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そしてまたドに戻る

2019年10月30日のツイートまとめ。

幼児向け音楽教室で習うようなやさしい童謡はだいたいハ音(ハ長調の「ド」)に戻ってきて終わる。「きらきら星」「メリーさんのひつじ」「ロンドン橋」「もしもしかめよ」「もりのくまさん」「ももたろう」「うらしまたろう」「大きな栗の木の下で」ほかたくさん。ドレミで歌えばわかる。

「おおスザンナ」「草競馬」あたりもだ。基準になる音「おへそのド※」へ戻ってきて終わる。

※「おへそのド」 大抵の鍵盤楽器の中央あたりに位置する「ド」のキー。ピアノだとだいたい蓋をロックするための鍵穴の真上辺りにあり、幼児向けピアノ教室などではこれを「おへそのド」と称して自分のおへそが「おへそのド」の位置に来るよう座れと指導される。

「ドレミの歌」は「おへそのド」で始まってレ・ミ・ファ・ソ・ラ・シをそれぞれ名の通りの音で歌い、最後は「高いド」で終わる(英語歌詞では「さあ歌いましょう」の箇所を That will bring us back to Do! そしてドへ戻ります!と歌い、ちゃんと「ド」の部分が高いドになっている)。

「ドレミの歌」は元々ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌で、歌ったことのない、音階ミリ知ら勢のこどもたち7人(上は16歳、下は5歳)にドレミを教える曲。単なる語呂合わせの遊び歌みたいに見えて、ちゃんと音の名前と対応する音を教えるメロディになっているのよね。

当番はミュージカル映画を聴き取りたいがために英語に励んだ中学生だったのだが、英語の音節の捉えかた(日本語とは全然ちがう)を教えてくれたのも英語版「ドレミの歌」だったよ。『サウンド・オブ・ミュージック』の「ドレミの歌」場面で音を並べ替えてメロディーをつくる箇所がある。

「ソ・ド・ラ・ファ・ミ・ド・レ ソ・ド・ラ・シ・ド・レ・ド」というメロディーをマリア(主人公)がこどもたちに音階で歌わせる。こどものひとりが「でも(音階だけでは)何の意味もない」と言う。するとマリアは「では言葉をつけよう、ひとつの音階にひとつの音をのせるよ」と応じる。

CHILD: But it doesn’t mean anything…

MARIA: So we put in words, One word for ev’ry note, like this:

When you know the notes to sing
You can sing most anything.

こどもたち:でもこれ、何の意味もないよね

マリア:じゃあ言葉をのせましょう、ひとつの音符にひとつずつ、こんな風に

歌の音符がわかったら
どんなことでも歌えるよ

『サウンド・オブ・ミュージック』より

マリアはこう歌う(半角カタカナは対応する音)

When you know the notes to sing
    ソ       ド      ラ      ファ      ミ  ド   レ

You can sing most an-y-thing.
  ソ      ド    ラ        シ     ド レ     ド

歌の音符がわかったら
どんなことでも歌えるよ

ああー!そうかー!カタカナで写すと「シング」「ノーツ」「モスト」になるけど、sing, notes, most これみんな「音ひとつ分」かー!と雷に撃たれたみたいに気付いて。「エニシング」はカタカナに写せば五文字だけど英語だと「エ・ニ・シング」で「音みっつ」かー!音の切れ目はそこかー!って思ってさ、むかし。

その後めちゃくちゃ英語歌詞付きの楽譜見まくった。英語の教科書って巻末にポピュラー音楽の歌詞付き楽譜載ってたりするじゃない。歌の話から逸れちゃうんだけどさ、国語(日本語)と英語は音楽の授業と合同で、楽譜の読みかた教えて歌で教えた方が絶対はかどるって私思うのよね。リズム感よくなるよ。

まー改めて聴くとドレミの歌よくできてるんだわ、あなどれない。YouTubeにも歌詞字幕付きで沢山ドレミの歌動画あるんで、お気が向いたら英語版聴いてみてほしいんだわ。

できれば映画版のサウンドオブミュージックでドレミの歌場面を見てほしい。それまで音階ミリ知ら勢だったこどもたちがそんな簡単にドレミをマスターするかよご都合主義だな!と思うかもしれないけど、歌の中でマリアは段階をちゃんと踏んで教えてるんだよ。

まず「いちばん最初からやろう。最初からやるのがいちばん」と歌う。「読みかたのはじめはABC、歌のはじめはドレミ」と前説をしてから「ドレミの歌」に突入するんだが、このドレミの歌パートでは同じ歌詞を5回くらい繰り返し歌う。

まずマリアがひとりでサラッと歌う。次にこどもに音の名を言わせて解説部分をマリアが歌う。3度目はこどもたちがマリアと一緒に歌う。その次に「ソドラファミドレ」のパートが挟まり、それに続いて4度目を全員で歌う。次にマリアはこどもたちに「ドミミ・ミソソ・レファファ・ラシシ」を教える。

こどもたちが歌う「ドミミ・ミソソ・レファファ・ラシシ」にかぶせてマリアがひとつ前「ソドラファミドレ」のメロディを歌詞付きで歌う。ここでマリアはこどもたちに「主旋律と伴奏」を教えてるのね。そして最後にもう一度ドレミの歌のメインを皆で歌う。これだけやってほんの7分足らずの場面。

よく考えられた名場面で、「教えるってこういうことなんだ」と幼少期の当番に刷り込んでくれた推し場面なので、あの、未履修の方で興味が湧いたら、そこの場面だけでもいいので観てください。

全編通しで観てくれてもいいのよ!

サウンドオブミュージック、当番の三つ子の魂百までも映画なので! リアルで3歳から観てるやつなので! 暑苦しくてすいません!!

当番の原点なので……いつもここに戻るという意味でまさに原点なのでサウンドオブミュージックとドレミの歌……これが私の「おへそのド」です……でもドレミの歌以外も全曲推しよ……

本当に、モデルになった家族のこどもたちが実際7人だったというのもあるけれど、「ドレミの歌」は「トラップ家の7人きょうだいとマリア先生」が歌うわけだよ……そりゃ作詞家も作曲家もドレミファソラシの7音階と高いドになぞらえて歌を作るよ……そりゃサウンドオブミュージックって題名にもなる……

そういえば日本語版のサウンドオブミュージック(舞台)、「ソドラファミドレ」のところ歌詞どうしてるんだろう?英語だと一音に一単語(anything を除く)乗るけれど、日本語版は乗らないよね?日本語版のサウンドオブミュージック(舞台)観に行ったことがないからわかんないや。

「ドレミの歌」の one note, one word で歌うやつ(when you know the notes to sing, you can sing most anything.)。あの「音符ひとつに、(一音節の)ことばひとつ」を次に意識したのは「マイ・フェア・レディ」だった。ヒギンズ教授が鉄琴を叩きながら How kind of you to let me come. (お招きいただき恐れいります)と教える。

How kind of you, how kind of you, don't you have ears?

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