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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

マグさんとみた!もうハリポタシリーズも最新作まで来てしまったな…

11作あるハリポタシリーズ、全て2時間30分越えくらいなので27時間くらいらしい。ハリポタの別媒体で気が狂っても丸2日くらいあれば追いつけると思えば良心的ですね!

弱み

冒頭から始まるダンブルドアとグリンデルバルドの邂逅が始まって「どうして一緒にいたんだ」「君を愛していたからだ」がぶつけられて大変だった。これ本当に劇場で大変になった。詳しい人が「グリンデルバルドとダンブルドアはそういう仲で〜」って言ってるのをみたことはあったんだけど映画はそういう描写を避けるもんだと思ったのでダイレクトに「愛」とか「恋」とか出てきて大変びっくりした。
字幕では「君に恋していたからだ」になっていて「君の思想に協調したわけではない」ってニュアンスが強いんだけどだったら尚更タチが悪いので言い訳になっていない。本当に相容れない思想だったけどグリンデルバルドが好きだったから付き合ってたダンブルドアによる愛とか恋のせいで一時めちゃくちゃなりかけてた魔法界のこと思うとだいぶ可哀想。

死の秘宝までグリンデルバルドが生きていて、ダンブルドアの過去についての生き証人であり唯一秘密を知るものだったことはヴォルデモートが狙ったことから明らかなので、この後もダンブルドアは過去のことを誰かに打ち明けることなく死んでいくことだけが決まっている。死の秘宝の本をハーマイオニーに預けてまでしたくなかった過去の話であり、「ダンブルドアは過去に死の秘宝を集めていた」という事実自体は判明している状態で、副題「ダンブルドアの秘密」ってついてるわけなんですよ。
つまりダンブルドアの秘密って「グリンデルバルドを愛してたこと」なんじゃない…?妹を殺してしまったこととか弟の子供を助けられなかったことの理由に「未熟だから」ではなく「そんなことより優先する1人がいたから」というの、世界の局面を動かしうる偉大なるダンブルドアにとって致命的な情報。「でもあいつ世界より家族より恋人を選ぶわけだし…」って言われたら動けなくなるもんね、実際動けてなかったし。
このあたりダンブルドアのグリフィンドール感が出ていて、大事なのは誰からみても正しい正義ではなくて「自分にとっての正義」でそのために世界すら相手取った大胆さというのは確かに隠すべき秘密なのかもしれない。いや、普通に学校の教師をしているだけなら別に公言しなくてもひた隠しにするような秘密ではないんですけど、何せ本人が偉大すぎるので…。

2作目の鏡のシーンでグリンデルバルド(ジョニデ)と血の誓約を行った過去が映し出されてるあたり、ダンブルドアってまだグリンデルバルドのこと思っているので世界を転覆しかねない巨悪に対して自分が1番に動くことのできないもどかしさと同時に理由がある安心感を抱えていたと思うんだけどそれでも立ち向かうのを辞めなかったのは確かに善性だし、そこに「公平さ」を謳うハッフルパフ卒の人間にうっすら興味がないニュートを使うのも最適解なんだけどニュートを巻き込むなよ。テセウスも怒ってますよ。
ダンブルドアがグリンデルバルドに何らかの感情があることはずっと示唆されてたけど、敵対している以外の理由がなかったグリンデルバルドが今回のラストで「この先誰が愛してくれる」って叫んだので双方向なことが明らかになってしまった…。明らかになったところで終わりましたが…。

偉大なるダンブルドア、ホグワーツの校長、麒麟に選ばれし完璧な善人。そうなった彼を誰が愛してくれるのか、対等に扱ってくれるのか、もう隣に立つ人は俺以外にいないのに置いていくのか?というしんどい台詞、これらが簡潔に収まってるので言葉選びがすごい。実際ハリーもダンブルドアのことを完全に理解せず自分が信じたダンブルドアを信じて恩師として扱い切り、敬愛していたけど対等だとは露ほども思ってないところを見るとかなり先見の明があるし愛した人を心配しているし、真に対等だったから出る言葉なのでこの先の誰もこの時点のグリンデルバルドに勝てない。

ハリポタ時点のダンブルドア校長、この映画を見てから振り返るとかなり世界に対して投げやりに見えた。
世界に対して積極的に動かなくてはならないホグワーツの一教師のアルバス・ダンブルドアではなく、もう何もしなくても世界は勝手に動くしいざとなればどうとでも介入できるし不死鳥も隣にいるので死期も近いのでそれはそう。善人なので自分ができると分かっていることをやらないで過ごすことのできない性格も承知なのでもう世界と心中する未来がグリンデルバルドがいなくても見えていたダンブルドア校長がなんか変なじいさんをやるくらいでしか生きていけないのも頷けるし「麒麟から認められた」という揺るぎない結果が足を止めることも許してくれなくなるのでどれだけセブルス・スネイプが泣いてても止めることができない。だって自分のこと真に愛してくれる人はもう隣にいないし。

愛しているものを見つけてそれを守るためにヴォルデモートに立ち向かうハリーに対して、もう愛してる人も愛してくれてる人も目の前から立ち去ったダンブルドアが世界的に強いのはもう仕方なくて、たった1人のために世界と家族を裏切れるメンタルの人がそれを失ったら全てを守らざるを得ないし全てがうっすらどうでもいい。だから全てを守るし、全てを使うことができるし、誰もダンブルドアのことがわからない。本当はたった1人のためになんでもできる人間であることがダンブルドアの秘密で、それを失ったから世界が遠くなって俯瞰できて非道になったこともダンブルドアの秘密。

ファンタビのアルバス・ダンブルドア、まだ言葉の魔法を積極的に使っている時期なので見た目にも気をかけてるし誰に対しても「なんか威厳ある感じで笑う」「適当なことを言う」とかせずに目を見て話すのでかなり印象が違う。
この作品で好きな魔法の言葉シーンはテセウスの前に現れた時の「この話を聞く前に。いいか、まず私を信じるんだ」ってテセウスになんの利もないこと言う・ダンブルドア。本当にこのシーンテセウスに対してなんのメリットももたらしてないんだけど弟の前であることと偉大なるダンブルドアが話す内容であることとイギリス闇払い局局長の自分が呼ばれていることだけを加味して秘密話に加担したのでハッフルパフすぎる。
この下りの「なんの話なんですか?」「言ってないのか?」「秘密だとおっしゃったので…」「あっはっは!」もかなり好き、笑ってんじゃねえぞ。

あとはアバーフォースと信じられないくらい話が弾まないシーンが好き。ここで「アリアナはこれを食べたがった…」って昔話を始めるんだけど、彼は頻繁に「共感を得られる昔話をする」を多用して親近感を獲得してるっぽくて、それと同じことを弟にやって振られてるシーンなんだと思う。弟が死んだと告げるリタに対しても「…私は妹だった」って言っているし、共感や同情を誘って「偉大な」からのギャップで人を落として回ってるんだけどそう言う手法がアバーフォースに通じてないシーンだし、仲良くしたいという出力が他人への同情を引く方法しかなくて弟と向き合ってこなかったアルバス・ダンブルドアのシーンだった。

こいつ3000字もダンブルドアのこと話してるな。

血の誓約を見せてくれるダンブルドアのシーンで、字幕のニュートが「先生、ダンブルドア先生、アルバス!!」って呼びかけてるのかなり「怪物使い」でよかった。
ダンブルドアをアルバスって呼び捨てにして、つまり先生として扱うんじゃなくて1人の意識がここにない存在として扱うことに躊躇いがなくて、人助けをする正義にだけ突き動かされた結果として普段は絶対にしないファーストネーム呼びをするニュートはだからこそダンブルドアに気に入られてるんだと思う。
このシーンで「頭で考えるだけで…」って言ってるんだけど、謎のプリンスのスネイプ先生は「マルフォイを守り、彼が使命を果たせなかったら代わりに行うか?」と言う内容をスネイプ先生がマルフォイを守ることはともかくダンブルドアを殺すことは最後まで躊躇う人柄のはずなのでこの辺の厳しさには参加した人の性質が反映されてそう。グリンデルバルド、頭で考えただけで浮気認定してるし多分連絡先は全部消させるタイプ。

グリンデルバルドはアリアナが死んだ場面に立ち会っている以上、アルバスに兄弟がこれ以上いないことは承知のはずなのでクリーデンスに対しての嘘は「『アルバスが』お前を捨てたんだ」を通すためだけについていて、真実であるところの『俺を選んだから弟と妹を見捨てる結果になった』を隠しているし、厳しい態度だけでは隠せないくらい人のいいアバーフォースがクリーデンスのことを待っているのがばれると速攻で手元からいなくなることも避けているので嘘の選び方が上手い。クリーデンスを手元に置いておく上での1番の課題は愛に飢えている性質でも子供っぽくて成長しきれてない性格でもなくどの状態からでも愛してくれる100点満点の父親が待っている事実なことを見抜く目がある上で辛くあたりながら顔を触って慰めるグリンデルバルド、本当に悪のカリスマ。

この人たちの愛の重さ、「グリンデルバルドはヨーロッパでは活動しなかった」によく現れてるんだけどダンブルドアも安全なホグワーツにいたと言うかグリンデルバルドに合わないようにしてたと言う節も絶対にある。
ダンブルドアがドイツでニュートに伝言をさせてその場に姿を表さなかったくせに、翌日闇払い局に姿を表すあたりとかかなりそう。あの場にいさえすればフォーゲルは「正しきこと」をしたかもしれないのにそこまで詰めなかったの、グリンデルバルドに関して自分が動く姿を見られるのを怖がっている。そのせいでテセウスはかなり死にそうになる。

どっかで言及したんだけど、ハリポタは誰と連んでいるかで本人の素質がかなりわかるので、グリンデルバルドが「有能だが世間から浮いてる」「子供っぽい/大人になれなかった人たち」「何かを亡くしている」をほぼ全員が備えているのはそのままグリンデルバルドの性質だしこのラインナップが足して割ったらアルバス・ダンブルドアになるのかなりしんどい。
でも今回のダンブルドア軍団のメンツは「人間にうっすら興味がない」「恋人を探している」「弟のことが心配できた」「名家の生まれで死んだ妹の名誉のために参加した」「技術を持つが現場に出るわけではない」なのでいい加減にしろよの気持ちはある。複数名集めて自分にするな。
ハリポタ、徹底して他人の中に見ることができるのは自分が知ってる感情のみという厳しさがある「理解」ではなく「受容」の児童文学。

兄弟

テセウスとニュートがめちゃくちゃ仲がいいので三作目大好き。

ホグワーツで合流した時に「弟に会いに行こう」ってダンブルドアに言われた瞬間に顔を見合わせるスキャマンダー兄弟、あの瞬間から「優秀な兄を持つ弟」と「浮いてるし扱いのわからない弟がいる兄」の自我が急に表に出てきていたし、あの2人は口に出さないけどダンブルドア兄弟に相当自分とか重ねていると思う。

刑務所から兄を助け出すニュートの下り、いっぱい動物が出てきて楽しいシーンだった。
ピペットの説明に「僕の、ペットだ」って言ったらめちゃくちゃ怒られる顔をされるのら普段はなんて呼んで許してもらってるんだろう。ハニーとか??

模倣で見出した戦法「ゆらゆら」で謎生物を攻略するニュートとそれを真似するテセウスと愉快な音楽、全部好きなのであの感じで進む映画をあと3本くらい作って欲しい。

基本的に愛してる動物に対して模倣や観察で上手くいっている成功体験があるのでニュートは人に対しても模倣とか観察をする。ダンブルドアに「完璧な人なんて…」って言うのも多分誰かに言われたんだと思うし、それを分かってるからダンブルドアは途中でやめさせている。その後の「でも完璧であるように努力はできます」って続くニュートの言葉には人間を信じる心と世界の公平さに対する信頼があり、美しい価値観の人が美しい世界を言葉にしていて色んなものを見たダンブルドアにはやや眩しすぎるくらいに映ったと思う。

好きなものに対して観察と模倣を繰り返しているけど、ニュートを好きな人たちはみんなニュートとことをじっと見つめて反応を待ってくれるので基本的にニュートが困り続けるの、かなり愛だと思う。ティナとかかなりそう。結婚式に現れたティナがじっと目を見つめて話を聞いてくれるシーンで言葉に詰まってるニュートかなり可愛い。
テセウスが序盤の電車内での紹介シーンで「俺は?」って自分ことを紹介させようとしたり、最後の結婚式のシーンで「俺はカッコよくないのか?」って聞くところ、かなり弟に甘えてるんだけどこの人多分弟に甘えて欲しいんだよな…。

でっっかいうつわ

本当にジェイコブってすごくて…。本当の本当にすごくて…。

正しさのためにニュートが動く反面、本当にクイニーの心配をしてグリンデルバルドに挑むジェイコブは勇敢だし大胆。クイニーの無事のためならその過程に発生したありとあらゆる事象を許してくれるため、グリンデルバルドがいる食事会に参加して危険な目に遭っても全く気にしてないし、クルーシオをかけられて死にそうになったのに「まぁ、クイニーが帰ってきたし」で許す。どこまで器がでかければ気が済むんだ。

でもそのでかい器はクイニーでいっぱいなんだって…。
ここのシーン全部すごくて、ずっと楽しげではあったけど緊張を切らさなかったジェイコブがクイニーに会った途端に破顔して声が柔らかくなって周りの音が遠くなってクイニーにだけ伝える、彼女のための言葉で語りかけてるのが明らか。ここまで散々グリンデルバルドの愛って重くて…ダンブルドアって愛された事実を手放せなくて…とか言ってたけどジェイコブのパーフェクトコミュニケーション愛情表現の前に砕け散るまである。
言えばよかったんじゃないですか?君に出会ったのはその聡明さ故だけどもう何も持たない君でも愛してるんだって言えばよかったんじゃないですか?何もなくても愛してくれるか?って聞けばよかったんじゃないですか?やるべきは裏切らないための誓約ではなくてたとえどうなっても私のこと忘れないでくれって信じて託すことだったんじゃないですか????
まあだとしてもそれに届かないプライドの高さをお互い愛したんだろうことはもう様々からわかってるので無理なんですが…。

クイニーとの最後の会話で「クイニー・ゴールドスタイン…」ってフルネーム呼んでるの、明らかにプロポーズの前振りなのでそれを遮ったことは絶対許さない。

SHERLOCKで人当たり良さそうなワトソンにぽっと出のシャーロックが親友枠に収まれたのは実のところ戦争とか一切関係なくワトソンが変人フリークだからだけどジェイコブの親友枠が空いてたのは戦争があったからなのでニュートはタイミングの良さに感謝したほうがいい。世界が放っておくはずないものジェイコブを。

諸々

ラリー先生がカッコ良すぎる。本当にカッコよくて大好き。

防衛術の先生、推しは呪文学。教員として非戦闘職として初めは出てきたけど作中随一の活躍を見せるめちゃくちゃかっこいい女。ダンブルドアに対しても気軽に接し、「君の防衛術は鉄壁だ」「そうね、確かに私の防衛術は鉄壁よ」と返す余裕まで兼ね備えている。実際鉄壁。

冒頭のニュートとか道中のテセウスが結構派手な魔法で敵を薙ぎ倒していくのに対して「足に紐を引っ掛ける」とか「グラスの中身を飛ばす」などの最小の行動で被害を抑えるあたりがかなり渋い。「おすすめは呪文学よ」とホグワーツ生に勧めるシーンがあるのできっと彼女は多彩な呪文を習得していて、それらを適切に使えることをダンブルドアに認められてこの場に来ている。様々な因縁に縛られた面々の中で「強い!!!」と言う理由だけで導入されたラリー先生、強いし理性的だしジェイコブから目を離さないしニュートにびっくりしないのでこれからも出てきてほしい。

ラリー先生の戦闘シーンはどれもかっこいいんだけど、終盤の傾斜のある十字路でテセウスと背中合わせで戦うシーンが1番好き。敵が武装解除っぽい魔法一本で来てるところに「近くにあるボールを投げる」「布に襲わせる」「籠を上から落とす」「壁にめり込ませる」って言う多彩な魔法で次々に敵を薙ぎ倒していく姿がめちゃくちゃかっこいい。
この世界の魔法はどんなに強くても防ぐ方法があるっぽいのでそれぞれの魔法に対して、グリンデルバルドの部下なら適切に対応できると思うんだけど「ものが落ちてくる」と「強力な魔法に襲われる」っていう方向性の違う攻撃に全て対応できる人がいないので次々に敵が倒されていくのは圧巻だった。
この手数の多さがラリー先生の鉄壁の所以なんだろうな…かっこいいよ…。

ユフス・カーマ、冒頭でリタの記憶を奪われてグリンデルバルドに寝返ったと見せかけてちゃんと味方として戻ってくるの大変カッコよかった。この世界でグリンデルバルドにメロメロにならずに帰ってくることの難しさはダンブルドアが証明してるので本当に誇っていい。

とにかく!!ハリーポッターシリーズを走り切りました!!!マグネット磁石(敬称略)には頭が上がりません。本当にありがとうございます。すっっごいたのしかったです。

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