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ワーグナー《タンホイザー》

久々のワーグナーオペラは《タンホイザー》。

「ワーグナーといえば」な女性による救出は女性が観ると複雑な気分にはなる。しかし、欲望・熱情と宗教的な純潔の狭間で苦しむハインリッヒの揺らぎはわからなくもない。
また、チラチラとプラトンの『饗宴』やオルフェウス神話を連想したのは私の考え過ぎなのか一般的な解釈なのか…。ワーグナーは神話や民話を組み合わせて物語をつくることが多々あるため、あながち考え過ぎでもないのだろうか。

ヴォルフガング・ワーグナーの演出は、ヴェーヌスベルクの妖しく踊る男女やライトなど熱情の表現と、シンプルな舞台に映えるマリア像などの純潔さが好対照をなしていた。バレエは、明らかな性的描写からベジャールを連想した。ベジャールならばベージュの肌と見間違うような衣装にするだろうとは思う。

《タンホイザー》の前に観たオペラがレオンカヴェッロ《道化師》とマスカーニ《カヴァレリア・ルスティカーナ》だったこともあり、ワーグナーの「ため」のある音楽は新鮮かつ丁寧で好感を抱いた。情景描写をさぼらない映画(タルコフスキーやアンゲロプロスなど)や小説を連想させる。もちろん、テンポよく進むオペラもまた違った魅力があるのでどちらがよいという訳ではないし、人によってはワーグナーオペラの時間感覚はとっつきづらいと感じる人もいるのだろう。しかし、私は比較的好むようだ。

#music #opera #wagner