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バッドガイズ

2023/6/29

マグさんと見た

みんなちゃんとブロマンスのある映画だって言ってよ!!!!!!!覚悟なしにスネークとウルフを喰らっちゃったんだって!!!!

バッドガイズは動物の見た目をしたメインキャラクターたちが見た目や属性によって怖がられて恐れられているから、誰からも自分を見てもらえず、それなら悪いことをした方が得じゃんどうせ「悪」なんだし。ってところから始まる話で、狼と蛇と鮫とピラニアとタランチュラっていうメンバーなんだけど、ここの「なにもしなくても怖がられる」「悪事が行われた際に真っ先に疑われる」「善行をするとエンタメになってしまう」「正しい行いをしようにもやり方がわからない」あたりのバランスというか逃げなさがすごい。これだって生まれ持った「何か」の話をしてるじゃないですか…。冒頭の「配られた札で勝負するしかない」はかっこいいシーンではあるんだけど、それだけ世間と自分を信頼していないシーンでもあるし最速で現状を説明するめちゃくちゃ最高の冒頭でもある。それはそうと出だしから銀行強盗はする。

最終的にモルモットが黒幕なんだけどこの構造もよくて、モルモット教授のグッドガイズの講義は本当ではなくて目眩しのための詐欺なんだけど善行の講習や教えた行動は嘘ではないので猫を助けたりシェアしたりの下でバッドガイズたちはそれらが「いいこと」だって気がつける。いいことっていうのは行いのことで、行いは結果を生むから初めてでも迷ってても素直じゃなくても行動を起こせば何かが否が応でも起こってしまうんだ!っていうのがめちゃくちゃいい。心が伴わなくてもどうしてそれがいいことなのか分かんなくても救う行動はある。あとでそれらに気がつければいいよ、っていう優しさがあった。それはそうと心が伴ってなくても起こした行動も言葉も覆せないのでスネークはちゃんとウルフの言葉に傷つくし心配する。この辺のバランスがすごいよバッドガイズ…。

ウルフとスネークのめちゃくちゃなブロマンスは冒頭からラストまでずっとすごい。そもそもバッドガイズがラストでいいことや人を信じることに辿り着けたのはお披露目パーティーで人々に讃えられたからだけじゃなくて彼ら自身がお互いを信じて愛してそばにいて認め合っていた事実があるからで、それらは既に「配られた手札」だったっていうのもいい。別に言ってなかったしそれがなんなのか知らなかっただけでウルフをはじめとした全員がスネークはいいやつだって知ってるんですよ。辛くてむしゃくしゃしてる時に好物を分けてくれる蛇なんですよ…。
そもそもスネークが持っていた心配は「ウルフが変わること」じゃなくて「そばを離れること」だったので「変わったら口を聞いてもらえなくなるかも」って不安を笑い飛ばすし、「それでなにを言いたいかって…」「俺も愛してるぜ相棒」なんですよ、なんだこれ嘘みたいだな、二次創作とかではないです。
バッドガイズは動物をモチーフとすることで様々な重いテーマを軽やかに描いているところがありますがこいつらが人間だったらウルフとスネークの空中大告白がお茶の間で流せない感じになってしまう。

知事が最高。市長だったかも。
正体がバレる前から「妙に心境を言い当ててくる」「油断できない雰囲気がある」「粋な采配をする」などかっこよさがとどまるところを知らなかったんだけどサプライズニンジャをされてからはめろめろだった。あの場面で新キャラが出てきても凄いけど「姑息な狐」と「信頼されてる知事」をどっちも背負ったままメインテーマの「かっこいいワル」「信頼される善人」をやり遂げた先達になるのがストーリーをスムーズにしてる。正直ダンスシーンとこの正体の開示で完全にウルフとのロマンスをやると思ったんですけどスネークが空中大告白と一切寝返ってない行動ではるか上空を愛で飛んでいったのでそう言うのはなかった。言葉が雑になってしまうがメインヒロインはスネークだった。
カーチェイスからのタランチュラへの「ねぇ、女子旅しない?!」がかっこ良すぎる。タランチュラが紅一点であるキャラデザもずっと好きだったんだけどハッカーと伝説の泥棒がバイクで敵の車両の間を駆け抜けていくシーンはちょっとやり過ぎなくらいかっこよかった。

ウルフが宝物を返して、もぬけの倉庫から帰ってくる下のあらゆる金品は誰の目から見ても宝物だけど写真だけはそうではない対比が綺麗だった。序盤の誕生会でケーキじゃなくて写真を見つめてたスネークにとってあの写真と思い出が宝ものなのは明らかで、でも倉庫にはそれだけが残ってて、あの思い出だけは誰にも奪われないしここに唯一残った価値のあるものだっていうのが分かるしだからあのあとアイスを分けたりもする。ウルフが仲違い直後に「そう言う関係だったろ!」って言ってたけど悪態も喧嘩もそれに意味があるわけじゃくて隣にいるための心地のいいロールプレイなので、日頃はアイスを分けない小心者として振る舞う(実際がめつい蛇ではある)けど、必要になったらアイスを分けるくらいなんでもないって言うシーンでもあって心の中にある善性の書き方が上手い。すごい。

ラストの「古典的すり替えだ」、善性の話をしてたこれまでをちゃんと序盤やキャッチコピーの「かっこいい悪役」の要素を拾い切っていて最高だった。罪は罪なので改心と贖罪の時間は必要だけど、法に囚われる存在ではないので今ここにいる許せない奴に鉄槌も下す。ずっとバランスがすごい映画だったけど「改心」だけで終わらないのもいい。

全体的に最高の映画だったね…めちゃくちゃ良かった。金曜ロードショーで10回くらい放映して欲しい。

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