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座談会 第2夜 vs 現役女子大生

関西演劇祭2022を1カ月先に控え、参加10団体と演劇祭OBや現役学生、若手演劇人をお招きして関西演劇祭をより広く知ってもらうため、ご意見や質疑を交わして、演劇祭本番に向けて準備していきたいと思います。
(事前に収録した内容をテキスト化しています)
第2夜に集まっていただいた方々は、

≪ 第2夜 ≫ 
【関西演劇祭2022参加劇団】
劇団イロモンスター・・・シゲカズです
【関西演劇祭OB】
メガネニカナウ・・・上杉逸平
【大阪音楽大学ミュージカルコースの皆さん】
田丸千弘、石川玲菜、今富はな、中谷桜
【司会進行】
藤原治基



<1.おじさんたちと女子高生のぎこちない自己紹介から>

藤原:今回もお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
今回の座談会はおじさん3人だけになるかと思っていたのですが、現役女子大生の方々にお越しいただけることになり座談会に華を添えていただきました。
彼女たちは大阪音楽大学ミュージカルコースの現役の学生さんたちです。現在一緒に11月末のお芝居に向けての稽古中です。よろしくお願いいたします。
学生の皆さん:(元気に)よろしくお願いいたします!
藤原:そして昨年の関西演劇祭2021でMVO(最優秀作品賞)を受賞されたメガネニカナウ主宰の上杉逸平さんにもお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
上杉:よろしくです。


藤原:では早速、今年の関西演劇祭2022参加の劇団イロモンスターさんの紹介です。

関西演劇祭2022参加団体

シゲカズ:劇団イロモンスターのシゲカズです。
@shigekazudesu
普段はよしもと漫才劇場でやらせていただいているんですけれども・・・、気持ち悪い芸人を集めたお笑いをベースにしたお芝居になっております。
皆様にご迷惑にならないような楽しいお話ができたらと思っております。

藤原:上杉さん、メガネニカナウさんの紹介もお願いいたします。

関西演劇祭2021参加作品

[受賞data]
関西演劇祭2021参加作品 メガネニカナウ『ほぼ永遠の稽古場』
作・演出/二朗松田
MVO(最優秀作品賞)
ベスト脚本賞/二朗松田(カヨコの大発明)
演出賞/二朗松田(カヨコの大発明)
ベストアクター賞/寺井竜哉(STAR☆JACKS)

上杉:メガネニカナウは基本的には僕一人のプロデュース団体なんですけど。@iPpeiTweet
僕がこういう芝居をやりたいなって思ったやつをその都度書いてくれる人、演出してくれる人、演じてくれる人、スタッフさんを集めて自分一人でやっています。だから関西演劇祭に出る時もこれ劇団じゃないのに出ていいのかな?と思っていたんですが出れてよかったです。

藤原:最優秀作品賞のMVOを受賞されましたが、その後環境の変化はありましたか?
上杉:最優秀作品賞をいただいて逆に僕自身オファーがなくなりました(笑)
藤原:えっ!そうなんですか?
上杉:「関西演劇祭の最優秀賞とか賞を総ナメしましたよね」みたいな感じで『忙しい人イメージ』がついちゃって今年何にもないです(笑)
来年の1月に愛知県の武豊町で同じ演目をやらしてもらうんですが、年内はないですね。ベストアクター賞を受賞した寺井竜哉くんはSPサポーターの一色隆司さんからのお誘いでテレビドラマに出れたりとか、俺以外のみんなはそれなりに美味しい話があったりするみたいですよ(笑)
藤原:上杉さん、ずっと忙しいんやと思ってました。
上杉:皆そう思ってはるんで逆に何にもないです(笑)メガネニカナウというプロデュース団体をやっているだけで、役者とプロデューサーだけじゃないですか?やっぱり書いて演出しているとか、主役を張っているとかっていうポジションにはないので、関西演劇祭に出たからこうなった。みたいな分かりやすい結果はないですね。
ただ、僕は京都でBARをやっているんやけど、そのバーで吉岡里帆(関西演劇祭2021実行委員長)さんと一緒に写っている写真をお客さんに見せたらめっちゃ喜びはります(笑)

藤原:関西演劇祭をきっかけにBARは流行っているんですね?
上杉:BARは流行っているというかその話で盛り上がるっていう感じですかね?カウンターに頂いた盾とか置いて「これ何ですか?」って聞きはったらそこから話が盛り上がったりとか。そういう旨味はありますね。
お仕事のオファーはいただいているんですが今年はなかなかスケジュールが合わなくて。。。
藤原:怖いですね。
上杉:怖いです(笑)


<2.関西演劇祭とは?>

藤原:さて、前回の座談会 第1夜で、学生さんが関西演劇祭の存在を知らない、観たこともないということを聞いてショックを受けたので先に関西演劇祭について説明をしておきたいと思います。
詳しくは 第1夜をご覧ください。

関西演劇祭2022公演スケジュール


<3.女子大生からの素直な質問>

藤原:大阪音楽大学の皆さん、ご質問ありますか?
田丸:関西演劇祭って参加するには劇団という縛りがあると思うんですけどどうしてなんですか?

藤原:基本的は劇団で10劇団を集めたいというのが目標です。
作品を作る上で脚本家・演出家・役者が決まっている方が、次の公演に繋がるし、例えば演劇祭で賞を受賞した時にずっと劇団の名前が残りますよね。賞を受賞した方にお客様が興味をもってもらい、俳優が所属している劇団さんを観に行って欲しいという思いがありました。ただキャストスタッフを揃えた劇団が少なくなってしまって劇団という縛りが必要なのかというのも考えるようになりました。なのである程度メンバーが固定されて団体のカラーが決まっているユニットも関西演劇祭では選出しています。

田丸 ありがとうございます。

今富:公演する時って、いい作品いい舞台を作ってお客様に来ていただいて、千穐楽まで走りぬけるというのが目標だと思うのですが、
演劇祭となると「賞を取る」というのがもう一つ目標となると思うのです。そういう時ってモチベーションや取り組み方に違いがあるんですか?

シゲカズ:ぼくらは1作品1ステージで終わることが多いので今回3ステージやる方が特殊なんです。賞を取るぞというよりは普段見ていただかない方に見ていただけるのが大事だと思います。
藤原:シゲカズさんは以前アカルスタジオ(なんば)でも何回か公演されていますよね?劇団イロモンスターではないですが。
シゲカズ:はい、アカルスタジオの若い方とお芝居させていただきました。基本はお笑いしかできないんでお笑いをベースなんですけど、一番びっくりしたのは若手俳優の方々がセリフが増えれば増えるほど喜ぶというのが一番マジでびっくりして。
全員 (爆笑)
シゲカズ:お笑い芸人というのはセリフが多ければ多いほど嫌な顔をするので、それが一番のショックというかびっくりした出来事ですね。
あとは練習をすごくするというか?
田丸 マジメということですか?
シゲカズ:マジメというか、真摯に取り組むって間違いではないけど、練習に来る前に台本を見てきたっていうのがびっくりです。

藤原:上杉さんはどうですか?昨年は賞を取ろうと思って参加されましたものね?
上杉:はい、取りに行きましたね(笑)結果取れてよかったです。
藤原:関西演劇祭の作品はここを変えようとかありました?
上杉:僕が参加したのが関西演劇祭3年目ですよね。1年目2年目にどういう団体さんが賞を取ったかを眺めてたら大体傾向とかが見えてくるので、こういう芝居したいから動き始めました。なので賞を取りにいくぞというよりは、賞をとったら目立つんちゃうかなという感覚でしたね。
この舞台で賞を取るんだみたいなプレッシャーとかあったらいつもと違うテンションになっちゃうので。「メガネニカナウを見に来たで」というお客さんばっかりじゃないので関西演劇祭に出ているときは普段よりも気楽でしたね。
あと他の団体の人たちがいい人ばっかりで、休憩場所で盛り上ったりとか、『繋ぐ演劇祭』という名前のとおり、休憩所でみんな挨拶しもって、あそこの劇団はこうやみたいな話で盛り上がったり、また見てくださいみたいな話をしてて、芝居に集中している時間が少ないのでそういう意味では『お祭り』に参加している感じはしました。


<4.学生と大人との距離感について>

田丸:少し話が反れるんですが、若者からすると大人の方々と仲良くするとかダメだよって、学校で教わってきたんです。先生とかとSNS交換したらダメだよとか、先生と生徒の線引きが顕著だったんですけど、今回の私が出演する舞台の座組では大人の演出家の方々がフランクに話しかけてくださってびっくりするんです。SNSとか交換できるんだ?とか、フランクにしゃべっていいんだ?とか。演劇祭ってそういう感動もあるかも知れないですね?

上杉:ルールを守らないかんのは大人の方なので。最近すごい困るのは過剰に気を遣かわなダメな部分ですね。
僕なんか一人で動いているんで、観に行ってこの子面白いやんっていう子を調べたりするんですけど、どうオファーをかけたらいいのかってすごい気を遣いますよね。昔は稽古終わってみんなで飲みに行ったりとか、喫煙所でしゃべっていたりとかで、「じゃあ次出て」みたいに簡単に決まっていたんですよ。今はそういう繋がりが無いんでめっちゃ苦労します。大変な時代ですよ。
田丸:SNSがあるけど逆にですか?
上杉:SNSで簡単に連絡取れてしまうから逆に気を遣うっていうか?連絡したらアウトみたいな。
田丸:アウトなんでかね?
上杉:うーん、ハラスメントって相手がどう思うかなんで相手が「キモイおっさんから連絡来た」と思われてしまうとアウトですね。
田丸:なるほど・・・。


<5.アイデア先行かお客様目線重視か?>

藤原:中谷さんどうですか?
中谷:ご自分が作品を創ったり演出されたりするときに
「これを発信したい、こういう演出がしたい」という自分出発なのか、
「お客さんに笑ってほしい、こういうことを考えてほしい」という観客出発なのか、どちらに重きを置かれているのかお聞きしたいです。
結局双方繋がっているとは思うんですけど、どちらをよりメインに据えられているのかなと。
あとそこから派生して「表現すること」において、できるだけ多くの方に分かってほしいと思われるか、分かる人だけ分かればいいと思われるか、お二人はどのようなスタンスですか?

シゲカズ:急にマジないやつが・・・

全員:爆笑

シゲカズ:僕は基本的にアイデア先行ですね。このお芝居の中やったらこの演出をしたいとか、このセリフを言いたいがために話を作っていくみたいな感じなんで。アイデアが優先ですけど、もちろんお客さんもにそれがどう伝わるかって問題なので、分かる人だけ分かったらいいわという発想はないですね。僕は伝わってなんぼと思っています。

上杉 メガネニカナウの場合はコンセプトがハッキリしてて、終電を乗り遅れて、朝まで時間潰そう思ったらオールナイトの映画がやってて、それが意外と面白ろかった。ぐらいのラインをいつも狙ってるんです。うちは公演やるときは3本短編のオムニバスで間に5分ぐらいのひとり芝居を入れて繋いで2時間なので、映画館とかでも間にCMが挟まったり予告編が挟まったりするみたいな、そういうノリでお客さんに来ていただけたらと思っています。万人受けするかニッチなとこ行くかとかっていうのはあんまり考えたことないですね。例えばめっちゃエンタメの作品とめっちゃややこしい作品とあっても最後は二朗さんでわかりやすく締めるみたいに3本やってたら、3本どれか面白ろいって言わはるやろみたいな。1本だけやと文句言いたいじゃないですか?でも3本やっとったら1本ぐらいは面白かった、まあええんちゃうぐらいで。もやっと帰っていただければと思います。
僕も分かりやすいのが好きなので、あんまり眉間にしわ寄せて見ている人が多い舞台って面白くないじゃないですか?
できればみんなニコニコして見て欲しいですね。


<6.おじさんと若者の共通点?>

藤原:ありがとうございます。逆に若い皆さんはどんなお芝居が見たいですか?
石川:45分の短い作品だったら掘り下げるものよりわっと楽しめる作品がいいかな?
田丸:チラシとかに上演時間が何分とか書いているのを見ると、結構内容を想像しやすくて、こういう展開なんだろうなと想像してしまうんですが、事前情報を出し過ぎると本番が楽しめないのでフライヤーって難しですよね?
上杉:僕は店のカウンターで他の劇団さんのチラシを見てて、これは見た目で面白くないなとか思っちゃいます。
今富:めっちゃ分かります!
上杉:なんでこのフォントでこういう写真使うのみたいな?
田丸:分かる!
上杉:これはあらすじだけでアウトやなっとか?
田丸:分かる!
上杉:なんやったらザラ半紙で手書きとかやめてくれとか。あと紙の厚さとか。
田丸:そうですよね。結構紙大事ですよね?
みなさんがお芝居を探すときって何が決めてになりますか?
シゲカズ:ぼくは誰か知り合いが面白いって言ったらとりあえず見ます。私が選んでダメだったショックが計り知れないので。そこは結構他力本願かもしれないです。
上杉 さっきもいいましたけど、チラシって大事っていうじゃないですか?
そこを逆に利用するっていうか。うちのチラシってこうなんですよ。

メガネニカナウ過去フライヤー

表面がこれだけなんです。例えば挟み込みでこれ出てきたら絶対に ひっくり返すじゃないですか?ひっくり返しさないと中身分からへんていう確実にこうなんやこれって思わせるように表は協力何も書かないっていうか?
そのコンセプトも場末の映画館みたいな、アメリカの片田舎の設定なのでチラシもずっとアメリカの近代アートみたいなそっちの路線を狙ってオーダーはするようにしてますね。メガネカナウやって分かるっていうのは狙ってますね。

藤原:他に質問ありますか?

石川:お芝居で山場を作ったりという話をしてたじゃないですか?いろんな人が見てくださるような作品を作るときに物語の流れをこうしたいという作戦を仕込んでいくのか、作っていく段階で完成していくのか?どっちですか?

シゲカズ:その場の感じの確立が高いかもしれないですね。山場とか考えて作ったことはないんですが、1時間内に入れなければならないっていう感じでやってます。

藤原:劇団イロモンスターさんって即興劇的な匂いもするんですけど、即興っぽい雰囲気を大事にしてるのか?ストーリーの中でどれだけアドリブを入れれるかっていう形にしてのかどっちなんですか?

シゲカズ:一応後者なんですけど、お話としては作っておいて、その場では出せない部分を逸脱しても成立するようのに作っています。

藤原:ありがとうございました。

< 星取り表 >
藤原:最後に今回の関西演劇祭参加10団体の特徴をより分かりやすく表すために星勘定で特徴を表現したいと思います。

劇団イロモンスター
ジャンル:サスペンスコメディ
☆5:感情
☆3:顔
☆1:即興
※コントのような即興(アドリブ)を減らしてお笑い芸人による違った形のコメディをお届けいたします。

藤原:以上。本日はお忙し中ありがとうございました。


< 告知 >

メガネニカナウ_武豊町

〇メガネニカナウ @iPpeiTweet
『ほぼ永遠の稽古場』
2023年1月14日(土) 14:00/18:00
会場:ゆめたろうプラザ(武豊町民会館)

〇【大阪音楽大学ミュージカルコースの皆さん】
田丸千弘、石川玲菜、今富はな、中谷桜 出演
「ガラスの仮面」3週連続作中劇
11/25-27、12/9/11「忘れられた荒野‐狼少女ジェーン‐」 演出:金哲義
https://akaru-project.co.jp/

藤原:最後にスクショを取って終わりたいと思います。
ありがとうございました。
次回の座談会は「TAAC」「RE:MAKE」さんです。





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