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重大なことほど手がつかない本当の理由

人は後づけのもっともらしい理由を信じていることがしばしばあります。
Use Brainが提案するもう一つの脳の使い方に対して、私たちのデフォルトとなっている脳の使い方を考えると、こんな記事もしっくり来ます。
https://gigazine.net/news/20150902-stop-procrastion-by-understanding-emotions/
こんな中身です。
完全主義者‐あらゆることを完璧にしたいと思うあまり、なかなか目の前のものに手がつかず先延ばしをする人‐に関して、その原因は「完璧にならないことへの恐れ」が問題だと思われてきました。
しかし、実際には「衝動性が強い」ことと関連しているそうです。
衝動性が強い人は、完璧にならないことを恐れているのではなく、単にパニックになって何か他のことを衝動的に行うことでパニックを取り去ろうとするそうです。
これは、従来から言われている先延ばしとは「とりあえず」心地よくなることに屈することであるという定義にも合致しているといえます。また、道徳的補完といって、目標とは関係がないが、ルーチンでしている何となく良いことを代わりに行ってしまうということにも繋がっています。


また、こうした完全主義の人は、「将来に自分」といった大雑把なイメージが自分事として理解できない傾向もあるそうです。
このような人においては、
1. 重要な物事に関して、強い心配・恐れを自覚するように仕向ける。
2. その後、関連する「細かく分けた」その人が明確に把握できるタスクにひとまず取り掛からせ、漠然とした恐れに直面して自己批判する前に行動させる(行動してみるとパニックは減じる)。
3. 脇道に注意がそれて、「心地よさに屈する」ことがないよう、そうしたものへのアクセスを煩雑、複雑にしておく。
というようなことが有効なのだそうです。

「重大だったから心配になり、恐れた」というのは、事後に後悔してからの合理化、あと付けの理由で、実はその感情すら自覚できずにパニックになって、必要な行動以外のものに衝動的に手を出してしまう。その行動は、心地よいだけの「現状を変えないもの」だというのは面白い発見ですね。

記事紹介だけでは何ですから、私たちの臨床経験から、記事への興味をもう少し広げてみましょう。
完全主義の人は、その印象に反して然程計画的ではないというのは、私たちの臨床実感にも適います。また、”はまる”と過剰に集中して、微細なところまで強迫的に詰めていったります。このため、夏休みの宿題を最初の三日で寝ずに終わらせるのも、ぎりぎり間に合わせるのも完全主義者だったります。
このような人には、少し発達的特性が見られることも多く、そうした人の多くは自己感情認知が苦手です。時間軸に沿った自己像が漠然としていて、将来の自分が今の自分にとって具体的な延長としてイメージできません。それは、物事のとらえ方が変わっているがゆえに、育ってくる時に自分の感覚に沿った細かいタスクに出会いにくいのもあるでしょうし、時間の感覚が脳科学的に異なるというのもあるのでしょう。

こだわりが強く、完全主義ですから、過剰集中した時の成果は並みの人をはるかに凌駕します。


こうしてみると、発達特性がスペクトラムである(健常と単なる連続体である)ことが、よくわかってきます。

例えば、
「感情を認知し、自分事だと思える範囲の細かさが違うだけ」だと思えてきませんか?そうなれば、障害と健常に二分されるような大雑把なものではないはずですね。最近は職場や学校で発達特性について様々言われるようになりました。でも、その見方は後付けの理由が混じっているのかも知れません。こんな視点からも見てみませんか?

そして、あなた自身がすぐに行動できないものがあるとして、角度を変えて見られるとよいですね。


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