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空がとても青くて、ジェット機も飛んでいて、私はバナナパフェが食べたかった


旅に出るときは、安心できる文庫を一冊道連れにする。

東京に出てきて10年が経とうとしている。
いつまでいるのかいられるのか分からないと言い続けながらどうにかこうにか居続けて居座っている。
新大阪のホームに降り立った瞬間、芯から安心する。わたしの魂は大阪にある。
エスカレーターの右側に立つことも、環状線の乗り方が永遠に難しいことも、ただ隣り合わせた人とたわいないやり取りをすることも、自分がいまも大阪弁をきれいにしゃべれることも、すべてを愛している。

この街を、ここにいる自分を愛している。
深く息が吸える。
いま、ちょうどいま、戻って来れてよかった。
自分の魂のよりどころは変わらずにある。


わるいこともいいことも含めて、すべてのタイミングが、すべてのできごとのパーツが完全にはまって、かんぺきな1日、いや、かんぺきな1週間だった。

やり切れなくかなしいことと、抱えきれないほどしあわせなこととが、わたしの身体にとてもじゃないけど収まりきらないほどの勢いと大きさであふれていて、その溢れたものが涙になるんだ、と身をもって知った。
致死量の悲しさと致死量の幸せ、感情がわたしにも残っていた、どころか、溢れ出すほど生まれてくるんだ、ということがただただひたすらうれしい。

この1週間は、わたしの人生で間違いなく文字通り、記念碑になる。
わたしは生き延びる、生きていこう、この命を削って輝きを生み出していくよ。

明日のことも、来週のことも、そもそも未来のことなんてわかるはずは元からないけれど、誓うことはできる。誓います。


空の上のあなたに向けて

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