牡牛座30度「孔雀のお練り」
2018年5月20日午前10時19分、トランジット太陽が牡牛座数え30度へ入ります。牡牛座数え30度をぎゅぎゅっと五文字くらいに縮めると「孔雀のお練り」
「♉30孔雀のお練り」の番地チェック。黒字がジョーンズ版「A peacock parading on an ancient lawn ある古代の芝地を練り歩く一羽のクジャク」、青字がルディア版「A peacock parading on the terrace of an old castle. ある古城のテラスを練り歩く一羽のクジャク」parade(動詞)は「練り歩く」。
parade, 「練り歩く」とは何かを披露することを目的としてゆっくりと歩き回ること。「パレード」と言うと大勢が鳴り物入りでワァワァ行進するような感じがするけれど、別に隊列を組まず単身で歩いていても、何かを見せびらかして歩けばパレード。このシンボルのクジャクも一羽。
「五文字くらいでサビアンシンボル」に採用した「お練り」は「練り歩く」の「練り」に「お」をつけた言いかた。歌舞伎役者や噺家の襲名披露で「やあやあ、このたび○○を襲名いたしました。今後ともよしなにお願いします」と挨拶しながら歩く、あれが「お練り」。
「♉30孔雀のお練り」番地チェック。牡牛座後半(復路)の、5度ずつに3等分した第3グループ(おわり)の、第5度数。どの5度組でも第5度数は第3度数と第4度数からうまれたこども。第3度数は第1度数と第2度数のこども。第5度数は1-2-3-4の精髄を受け継ぐ孫度数。磯野家のタラオ。
牡牛座最終5度の流れをおさらい。「♉26熱唱伊達男」、恋心を歌という文化にのせて恋人の気を惹く。「♉27民芸品売り」、自文化の産物はやがて他文化から来た通行人の目をも惹く。「♉28モテ熟女」、年経ていよよ華やぐ魅力。「♉29靴職人コンビ」直し直しで長く履きたい。
牡牛座最終5度はずっと「貯めた牡牛座ポイント、豊かさと価値を何のためなら差し出せる?」を問いかけてきた。そして大トリの「♉30孔雀のお練り」がやってくる。古代の芝地を一羽のクジャクが悠然と歩く。ちなみにこのクジャクはオスだ。 peacock のメスは peahen という。
この美しさを見よとばかりに、オスのクジャクは悠然と練り歩く。その姿は第一に同種のメスへのアピールだが、人間でさえその尾羽に目を奪われる。それは代々進化してきたもの。古城のテラスあるいは古代の芝地にいるクジャクは野生ではなくおそらくは飼われ手入れを受けている。
オスのクジャクは、その長い尾羽に百もの目玉模様を持つ。本日はこの目玉模様と牡牛座にまつわる古物語を一席お聞かせしよう。古代ギリシャの浮気大好き神ゼウスはある国の王女イーオーを見初めた。ゼウスの妻、女神ヘーラーは夫の浮気相手に酷い仕打ちをすることで有名だった。
なんとか妻の目を誤魔化したいゼウスはイーオーをかわいい牛の姿に変えた。ところがそんなことはお見通しの妻ヘーラーは「ではこの『かわいい牛』を私にちょうだい」とイーオーを奪った。そして夫が彼女に手出しできないように百眼の巨人アルゴスを見張りに置いた。
百眼の巨人アルゴスは体の全方向に眼球を持ち、しかもその眼球が交代で休むので決して完全に眠ることがない。24時間360度死角も隙もない監視係だ。女神ヘーラーの浮気は許しまへんで! という強い決心と執着がうかがえる。
なおアルゴスは英語では Argus と綴り「アーガス」と読む。ハリー・ポッターシリーズに登場する校内用務員の名前がアーガス・フィルチ。生徒の校則違反を摘発して罰することに執着し、学期中は24時間360度に目を光らせている彼はまさにホグワーツの百眼巨人だ。
イーオーを逃したいゼウスは伝令の神ヘルメースをアルゴスへ差し向けた。口の上手いヘルメースは如才なくアルゴスに取り入り、物語を語ったり笛を吹いたりして百の眼球をひとつひとつ眠らせた。そして最後のひとつまで眠りに落ちると、ヘルメースはアルゴスの首を刎ねた。
かくて、決して完全には眠らず何も見逃さない筈の見張りアルゴスは死に、イーオーは逃げることができた。ヘーラーはアルゴスの死を惜しんで百の眼球を取り、彼女に捧げられた鳥であるクジャクの尾羽に飾った。以後、クジャクの尾には百眼模様が現れるようになったという。
百眼巨人アルゴスは女神ヘーラーの激しい執着心を映す存在だ。決して見逃すまい。決して失うまい。ゼウスが浮気をするとヘーラーは夫のゼウスではなく必ず浮気相手を潰そうとする。なぜ元凶である夫を懲らしめない? と疑問のひとつも湧くけれど、これには彼女なりのワケがある。
自分にとって「どうでもいいもの」は排除できる。それはもう、惜しげもなく。だけど「かけがえのないもの」はおいそれと排除できない。失うにはあまりにも惜しい。ヘーラーにとって、あんな浮気野郎でもゼウスはあまりにも惜しかった。一方彼の浮気相手は全ッ然惜しくなかった。
価値あるものを我がものにする。するとそれは自分の価値をも高めてくれる。自分の価値が高まるとどうなる? 自分と引き換えにもっと価値あるものを手にできる。では、自分の手のうちにあるものが最高のもので、もう他の何とも換えられないものだったらどうなる?
最強で最モテの男神を夫にし続けるのは大変なことで、傷んだけれどお気に入りの靴を手入れするように淡々と「お直し」を重ねることになる。大切なのは靴(ゼウス)で、最高のピカピカ靴を取り戻すためならついた泥(ゼウスの浮気相手)には容赦しない、というのがヘーラー。
ヘーラーの執着心そのものであったような百眼のアルゴスはしかし、殺されてしまった。独占欲と執着心に「そういうのは、もうおしまいだよ」ととどめを刺したのはヘルメース。彼はローマ神話のメルクリウス、牡牛座に続くサイン双子座のあるじ、水星に今もその名を残す神だ。
見逃すまい。手放すまい。私の大切なものに指一本触れさせまい。執着心の権化アルゴスを眠らせたものはヘルメースの語る物語と奏でる葦笛。執着と独占のときはもうおやすみ。これからは物語のときがやってくる。昔こんな風にして、クジャクの尾羽は目玉模様になりましたとさ。
ごらん、クジャクが練り歩く。輝く尾羽にアルゴスの緑の百眼をちりばめて。ひとつ語って聞かせよう。なぜに百眼はついたのか。誰が見張りを殺したか。イオニア海に名を残す王女が牛になったわけ。見逃すまいぞ、ゆるすまい。寝物語に聞かせよう、むかしむかしの物語。
「♉30孔雀のお練り」は牡牛座後半(復路)第3グループ(まんなか)の第5度数(タラオ)。他グループのタラオたちと比べよう。牡牛座前半(往路)第3グループのタラオは「♉15勝負コーデ」。マフラーに洒落乙なシルクハットで嵐に立ち向かう男。盛装は世渡りのための武装だ。
世間の風に立ち向かう男のシルクハットも、悠然と歩くクジャクのきらびやかな尾羽も「よく見ろ、俺はこういう奴だぞ。甘く見るなよ?」というアピールだ。そこのけそこのけ、俺様が通る。見るがいい。語るがいい。This is me!
牡牛座後半第1・第2グループのタラオたちとも比べてみよう。第1グループのタラオは「♉20風に吹かれて」、雲は湧き雲は散り、変わり続けるものと変わらないもの。第2グループのタラオは「♉25市民公園」、人々の余暇を縁取る美しい額縁、公共の財産。
1と2のいいとこ取りをして3がうまれる法則は異グループ同度数間でも成立する。第1タラオ「♉20風に吹かれて」と第2タラオ「♉25市民公園」をいいとこ取りして第3タラオ「♉30孔雀のお練り」がうまれる。価値は生まれてそして消えて、どこへ向かう?公共財産って結局何だろう?
身も蓋もない話だけれど。「今残っているもの」が「今現在の価値あるもの」であり「今現在のみんなが共有する財産」なのではないか?というのが「♉30孔雀のお練り」。アルゴスは死んだ。しかしアルゴスの目玉はアルゴスの物語ともどもクジャクに託されて未来へ運ばれていく。
インディアンの戦士が倒した敵のいちばんいいとこを取って我がものとしたように、クジャクはアルゴスのいちばんいいところを与えられた。以後、クジャクは子々孫々、百眼模様とその由来を身に纏い続ける。アルゴスとクジャクはひとつの物語となり人々の口から口へと伝えられる。
あるひと、あるいはあるものの価値は、本体の価値と本体に付随する別のものの価値が合わさったもの。ついてくるのは尾鰭か箔か、はたまた神話の七光り。ひとしずくの岩清水から始まってクジャクまで、価値にまつわる30篇の物語。
うまれたときのホロスコープで「♉30孔雀のお練り」はどのハウスにある?今日のトランジット太陽はそこを照らす。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう
「○○○○を(五音・ハウス) 肌身離さず(牡牛座) 生きていく(太陽) 尾羽見せつけ孔雀のお練り(♉30)」
【♉️30孔雀のお練り をより深く理解するための比較対象シンボルリスト】
♊30水着回(となりのサイン)
♋30建国婦人会員(60度)
♌30拡散希望(90度)
♍30仕事に没頭(120度)
♏30今宵は無礼講(180度)
♑30料亭で密談(120度)
♒30約束の場所(90度)
♓30夢は叶う(60度)
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