獅子座3度「若作りする女」
2018年7月25日午前8時17分、トランジット太陽が獅子座数え3度へ入りました。獅子座数え3度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに圧縮すると「若作りする女」
「♌3若作りする女」の原文チェック。黒字が1925年ジョーンズ版「A woman having her hair bobbed 髪をボブにした大人の女」。何度かお話していますね、 girl は「未成年の女の子」、 woman は「一人前の成人女性」です。青字が1975年ルディア版「A middle-aged woman, her long hair flowing over her shoulders and in a bra-less youthful garment. 中年の女、長い髪を両肩に垂らしノーブラの若向きの服を着ている」
「♌3若作りする女」は、おそらくサビアンシンボル全360件の中で最もジョーンズ版とルディア版の表現に差のあるシンボル。これはジョーンズがエルシー・ウィーラーと透視実験をした時期とルディアが「アストロロジカル・マンダラ」を出版した時期に半世紀の差があるせいです。
ジョーンズと透視者エルシー・ウィーラーによるサビアンシンボル透視実験は1925年。「グレート・ギャツビー」の1920年代。それまで女はコルセットでウエストを絞り胸と腰を盛り上げて、若い娘は髪を垂らし、おとなの女は髪を結い上げるものだった。スカート丈は長かった。
1920年代、グレート・ギャツビーの時代。コルセットを捨て膝上丈の寸胴ドレスを着てクローシュ(釣り鐘)帽子をかぶるのが最先端モードだった。長い髪をぱっつり切って、歩くたび短い毛先をぽよんぽよん弾ませる(bob)のが流行した。この髪型が「ボブ」
コルセットなしの寸胴膝丈ドレスにクローシュ、髪型はボブといういでたちは流行に敏感でイケイケな若い娘さん(girl)のファッションだった。彼女らは modern girls と呼ばれた、日本にもこの流行は輸入された。モダンガアルズ、略してモガだ。「ボブ」は「断髪」と呼ばれた。
彼女らは modern girls または flappers と呼ばれた。彼女らは girls 、現代的な若い娘さんたちであって modern women 現代的なおとなの女たちではなかった。しかしジョーンズ版の詞は「髪をボブにした大人の女(woman)」だ。一人前の成人女性が若い娘の髪型をしているのだ。
1925年の若い娘にどんな装いが流行していて、1925年の大人の女性はどんな装いをするべきと考えられていたか、ジョーンズもウィーラーも知っていた。1920年代の読者も知っていた。でもルディアの「アストロロジカル・マンダラ」は1975年だ。70年代の読者にそれは通じない。
ジョーンズ版の♌2は「髪をボブにした大人の女」だ。「髪をボブにした若い娘」ではない。「大人なのに、若い娘の髪型をしている」がこのシンボルのツボだ。1925年のボブはトンガッた髪型だったのだ。2018年の感覚でこの英文を訳したら間違える。
しかし1925年に「髪をボブにした大人の女」がどんなものだったかという感覚は50年後の1975年にはもう読者には通じなくなっていた。だからルディアは1970年代の読者に伝わるよう、ジョーンズ版から「若作りするおとなの女」を抽出して70年代の読者にわかる表現にしたのだ。
ルディア版の♌2「長い髪を肩に垂らしノーブラの若向きの服を着た中年の女」は1970年代半ばの「若い娘が着るトガッた装い」だ。1960年代後半から70年代にかけてはウィメンズ・リブ( Women's Liberation 和製英語だと「ウーマンリブ」)の時代だ。だから「ノーブラ」が登場する。
1970年代、ウィメンズ・リブの運動家は女性の抑圧の象徴として街頭でブラジャーを焼き捨てるパフォーマンスを行ったり、ノーブラで外へ出たりした。裏を返せばそれまで女性がノーブラで外を歩くのは裸足で外を歩くくらいあり得なかったのだ。今やノーブラは珍しくもないけれど。
1920年代、それまで髪は長く伸ばして結い上げるものだったのを少年のように短くし、スカートを短くして膝頭を見せ、コルセットを取って寸胴シルエットの「フラッパー」な娘たちは伝統の破壊者だった。ブラジャーを外し街に出た1970年代のウィメンズ・リブの娘たちも同じく。
獅子座数え2度のサビアンシンボルは、しかし1920年代のイケイケ娘さんでもなければ1970年代のイケイケ娘さんでもない。彼女は girl(娘さん)ではなく woman (一人前のおとなの女)だ。 a woman が girlish な服を着ている。♌2は「ギャル服を着たおばさん」のシンボルだ。
番地チェックを忘れていたね。「♌3若作りする女」は獅子座前半(往路)の、5度ずつに分けた第1グループ(はじめ)の、第3度数。どの5度組でも第3度数は第1度数と第2度数のこども。磯野家で言えば第3度数はサザエ。
「♌1頭パーン」が波平、胸がアツくなる! 頭に血が昇る! もうどうにもとまらない。「♌2子供の流行病(はやりやまい)」がフネ、高熱が出る!顔が腫れる! みんなに伝染る! 一度かかると二度は罹患しない若者の病気。♌1と♌2を両親として「♌3若作りする女」サザエがうまれる。
頭がパーン! の♌1と、顔がパーン! の♌2。熱は♌3にも伝播する。流行病に罹患するのはこどもと若者だけだと誰が言った? おとなもだよ! とばかりに「♌3若作りする女」ではいい歳のおばさんがギャル服を着る。おばさんだってハジけたい。体は50歳でも心はまだ16だから〜♪
火の不動サイン「♌3若作りする女」とトラインになるのは同じ火で活動宮の「♈3俺が祖国だ」。カメオに彫られた横顔の輪郭が祖国とそっくりな男。祖国を着ぐるみにしている「チーバくん」状態、「主語がでかい」。♌3はギャルの着ぐるみを着たおとなの女、気が若い。
「♌3若作りする女」とスクエアになるのは同じ不動宮で地の「♉3豊かな草地」。シロツメクサの咲く草地に向かう自然な足どり。シロツメクサが示すものは日当たりがよく水もある肥沃な土地。ウシが食べて乳を出しミツバチが花から蜂蜜をつくり、人間はその乳と蜜を集めて食べる。
シロツメクサが咲き乱れる草地はミルクと蜂蜜のもとのもと。未来の満腹を約束する豊かな土地へ人間の足が向かうのは、お池の周りに咲いた野ばらにミツバチが集まるのと同じくらい自然なこと。おとなの女がギャル服を着るのは、実りの季節にあるひとが春の花で装うようなもの。
でも、ひとは肉体年齢に合わせて服を着るべきだろうか? 体の季節は秋や冬に入っていたとしても心に5月のバラが咲いていないと誰が言えるだろう? 1920年代の娘達がコルセットを外し髪を切り、1970年代の娘達がブラジャーを外したように「年相応の服」という枷も外していいのでは?
服装とは、自分の内面を表現するものだろうか? 自分を外から見たときのイメージに合わせてまとわせる包装だろうか? 本の中身を表紙で判断していいだろうか? 中身がわかるような表紙に必ずするべきだろうか? あなたにとって「ギャル服のおばさん」とはどんな存在だろう?
「♌3若作りする女」、ギャル服のおばさん。意外とこのシンボル、どう見るかでそのひとの持つ女性観や年齢観がバレてしまって手強い。あなたの見るギャル服のおばさんはどんなひと? ムリしてるひと? イタいひと? 精神が若々しいひと? ぶりっ子なひと? 人生楽しんでいるひと?
そしてそんな風にギャル服のおばさんを見るひとたちそれぞれに、ギャル服のおばさんは問いかけてくるだろう。「そのとおり、私はギャル服のおばさんよ。だけど、あなたはどんな服を着たどんなひと? おばさん? 若い娘? おじさん? 若い男? あなたは『誰』?」
うまれたときのホロスコープで「♌3若作りする女」はどのハウスにある? 2018年7月25日の太陽はそこを照らす。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう
「○○○○で(五音・ハウス) 主演・自分で(獅子座) 生きていく(太陽) 私は若作りする女(♌3)」
【♌3若作りする女 をより深く理解するための比較対象シンボルリスト】
♍3孤独ではない(となりのサイン)
♎3新たな夜明け(60度)
♏3御近所総出(90度)
♐3盤上の戦争(120度)
♒3脱走した水兵(180度)
♈3俺が祖国だ(120度)
♉3豊かな草地(90度)
♊3幾何学庭園(60度)