のあるスプリンクルズ と紹介されていたりするので、やはり sprinkles は「散らすから『散らし』」、「ふりかけるから『ふりかけ』」レベルの名称なのだと思われる)

カラーチョコスプレー更に余談。お菓子に散らす sprinkles のうち、丸い固いお砂糖の粒にカラフルな色をつけたもの(日本でいう「アラザン」の、もっとカラーバリエーションがある感じのやつ)を英語では hundreds and thousands と呼びならわす。hundreds and thousands は「数百も数千も(無数の)」というごく一般的な言い回しだから、これも sprinkles と同じく根っからの英語話者には特にかわいらしさを感じるようなものではないかもしれないのだが。

根っからの日本語話者である当番には、めちゃくちゃウケる。あのお菓子にまぶすカラフルなちっちゃいお砂糖の玉を hundreds and thousands と命名する英語話者の感性、すげえかわいい。

hundreds and thousands かわいいー! と検索の旅に出ていたら更に行き当たったかわいい情報。オーストラリアでは白い食パンの耳をスライスして耳を切り落とし、やわらかくしたバターかマーガリンを片面に塗り広げ、そこにマルチカラーの hundreds and thousands をびっしりとまぶしたものを fairy bread 妖精パンと称するそうな。こどもが友達を招いて開くような誕生日パーティーでは必ず fairy bread が供され、オーストラリアンキッズには定番の行事食、元キッズにとってはなつかしの味なんだそうな。

かわいい……

なんというかこう、日本で言うなら「赤く着色されたウインナーで作るタコさんウインナー」みを感じてかわいい……あるいは「お祭り屋台のカラフルな飾りつきチョコバナナ」みを感じてかわいい。「体にいいか悪いかで考えたらよくないんだけれど、『体に悪いか』より『食べて楽しいか』で『それ』を選ぶっていうこと、あるよね」みたいなことを思う。

たまに食べる「ムニキス」も「オーストラリアンキッズの妖精パン」みたいなものだと思うんですよ、と「ムニキス」の話へ強引に戻ってくる。体にいいか悪いかで言えば決してよくはないし、運動と食事管理の努力を無に帰すものではあるんだけれど、心には効く。「体に悪いものをみんなで大騒ぎして食べて、本当に楽しかったなあ」でまた次の1週間精進できる。

「たまには楽しもうよ」と「ちょっとくらいなら大丈夫だよ」のコンビネーション。西洋占星術的には「ムニキス」って金星と木星のコンビネーションだと思います。「楽しもうよ」と唆すのは金星、「ちょっとくらい大丈夫だよ」とユルいことを言うのは木星。常飲常食するようなものではないけれど(常飲常食するものは月)、たまのお休みにちょっと味わうくらいならそれは心の潤いであり、明日からの活力にもなる。

歯を食いしばってあらゆる誘惑を遠ざけるよりは(歯を食いしばるのは土星)、「ムニキス」と愛称をつけてかわいがり、たまに少量味わうくらいが健康的……じゃないのかな。

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