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走り書き:「会社ありき」のワーケーションに異論あり〜制度から自律的発想への転換のすすめ、というか早晩そうなる

(Photo by Luke Richardson on Unsplash

今日、この記事を見て、脊椎反射的に走り書き。ほとんど推敲していない。気が向いたら編集するかもしれない。

日本はもういい加減、こういう「会社ありき」「雇用ありき」の発想から脱却すべき。そこから生まれた制度は早晩廃れる。日本のいわゆるワーケーションもそう。ぼくの体感値では2年ぐらいか。

そもそも、会社が規定した路線に乗っかって一時的にレジャー地で過ごしたからと言って、それはあくまで業務の延長線上で、会社の監視体制の中で気が休まるハズがない。社員にすれば余計な制度がまた一つ増えただけ。

そうではなくて、休暇は個人が当然の権利として自律的に取得するもの。で、自分でスケジュールと行き先を決めて、自分で諸々段取り整えて、自由に時間を使うから楽しい。その間、ネット環境を自分で整えてやることやっておけばいいだけの、話。

それを「管理しなくては」と考える人、層、役職がいるから、おかしくなる。それはもうオトナの所業ではない。休みの日まで、わざわざ会社が指定したハコに、ぞろぞろ出かけていく姿に、なんか変だと思わないほうが、変。

日本人は何でもパッケージが好きだ。自分で考えなくていいから。これは教育のせいだろう。子供の頃から思考停止するように仕向けていく。だから、あらかじめパッケージされたものにすがる。考える能力を削ぎ落とされているから。いつまで、お子様ランチ食べて喜んでるのか、という話。この話は別の機会にするが、当然、そこにつけ込む者もいる。ここでは誰とは言わないが、いる。

コロナの影響でにわかに企業が、特に東京の大企業がテレワーク(リモートワークが正しい)をやり出した。やってみたら案外うまくいく。ほんとはずっと前からうまくいくようになってる。やらなかっただけ。なぜか?企業の「雇う」側、「管理する」側にそういう発想がなかったから。経営に関わる重要事項なのに。

日本人だって自律分散できる。そもそも江戸時代までほとんどのワーカーがフリーランサー、個人事業主だった。いわゆる「宮仕え」、いまでいう会社員は全人口の5%にすぎなかった。今みたいに「どこかの企業に雇われる」のが普通と思うようになったのはごく最近。誰でも本当は自律的に振る舞いたい。ただ、制度が許さないと、踏み出せないマインドになってる。「会社ありき」マインドセット。

しかし、コロナがそれを覚醒した。社員も、企業も気がついた。社員は、通勤に2時間も3時間かけて朝から疲労困憊しなくていい。企業はオフィスというハコに無駄なコストかけなくていい。

だいたい、そのほうが生産性がいい。生産性が悪いのは、もともとオフィスにいたときでも悪かった社員だけという発見もおまけでついてきた。自分で仕事を作って切り盛りできない社員が、実はうんといた、ということに企業も気づいた。じゃ、そのコスト、要らんやん、と。遅い。遅いが、気づいた。

時を同じくして、あと3〜4年で世界の労働人口の75%をミレニアル世代が占めようとしている。この世代は、自分の生き方、働き方は自分で考えて選択する。会社が指定した場所とか時間に縛られないほうを、選ぶ。選択肢があることを自由という。いまどきのワーカーはやろうと思えば自分でブッキングできる。そういうサービスはごまんとある。

それを見越して海外のコワーキングは昨年あたりからこぞって宿泊施設とタイアップするか、いっそのことVCから資金調達してコリビングを買収している。(ただし、いまはコロナで静か→後述)

コロンビア発祥でいまはUKに本社を置くSelinaは、昨年時点で世界の13カ国でベッド数22,000床のホステルと31カ所のコワーキングを運営。それを2023年までにベッド数を130,000床まで拡張する。ターゲットはずばり、ミレニアル世代。そのために昨年、1億ドルを調達している。パンデミック前には、昨年だけで150万人が利用すると予測されていた。ちなみに、ここの昨年の時価評価額は8億5,000万ドルだった。

前述の記事でも「JTB総合研究所の調査結果」として

男性20~30代でワーケーションが認められれば休暇が取りやすいとの回答が多いのに対し、女性20~30代では仕事とプライベートの旅行は完全に分けたいとの答えが多かった

と紹介されている。そりゃそうだ。誰が考えてもそう思う。男はひと目を気にする。その点女性は本音だ。それでも、この数字は控えめだろう。実はぼくもこのデータをスライドにして「コワーケーション」の講演では使わせていただいている。(田中先生には事後承諾)

企業ももうオフィスというハコのコストをかけなくなる。ワーカーがやってこないのにそんなものにカネをかける意味がないから。偶然だがさっき、楽天が都内のWeWorkの700席を引き払うというニュースが流れてきた。そりゃそうだ。そりゃそうすぎて、リンクする気も起こらない。

※訂正※ と思ったら、自社の新しいオフィスに移動するらしい。なんともいやはや。

それより、ワーカーが機嫌よく仕事できる環境をオンデマンドで整えていくようになる。簡単な話、自宅に近いところにワークスペースがあればいい。それは、郊外の住宅地にあるコワーキングかもしれないし、いっそのこと引っ越した地方都市のそれかもしれない。そのことは今年のはじめにこっちに書いた。

いずれにしろ、企業がハコを用意する、そこにみんな毎朝集まる、という発想を切り替えるようになる、というか、切り替えざるを得ない。なぜか。そうしないと、デキる社員がいなくなるから。そういう制度のない企業には誰も就職しなくなるから。

2年前に大正大学地域構想研究所が、首都圏などの大都市圏や政令市のある県を除く28県の大学生・大学院生を対象にアンケートを実施した結果、

地方の大学生・大学院生の約6割が、会社から遠く離れた場所に住み、インターネットや電話を使って仕事をする「リモートワーク」(遠隔勤務)に関心を持っている

と回答している。

「就職」という概念も変わる。が、長くなるので(もうすでに長い)、その話はまたの機会に書く。

ワーケーションで「ワーク+バケーション」の意味を知った社員はどうするか。今度は自分で自由にブッキングするようになる。普通の神経を持つ人なら、そうする。誰もずっと「制度」の中にはいたくない。ま、中にはいるかもだが、その人は好きにやればいい。

だから、ワーケーションがまったく無意味とは言わない。むしろ、きっかけにはなる。日本人にはそういうステップが必要だろう。だが、今の会社先導型のワーケーションは、早晩廃れる。早くて2年か。パンデミックの収束次第だが、ま、そんなところかと踏んでいる。

もうひとつ。日本の地方自治体は東京に期待しすぎ。東京ではなくて世界と直接つながるべき。もうそういうことは簡単にできる。

世界には東京の大企業の社員というマーケットとは桁違いの市場がある。2017年の総務省の実態調査の数字だが、日本の社員1,000人以上の大企業の約25%しかテレワークを実施していない。大企業の社員数はだいたい1,200万人ぐらいか。いまはどうだろう、コロナのせいで40%ぐらいか。そのうち、ワーケーションを実行するのは果たして何人か。そう、「制度」として。

一方、世界には2025年には36億人の労働人口がいて、その75%がミレニアル世代で、彼らは自由に移動して仕事することになんの屈託もない。念のために言っておくが、その「移動」は国境も超える。そういうワーカーは日本にも、来ようと思えば来る。どころか、日本への関心は高い。いままで、呼んでないだけ。

もちろん、今、パンデミックでそれどころではない。ないが、いずれ落ち着いてきた時には、すべて準備万端、整えておいて、世界への扉をカチャッと開けばいいだけにしておくべき。今やることはそっち。

これは宣伝ではないが(たぶん、そうだが)、ぼくらが始めてるTrabizは、ワーケーションという概念を理解しつつも、もっと自由に自律的に働き方、生き方を選択し、ワークとバケーションをミックスする「コワーケーション」という方法を人びとに提案するものだ。「コ」はコワーキングの「コ」。

そのことにフリーランサーも会社員もへったくれもない。みんな、ワーカーであり、人間。「会社ありき」の発想ではない。

先の記事も「企業もメリットを享受できる新たなスタイルへの進化がワーケーション普及のカギといえそう」と締めているが、少し言葉、というか考えが足りない。会社にとってのメリットを前提にしている点で、違う。最優先するのはワーカーの幸せだ。

走り書きと言いながら長くなってしまった。ここで書いたのは、今年2月までの「コワーケーション」をテーマにした講演で話してきたことがベース。それはこの夏、アップデートする。もちろん、コロナを前提に。



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