カフェ4分33秒【毎週ショートショートnote】

「『カフェ4分33秒』っていうカフェなんですか？変わった店名ですね」
ぼくはカウンター席でコーヒーを注文した後、マスターに話しかけた。
「『4分33秒』ってクラシックの名曲があって、気に入ってるので、そこからとったんです」
「そんなタイトルがあるんですか？」
「曲の長さが4分33秒なんですよ。ちょっと聴いてみます？」
・・・・・
「えっこれが曲なんですか？」
「曲なんですよ～」マスターはどや顔をしてにっこり笑った。
「クラシックって、まじめなイメージだったのに・・・」
「意外と面白いエピソードがありますよ。例えば『1812年（序曲）』はクライマックスで大砲を鳴らすんです。楽譜に「大砲」って書いてあるそうです。日本で演奏する時は自衛隊が出てきたりします」
「そんなこと知らなかった・・・もっと早く知っていれば」
クラシックなんてお堅くてまじめで、ついていけないよ。そんな言葉は吐かずに済んだのに。
出されたコーヒーは思いのほか苦かった。

（409字）

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マスターがコーヒーを淹れてくれている感じで。