【中国の思想と文化】魏晋の「狂」の群像
はじめに
中国古代思想における「狂」には、大別すると「狂狷」と「佯狂」の二つの異なる系譜がある。
前者は、孔子が『論語』において「進取の気」として肯定的評価を与えたことに始まり、孟子がこれを祖述し、以後、連綿として明末の王陽明にまで受け継がれ、儒家的な精神文化の一側面を形成している。
後者は、殷王朝の末に狂気を装って紂王の暴政を逃れた箕子に始まるものであり、乱世を生き延びるための「明哲保身」の処世術として、知識人たちが古代から長く守り伝えてきた。
「狂」は