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今はまだ、言葉にならない苦しみ


まだまだ一般には、十分なじみがないかも知れませんが、当事者研究というものがあります。

東大先端科学技術研究センター教授の熊谷先生の次の記事がとても分かりやすいと思います。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/415457.html 

かつての(そして今も)障害者当事者は、自分自身がしたいことがありながら、社会との間にある障害を前に膝を折り、何が自分をそうさせたのかが分からずにいました。
はたまた、自身が何をしたいのかが分からなくなっていました。それはまだ当事者同士の間でも言葉にならず、誰との間にも共有されなかったからです。

その中で、彼らに専門家が言葉を与えたのではありません。あるとき、当事者が自身の苦しみを発見し、感じるものを表現する言葉を生み出し、やがて仲間の中でその言葉が練り上がり、ついに、その苦しみとは無縁であった人に伝わる言葉となって出現した時に、世界はその姿を変えて来ました。

記事に書かれた通り、現代はソーシャルマジョリティが(も)言葉にされない苦しみを抱える時代であると言えます。

ソーシャルマジョリティも先ず、自分自身のまだ言葉になっていない感覚を見つける必要があります。
それが例え最初はたどたどしくても、まだ他の誰とも共有できないだろう言葉を紡いでみましょう。
今、当たり前だと思って諦めているものを、自分の感覚をよく観察して、あるいは当たり前の状況を細かく掻き分けていくことからそれは始まります。

その時点で、もう世界は変わり始めており、その言葉が自分とは異なる他者に伝わった時に、世界はきっとその姿を変えるでしょう。


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