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虫の知らせ やかんと虹 217/360
「さっき、キッチンに来たら、
電気ケトルが勝手に沸いてたんだよね。
スイッチのあたりに、小さいゴミかなんか、入り込んだのかも」
ある日、旦那が言いました。
その時は「ふーん」とあまり気にも留めなかったバタコ。
割と最近、ケトルは拭き掃除したばかりだけどなあ?
* * *
翌日だったか数日後だったかに、
「そういえばあの話って」
と急に思い当たったのですが
昔、斎藤一人さんのYouTube講演か何かで
「虫の知らせと言うのがありますね。
亡くなった方が、挨拶に来ることがある。
男性は玄関のあたりで物音をさせることが多い。
女性はお勝手口から入りたがるみたいで
なんか物音がすると思って行ってみても何もない」
というのを聞いたことがあって
「ジブンは海外に住んでて
普段は連絡を取ったりしない相手が
そういうお知らせをしてくることもあるのかもしれない」
とその時、勝手に思いました。
そういえば、
ジョーさんの家の前を通りかかったとき
知らない人たちが出入りして何やら家財の整理か何か
してる風だったこと、あったよなぁ・・
※ご近所の70代女性ジョーさんは末期がんで
10月に余命3週間でホスピスに入院
それ以来、会っていませんでした
あぁ、電気ポットでお湯を沸かしに来たのって
ジョーさんだったのかもしれない
と、遅ればせながら思い当たりました。
(我が家の台所には、「お勝手口」があります)
しばらく経って、ジョーさんのご近所メリッサさん、
一緒にコンサートに行ったりとジョーさんとは仲良しで
ホスピス入所前は毎日ご自宅に通っていた、その方から
ケータイのメッセージで、亡くなった日と
お葬式の日取りを教えてくれる連絡がありました。
* * *
この手の話は、信じる人にとってのみ、意味があるのだと思います。
旦那には、その後「きっとあれはジョーさんだったんだよ」と話しましたし
特に全否定はされませんでしたが、あまり信じてはいないでしょう。
メリッサさんからのメッセージを受け取った日
子供を迎えに小学校まで車を走らせていると
ずっと降っていた雨が、ちょうど小休止になったタイミングで
西から強烈な日が差し、
東に向かうバタコの目には、
鮮やかなオレンジの光に照らし出される、濡れた木々
東の空には、またすぐ振り出しそうな重めの雨雲で
その「暗雲にさす明るい西日」の加減が実に美しく
「なんてステキ。でも、カメラ忘れた~」と思いながら走っていると
ついには
完璧に端から端まで見える大きな虹が出ました。
学校に着いて
我が家の男児2名に
「ジョーさん先週亡くなったんだって
ほらあの虹、きっと会いに来たんだよ、さよならって」
と話していると
数分以内に雨が降ってきて、虹も消えてしまいました。
この虹は、11月の末の太陽の位置と、天候のタイミングが重なっただけで
単に、訃報を聞いた自分のココロにだけ映った幻想だよね
とも思いつつ、
「会えてよかったよ。この美しい世界を置いて去るのは残念だね、
『命あるあなたたちは、めいっぱい堪能して生きるんだよ』
って、伝えようとしてくれてるんでしょ?」
と、ジョーさんに語りかけながらバタコは見ていました。
信じるも信じないも、アナタの自由、私の自由。
あなたも、虫の知らせに遭遇したこと、ありますか?
最後まで読んでいただいてありがとうございます!