短歌 連作 「恋髪十首」
壊れかけた街頭に映る黒髪
謎めく異世界はここにある
日は落ちて陰る退紅のあなたよ
天の川の畔の秋桜
憂いを帯びたあなたに贈る櫛
でも髪が許さぬこの慕情
咲きこぼれる曼珠沙華を君に差す
あでやかなこと ここは異世界
一筋の清水を眺め思い出す
編み込まれた銀の水引を
クリップを外し舞い散る黒髪に
触れる許可をいただき光栄
散る桜 あなたの髪に 触れること
慈しむ目ああ羨ましい
夕空のミルキーウェイ はあなた
似て忘れられぬ銀の水引
朝焼けに 染まらぬあなた 映る目と
映える髪にまた恋をする
彼の撫でたこの髪の色は楓
もうすぐ落葉 落葉する音
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?