見出し画像

●展示会・Liuteriaレポート●根本和音さん in Cremona

広報担当 角真央による工房レポート。

根本和音さん。
Francesco Toto 氏との共同工房。



19世紀貴族の建物の中にあり、
モンドムジカ(monde musica 弦楽器国際見本市)の時には工房でパーティーが開かれるという。

工房の他に、木材ストックスペース、応接室、書斎がある、ゆったりとしたエレガントな雰囲気。

木材のストック。30年以上経っているものもある。材料取得のルート作りも大事。
歴史的建造物につき、道具類を壁にかけられず、引き出しに。建物を守る故の特注家具が、落ち着きのある空間を作っているように思えた。



根本さんは、15歳でクレモナへ渡り、かなり早くから職人の道を歩み出されました。

お父様がミュージシャンとのことで子供の頃から、ご家族の中で音楽は身近で、
小学5年生からバイオリン、中学生でサックスの演奏を習い始めたとのこと。

お前は職人になれ!と父親からの命を受け、
まず3ヶ月弓製作講習会を受講しにクレモナへ。
その後、国立ヴァイオリン製作学校に入学。
(イタリアの高校と同じく5年間在籍)

Massimo Ardoli氏に製作を学び、在学中より氏の工房に通い詰めて研修を続け、
卒業から6年後、Francesco氏のアシスタントとなり、根本さん自身もプロとして活動を始められました。



年間11本作れるほど、作業が早く器用な根本さんですが、
Francesco氏のとストイックさ、ここまでやるのかと驚き、はじめての知見もあり、当初はついていくのが大変だったとか。

新しく楽器を製作した時は、
先述の高橋さんや菊田さんにも意見を伺いに。
学生時代から、技術面だけでなく、精神的な成長を支えてもらってきた存在だそうです。

卒業後から受賞が続き、近年ではコンクールにて日本人では歴代2人目、39年ぶりとなるゴールドメダル(根本さんの連載コラム参照)獲得されるなど活躍されていますが、
受賞後はレベルを落とすことはできない、運もある、と精進は欠かせない様子。

現在は、ミラノ へ修復の勉強に通っていたり、セットアップ類をオリジナルで製作したり(材料の黒檀自体が減少しているとのこと)、
AUTO CADで製図をしたりと、休むことなく技術を磨かれています。



プライベートでも、
灌水をもってきて、本気のチャーシューを作り、日本の店のラーメンを極めようとする職人気質ぶり。

共通の趣味で知り合われた妻の萌さんとは
2021年に結婚された新婚さんで、
愛犬ショコラとの生活は愛に溢れています。

UV乾燥室。昔だと夏しか乾燥出来なかったり乾ききらなかった。


名器が収録された本、資料として大変貴重なもの。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?