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  • 鏑木清方

    鏑木清方についてまとめてみました

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鏑木清方と樋口一葉

鏑木清方の作品の中で最も心を惹かれるのは「一葉女史の墓(鎌倉市鏑木清方記念美術館)である。 「たけくらべ」のヒロイン美登利が、樋口一葉のお墓に寄り添うその情景は、現実には起こりうることはないが、樋口一葉、美登利とともに薄幸な人生を歩むこととなる二人が、作者、作中の登場人物という垣根を越えて、ともに自分たちの境遇を乗り越えようとも、慰めようともしているように見える。美登利に注がれる清方の温かな眼差し、優しさこそが清方の真骨頂とも言える。 日本画の大家である鏑木清方はその華や

    • クリムトが愛した風景

      クリムトと言えば金箔を多用した華やかな画風が特徴的ですが、その一方で、クリムトにとって、心から愛した風景、人物は静謐なタッチで描かれていることが心に残ります。 アッター湖畔はクリムトがエミーリエと夏の休暇を過ごした場所で、多くの写真が残されています。 クリムトが描くアッター湖畔の風景は、その静謐で穏やかなタッチによって、(エミーリエと過ごした)夏が、かけがえのないものであったことを伝えてくれるよう。ウィーンから離れ過ごす夏の季節。クリムトとエミーリエはどんな会話を楽しんだの

      • 夏の名残り

        仕事で疲れた時は海までショートトリップ

        • 夢心地

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        鏑木清方と樋口一葉

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          鏑木清方と樋口一葉②

          鏑木清方は樋口一葉の自画像も描いている。 一葉の実直で一途に文学、作品に向かう真摯さが伺える。 その凛とした眼差しが、自分自身の運命を向き合いながら、ひたむきな人生を生きた美登利と重なる。 美登利の一枚 初々しさゆえに哀しい一枚。 鏑木清方は技巧故に、薄幸な女性の哀しさが際立ってしまう。

          鏑木清方と樋口一葉②

          スヤスヤ

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          森鴎外と尾竹紅吉

          森鴎外が様々な女性作家を支援したことは有名であるが奈良県出身の人間国宝の一人として有名な富本憲吉の妻、尾竹紅吉(富本一枝)もその一人である。 尾竹紅吉は平塚雷鳥とともに青鞜に参加した人物として知られているが、1912年青鞜を退社し、1914年に富本憲吉と結婚後、「『番紅花』(さふらん)」を創刊した。 森鴎外はサフランにこのような文章を寄せている。 「私は子供の時から本が好だと云われた。少年の読む雑誌もなければ、巌谷小波いわやさざなみ君のお伽話とぎばなしもない時代に生れたので

          森鴎外と尾竹紅吉

          人生は戦いなり(黄金の騎士)Life is a Struggle (The Golden Knight) クリムト

          愛知県美術館が所蔵するこのクリムトの作品は、”人生は戦いなり”とも”黄金の騎士”とも呼ばれる。1903年に描かれたこの作品は、 w100 x h100 cmの正方形のキャンバスに描かれ、トヨタ自動車株式会社からの寄附金によって購入した日本の公立美術館で最初のクリムトの作品である。 黄金の鎧をまとった騎士の前には蛇が描かれ、騎士の行く手を阻んでいる。騎士はクリムトそのものであろう。 クリムトの過渡期に描かれたこの作品は、前年の1902年の第14回分離派展(ベートーヴェン展)で

          人生は戦いなり(黄金の騎士)Life is a Struggle (The Golden Knight) クリムト

          うとうと

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          南の島のにゃんこ

          南の島のにゃんこ

          夏空と大きな猫

          夏空と大きな猫

          エミーリエ・フレーゲ(1874~1952)のこと

          世紀末のウィーンに生を受け、クリムト(1862~1918)のミューズとしても、実業家、デザイナーとして活躍。当時結婚が当たり前されている中で、第一次世界大戦(1914~1918)、第二次世界大戦(1939~1945)と二つの大戦をたった一人で生き抜いた女性。  彼女は“Reformkleid,”(英語でリフォームウェアとも)と呼ばれるコルセットのないドレスをデザインしたが、作品はウィーン美術館に 2 着のドレスが所蔵されているだけ。 エミーリエデザインのドレス (※Gust

          エミーリエ・フレーゲ(1874~1952)のこと