親切な暗殺【毎週ショートショートnote】
A社の営業担当は、他社の研究を巧みに盗んで自社の技術にする。
うちの技術者が何人も引き抜かれた。
法の目をかいくぐるようなやり方には歯が立たない。
私は会社の緊急役員会に呼ばれた。
会長は渋い声で言った。
「あいつを抹殺しろ」
一般人の私には無理なので、口の堅い2人を呼んで極秘チームを作り、闇サイトで暗殺請負人を探した。
「親切な暗殺」という広告が目を引いた。
「痛くない、苦しくない親切な方法での殺害。依頼者の手を汚さずに確実にターゲットを葬るという親切」だという。
この請負人に依頼することに決め、役員会の了承を得た。
あいつが事故死したと聞き、私たち極秘チームがレストランの個室で乾杯したその時、目の前の2人が静かに倒れた。
まさか?
「ご苦労だったな」会長が現れた。「世間にバレないよう、君たちには消えてもらう。親切な請負人を見つけてくれたな」
会長がにやりと笑う。
痛くない。苦しくもない。
でも意識が遠くなり、やがて何も見えなくなった。
(410字)
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レストランで(たぶんテーブルの上に伏せるように)倒れたら、(たぶん水の入った)コップも倒れるよね・・・と思って。
2024年5月1日追記:見出し画像がなくなっていました。
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