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空ばかり

 空ばかり見ていた。
 無意識に空を見ながら、歩いていた。
 
 いつだか、横断歩道で止まってる時、私が向こうの空を見ていて、それを気にした隣の人が私の目先の空を見て、そしたらそれに気付いた横断歩道の向こうの人が何かあるのかという感じに振り向いて空を見た。
「あ、すみません。何もないです」
信号が青に変わってみんな歩き出す。何もない空を見上げてしまった仲間たち。

 みんなが空を見ながら歩いてないことを知ったのは20代も後半で、軽く驚いた。
 私も空を見るのはほどほどにしようと思った。

 地下道を歩いてる時、偶然母に会った。
「あんな顔して街を歩くのやめなさい」と言う。
 地下なのに空を見るクセが出て、上を見ながら歩いていたらしい。

そんな自由な若かりし自分を心配であり、うらやましくもある。

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