【山行】初めての中央アルプス
夏だ、休みだ、山だ!
殺人的な忙しさでNOTEの更新もままならぬ状態で、お盆休みに突入。
GWは皇海山に登るつもりが、無人小屋が設備の関係で使えないと直前にわかり、敢えなく断念。2月以来の山行は初めての中央アルプス(木曽山脈)。
特急「あずさ」だと東京方面から目ぼしい山は、甲府(南アルプス)、茅野(八ヶ岳)、松本(北アルプス)で、中央アルプスは岡谷から飯田線(調べると愛知の豊橋まで伸びている。何時間かかるんじゃ?)に乗換えて南下するからずっと遠いんです。
でも、ロープウェイが使えるんですね。この背徳感……たまらんぜ!
12:30発、わずか8分くらいでグングン高度を稼ぐ。
ロープウェイはぎっしり満員で写真も撮れませんでしたね。降りると、空気はひんやり。カジュアルな服装の観光客に混じって一時間ほどカール(圏谷。氷河が削った跡)を登ると……。
尾根に出ると、一気に視界が開けます。今晩の宿の後ろを通って、中岳を経て木曽駒を目指す。
ロープウェイの駅から二時間弱で3000メートル級の頂上。さすがにここまで来る人はみんな登山ウェアでしたね。
小屋はハイシーズンなのに空いていました。台風接近と南海トラフ地震警戒の影響かな。
縦走する人は自分以外にいない様子。
2日目。本格的な縦走のスタート!
岩、岩、岩の岩三昧。三点支持とクサリ場の連続で写真を撮ってる余裕はありません。足を滑らせたら真っ逆様。
落ちたらヤバい高度感を写真で撮るのは難しいですね。
とにかく人が少なかった。追い越したのはカップル1組のみ、どうも途中までか、挫折したようでついて来る様子がない。すれ違ったのも、1パーティのみ。
それから途中から抜かし抜かされつつ前後して歩いた年配の男性が一人。話してみると前夜車中泊して、朝一でロープウェイから来たという(木曽駒、宝剣を通らず縦走路に出るルートがある)。この方、夏至(日照時間が一番長い)あたりに1日で皇海山に登ったという。日の出から日の入りまで13時間かかり、もはや苦行でしかなかった、と。やっぱり車がないとダメかね。
そうこうするうちに霧が出て眺望が閉ざされ、雨も降り出した。いや、上から降ってくるというより、雨滴が下から強風とともに吹き上がってくる感じ。アウターを装着、時折りの岩場でつかむホールドがひんやりと冷たい。
歩いても歩いても辿り着かない。次が最後のピークかと思ったらまた霧の中に新たなピークが現れる。疲労困憊。
木曽殿越の鞍部までずんずん下って、ようやく山小屋に着く(一番乗り)と、足が筋肉痛でヤバい。
この宿も客が5人だけ。単独の若者はロープウェイから木曽駒、宝剣を経てたった1日でここまで来たという。さすがに若いね!
3日は空木岳を登って、あとは池山方面にひたすら下るだけ。
小屋からいきなりの急登。息が切れる。
頂上直下は急峻な岩場の連続する気の抜けない難所、我を忘れ、時間の流れが変わる。黙々とタスクをこなしてゆく感じ。下りてくる若者2人とすれ違う。こういう所は、下りの方がずっと怖いよ。
頂上までコースタイム1時間半のところを1時間ちょいで。
山頂からは南アルプス、八ヶ岳、北アルプスまで眺望が。涸沢カールと穂高、その先の槍ヶ岳までかすかに青みがかって見えた。気のせいか? どのみちスマホのカメラでは無理。
下りのルートは、登ってきた岩陵とは打って変わった緩やかさ。同じ山とは思えないこの二面性。
池山方面に下るにつれて、足元のハイマツがどんどん伸びて、胸の高さにまでなったかと思ったら、いつの間にか樹林帯に。とにかく長くてウンザリする、ウンザリを通り越してゲンナリもする。気温もどんどん上がってきて、汗まみれ、水も尽きてフラフラになる。
今までの静けさがウソのように途中次々と登山者に出会う。なんか頭が下がります。この炎天下、ロープウェイを使わず、自分の足でワシワシ登る。ほんとお疲れ様です!
壮大な自然の交響楽も忘れて、このときの自分は、もう下界で呑むビールのことしか頭になかったのである。
帰宅したら、遭難のニュース。まさにこの日、まさに空木岳のこの下山道で、50代男性が転倒してヘリで救助された、と。また数日前には50メートル滑落してヘリで搬送された方がいて、こちらも50代男性。さらに縦走路で疲労から50代女性が行動不能に陥り、同行者から救助要請があったと。
明日は我が身ではないのか。
(了)
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