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牡羊座8度「風立ちぬ」

2018年3月28日午前2時40分にトランジット太陽が牡羊座8度へ入りました。牡羊座8度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに縮めたら「風立ちぬ」

サビアンシンボルには「1925年ジョーンズ版(黒字)」と「1975年ルディア版(青字)」が存在するよ

牡羊座8度のサビアンシンボル、原文は上の画像。黒字がジョーンズ版「A large hat with streamers flying, facing east 長いリボン飾りがなびいている大きなつば広帽子(hatは鍔付き帽子)、東を向いている」。青字はルディア版「A large woman's hat with streamers blown by an east wind. 東風に吹き流されるリボン飾りがついている大きな婦人用つば広帽子」

streamer は「長いリボン飾り」と訳したけれど、リボンとは限らない。細長くて軽くて、ひらひらと風になびくような飾りのこと。鯉のぼりのてっぺんについている吹き流しも streamer だよ。それが帽子についていて、東から吹いてくる風にたなびいている。

誰が風をみたでしょう
ぼくもあなたも見やしない
けれど木の葉を震わせて
風は通り抜けていく

牡羊座8度についての過去ツイートまとめから、一部抜粋。原書でこの度数への解説文を読んでいると phallic ということばが登場する。ファリック、陽根的。女物のつば広帽子に長いリボンがついていて、それが東風に吹かれていることのどこが陽根なのか。

(2023年追記。万が一Togetterまとめがなくなってしまっても閲覧できるよう、note にもまとめを作っておきました。Togetter版には一部、当番ツイートでないものも含めてあるので note 版ではそれを抜いてあります)

陽根=ええ、ちんちんですけれども。女物のつば広帽子に長いリボンがついていて東風にヒラヒラしているもののどこがちんちんなのか。風もないのにぶーらぶらということですか。いや風はあるのだ。風があるからひーらひらなのだ。

さっさとネタバラしをしてしまうと、ここでのファリック(ちんちん的)というのは「刺激に対して敏感な、神経の集まりであるような感覚器」みたいな意味です。ちょっとの風にも反応してひらひらするリボン。風そのものを見ることはできないけれど、リボンが動きに風が見える。

もうちょっと穏当な言い回しにしようか。「ゲゲゲの鬼太郎」の妖気アンテナ。妖気は目に見えないけれど、鬼太郎の髪がひとすじピーンと立つことでそこに妖気が漂っているとわかる。東風にひらひらする長いリボンは、そういう敏感なアンテナです。

風は目に見えないけれど、風に反応して靡くリボンは目に見える。風が吹くと同時にリボンは揺れる。木の葉は震える。風の温度を肌で感じる。アンテナの震えを感じとる心があるから、風の存在を確かめられる。風に反応するから、そこに感じる心・感じる自分がいると確かめられる。

5度組で牡羊座8度を見てみよう。牡羊座前半度数の、第2グループの第3度数。第1度数は牡羊座6度「一所懸命」。第2度数は牡羊座7度「一石二鳥」。「一所懸命」と「一石二鳥」は一対で、このふたつの間に生まれた、言ってみればこどものようなシンボルが「風立ちぬ」だ。

四つある辺のうち、ただ一辺のみに集中する「一所懸命」。ふたつの領域での自己表現を「いっぺんで」行うことに成功する「一石二鳥」。この2シンボルの間に生まれる「風立ちぬ」でも「ひとつきり」「いっぺんに」が起きている。風が吹く。リボンがなびく。それはいちどに起こる。

吹く風と、風になびくリボンはひとつになって揺れる。風が揺らすものはリボンだけではない。吹く風と、風を感じとる心はひとつになって揺れる。感じるということが存在するということ。ふたつのものが同時にそこにある。揺らすものと揺れるもの。

ひとつ前の5度組で、同じ第3度数だった牡羊座3度「俺が祖国だ」と牡羊座8度「風立ちぬ」を比べてみよう。牡羊座3度では、カメオに彫られたある男の横顔が、彼の祖国と同じ輪郭をしていた。チーバ君度数だ。個性と属性のかたちが似すぎていて、境界が曖昧。

牡羊座8度では、帽子のリボンが風になびく。動いているのはリボンだろうか?それとも風だろうか?禅問答の「旗が動いているのか、風が動いているのか」ですね。ふたりのお坊さんが議論しているところにもうひとりのお坊さんが来て「いや見ている君たちの心が動くのだ」と言う。

「旗が動くのか、風が動くのか」は2017年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』にも登場していました。風が吹く・リボンがなびく・ああリボンが風になびくな、と心が感じる。これらはすべて同時に起こる。心があるから風の存在を感じ、風を感じるから心があるとわかる。

カメオに彫られた男の横顔と、彼の祖国のかたちはひとつに溶け合っていて境目がわからない。風と、その風に吹かれるリボンと、それを見て風を感じる心はひとつに溶け合っていて境目がわからない。妖気アンテナ、リボンは見えないものを可視化する。風立ちぬ、いざ生きめやも。

牡羊座数え8度「風立ちぬ」のイメージを体感したかったら、宮崎駿の同名映画を観てみよう。作品の中ではずっと風が吹いている。タイトルの元になったヴァレリーの詩の一節(Le vent se lève, il faut tenter de vivre.)も、ロセッティの詩「誰が風を見たでしょう」も登場する。

牡羊座8度は、牡羊座30度分のちょうど1/4になるポイントが含まれる。もし牡羊座1度で新月が起きたとしたら、7日経って太陽が牡羊座8度まで進んだときに月は97度進んで蟹座数え8度へ到達し、太陽と月で90度(スクエア)を形成する。上弦の月になるだ。牡羊座8度って、牡羊座の熱意成分の中に、蟹座の情緒成分がちょっと入り込んでくる位置、「牡羊座の中の小さな蟹座」ポイントだったりする。

さて、恒例穴埋め #アストロ短歌 のお時間です。あなたが生まれたときのホロスコープで牡羊座8度は何ハウスにある?

「○○○○で(五音・ハウス) 生まれたままに 意識する(トランジット太陽) 風立ちぬいま心が揺れる(牡羊座8度)」

#サビアンシンボル物語

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