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蟹座28度「融和の象徴」

2018年7月20日午前2時34分、トランジット太陽が蟹座数え28度へ入りました。蟹座数え28度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに圧縮すると「融和の象徴」


「♋28融和の象徴」原文チェック。黒字が1925年ジョーンズ版「(ある)現代のポカホンタス」。青字が1975年ルディア版「あるインディアンの娘が集まった自分の部族に自分の白人の恋人を紹介する」


「♋28融和の象徴」番地チェック。蟹座後半(復路)の、5度ずつに分けた第3グループ(おわり)の、第3度数。どの5度組でも第3度数は第1度数と第2度数の間にうまれたこども。こどもは両親のいいとこ取りをする。磯野家で言えば第3度数はサザエ。

「♋26有閑階級」が波平、有閑階級の教養人は相手が自分たちと同じだけの教養を持つかどうかで仲間かそうでないかを見る。少納言よ、香炉峰の雪いかならむ?「♋27災害は平等」はフネ、高級住宅地を嵐が襲う。ちいさな「私たち」の一周外側の「私たち」で助け合う必要がある。

「♋26有閑階級」と「♋27災害は平等」をいいとこ取りして「♋28融和の象徴」が誕生する。同じ教養を持つ者同士のちいさなソサエティ(♋26)と、持てる者にも持たざる者にも等しく降りかかる自然災害(♋27)。自然の猛威を前にしたら「私たち」の範囲を再考する必要がある。

「私たち」とは「私と『誰』」を指すのか?旅の途中で病に倒れたときに素通りしていった身内と、介抱してくれたヨソモノがいたらどちらが病人の真の隣人か?遠くの親戚より近くの他人、困ったときの友が真の友。厳しい自然環境の中生き抜くにはヨソモノとも手を結ぶ必要がある。

そこで登場するのが「♋28融和の象徴」。現代のポカホンタス、あるインディアンの若い娘が、集まってきた自分の部族に白人の恋人を紹介する。アメリカ先住民の出身者である娘さんと、入植者あるいは移民の出身者であろう白人の恋人。地元民とヨソモノとの恋愛。

「ポカホンタス」は16世紀末〜17世紀初頭のアメリカ先住民ポウハタン族指導者の娘。ポカホンタスは渾名で元々の名前はマトアカ。ディズニー「ポカホンタス」でご存じの方もいらっしゃるだろう。Wikipediaで恐縮だが概要はリンク先をご覧ください。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%AB%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B9

ディズニー映画のポカホンタスはハイティーンの美人でイギリスから来た美青年のジョン・スミスと恋をするが、実際ジョン・スミスがポウハタン族に捉えられ、ポカホンタスが父親の酋長に「命乞いをした」のは(事実だとしても)彼女が11歳くらいの頃だと言われている。

ポカホンタスの部族ポウハタンがヴァージニアへの白人入植者に食糧援助を行ったことは事実だけれど、それはジョン・スミスとポカホンタスが恋人同士だったからという話ではなく、一筋縄ではいかない経緯がある。ポカホンタスは後に白人のタバコ農場主ジョン・ロルフの妻となる。

白人のタバコ農場主ジョン・ロルフと結婚したポカホンタスはレベッカ・ロルフと名乗り、やがて一人息子トーマス・ロルフを生む。トーマス・ロルフの父親はジョン・ロルフではない説があるけれど、彼がポカホンタスの息子であることは動かない。

ポカホンタスの一人息子トーマス・ロルフは一人娘ジェーンをもうけた。ポカホンタスの唯一の孫娘であるジェーンはロバート・ボーリング大佐と結婚し一人息子ジョン・ボーリングを生んだ。彼はポカホンタスの曾孫に当たる。

ポカホンタス唯一の曾孫ジョン・ボーリングの子供たちは「赤膚のボーリング一族 (Red Bollings)」と呼ばれ、ポカホンタスとポウハタン酋長およびヴァージニア最初の入植者に遡ることのできる全米屈指の名家となっている。「ポカホンタスの血を引くほぼ白人の名士」がいるのだ。

ウッドロウ・ウィルソン大統領の夫人イーディス・ボーリングも「赤膚のボーリング家」の一人であり、ほかに政治家ジョージ・ランドルフ、ファーストレディのナンシー・レーガン、天文学者パーシヴァル・ローウェル、ジョン・マケイン議員らがポカホンタスの血を引いている。

天文学者パーシヴァル・ローウェルは冥王星発見者のひとりで、冥王星の記号がPとLの組み合わせ文字になったのはこのひとの頭文字だと言われている「あの」ローウェル博士。冥王星があんなに小さいのに惑星に入れた(当時)のもこのひと。まさかのポカホンタスと冥王星の繋がり。

「実際のポカホンタスがどういう人だったのか」とは無関係にポウハタン族の娘ポカホンタスはアメリカという国の(白人目線での)「始まり」に関わる祖先のひとりに数え上げられている。ポカホンタスの存命中から、彼女は「白人入植者を助けた先住民のお姫様」扱いをされていた。

白人入植者の命を救い、先住民と入植者の間の架け橋となり(※ということになっている)、白人との間に子を生み、子孫はアメリカ「建国」にも関わった屈指の名家へその血筋を伝えた。ポカホンタスは(白人入植者から見て)「融和の象徴」だ。本当に「融和」かはともかくとして。

侵略した側の男性が、侵略された側の指導者の娘≒お姫様に好意を持たれ結ばれる。この縁により「お姫様」の父親である被侵略側の実力者が侵略側に好意的になり(その前に多少難題とかを課したりもする)援助してくれるようになる。ロマンス(おとぎ話)や伝説の「あるある」だ。

日本の神話伝説にも、ギリシャ神話にも、こういう新参者の男神または男に対して地元に根を張る長の娘が好意を持ち、父を裏切って彼を助けたり、娘の好意を得たがために父たる地元権力者が舅として新参者のバックについたりする話は多い。「お姫様の縁組は国の同盟」、これ基本。

さて。そういったことを踏まえて「♋28融和の象徴」、現代のポカホンタスだ。ジョーンズ版の原詞には A modern Pocahontas と不定冠詞 a がついている。「現代のポカホンタス的な女性は他にもいるかもしれない。彼女はそんなポカホンタスたちのひとりだ」ということを示す。

アメリカ先住民の若い娘(girl は「娘さん」、おとなの女性は woman)が一族に向かって白人の恋人を紹介する。たとえ「私がたまたま先住民で、この人がたまたま白人で、たまたま付き合うだけでしょ」と彼女が言っても「『私たち』と『あいつら』」で生きる人々はそう捉えない。

白人入植者側も、アメリカ先住民側も「『私たち』と『あいつら』」という感覚で生きている限り、現代のポカホンタスと彼女の恋人を「個人であるこの娘と個人であるあいつの交際」とは捉えてくれない。「『私たちの娘』と『あいつらのひとり』との交際」と捉える。

「『私たち』と『あいつら』は基本的に違う。相容れない」という捉えかたである限り、「あいつらのひとり」と付き合う「私たちのひとり」は「裏切り者」と呼ばれるか「架け橋」と呼ばれるかのどちらかになってしまう。裏切り者でも架け橋でもないお付き合いはそこにはない。

だから「現代のポカホンタス」、自分の同族ではなくヨソモノの一員と縁組する者は「融和の象徴」だ。ある一族と別の一族、別々の「私たち」同士が本当に融和するかどうかは実際その縁組が行われた後の各成員の行動如何にかかっているのだけれど。一筋縄ではいかないのだけれど。

それでも。複数のちいさな「私たち」が乱立した状態では生き延びることができないと判断した各「私たち」は別の「私たち」と「融和」して「私たちは『あいつら』と共により大きな『私たち』となった」という物語を作ろうとする。その物語に互いのこども同士の縁組は利用される。

「♋28融和の象徴」とスクエアになるのは「♈28期待外れ」。がっかりした大勢の聴衆。「がっかり」は現実が期待を下回ったときに湧く感情。ディズニーアニメのポカホンタスとジョン・スミスのロマンスを観て楽しんだ後に史実のポカホンタスを検索すると多分「がっかり」する。

ロミオとジュリエットでもポカホンタスでも、相容れないふたつのちいさな「私たち」同士がたったひと組の縁組で簡単に「融和する」と期待しすぎるのは「がっかり」のもと。現実はもっと複雑で困難だ。それでも、その縁組を拒絶するよりは受け入れるほかないときというのはある。

「♋28融和の象徴」は蟹座後半(復路)第3グループ(おわり)第3度数(サザエ)。同じ蟹座後半の第1グループ(はじめ)、第2グループ(まんなか)のサザエズと比べてみよう。1がテーマを打ちだし2が1を裏打ちし、3が1と2のいいとこ取りをする構造はグループ間でも成り立つ。

蟹座後半第1グループのサザエは「♋18我が子を養う」。第2グループのサザエは「♋23文学とは何か」。雛に食わせる餌を探して必死に爪で地を掻く母鳥と、現実の写し鏡となり「こうもあり得るもうひとつの現実や未来」を探して必死にペンで紙に書く文筆家たち。カリカリカリ……

必死にカリカリするコンビ「♋18我が子を養う」と「♋23文学とは何か」から「♋28融和の象徴」がうまれる。育児がロマンスではなく現実的な戦いであるように、文学がロマンスではなく現実的な戦いであるように、縁組もロマンスではないのだ。長い長い現実の戦いなのだ。

融和とは、日々の生活の中で必死に、カリカリと、地を掻き探し求めていくようなもの。時に血の滲むようなものなのだ。ひと組のカップル成立は「そしてふたりはいつまでも幸せに暮らしました、めでたしめでたし」ではなく長い長い物語のほんの始まりなのだ。

蟹座後半第3グループの第3度数「♋28融和の象徴」と対になる蟹座前半第3グループの第3度数は「♋13親指目立つ手」。飛び抜けて目立つ(prominent)親指は意志の強さ、つかみ取る力を表し、持ち主の印象までも決定付ける強烈な特徴。現代のポカホンタスも親指同様に「目立つ」

「♋28融和の象徴」になった現代のポカホンタス、白人の恋人を一族に紹介するアメリカ先住民の娘は、まるで親指のように飛び抜けて目立つ。他の指は彼女の一族だ。親指目立つ手が他の親指目立つ手と握手するとき、互いの親指の印象がよくも悪くも手全体の印象となる

うまれたときのホロスコープで「♋28融和の象徴」はどのハウスにある?2018年7月20日の太陽はそこを照らす。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう

「○○○○で(五音・ハウス) 家族になって(蟹座) 生きていく(太陽) 我らと彼ら融和の象徴(♋28)」

#サビアンシンボル物語

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