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カヴァー曲の名作(#4)「雨に濡れた朝」Cat Stevens
東日本の住民の皆様には大変申し訳ないが、うちは関西電力だから「電力逼迫注意報が出てるんやぞ」とか「夕方には停電するかもしれない危機なんです」とか血相変えて言われたところで、実はそれほどの危機感を持ってるわけではない。
そもそも、もとから節電は年がら年中心がけてるし、室内エアコンは28度推奨どころか、29度の時も多い。8月生まれの配偶者が 寒がり だし、家も狭いしな。
1973年の冬に日本全国が、というか世界中が石油ショックに見舞われたのだが、当時サル中学生だった自分の記憶に残っているのは、トイレットペーパーが世の中から消えてしまい、スーパーで売ってなくて、家のトイレには母親が新聞紙をハサミで切ったものを箱に入れて設置してたこと。それと、夜のテレビの放送が11時か12時ごろで終了になったこと。
もともとNHKは午前1時ごろになったら国歌を流して「これで本日の放送は終了いたしました。おやすみなさい。」という放送パターンであったが、それが1時間か2時間早まったんじゃないかな。
民放テレビもそれに倣って、12時以降は停波してたように思う。
「夜の街ではネオンサインが消えて、真っ暗になりました」なんてニュースもやってたけど、サル中学生にとっては夜の街のことなんぞどうでもよかった。
それよか、「石油がなくなるとレコード盤の材料の塩化ビニールが高騰して、今後レコードが大幅値上げになるらしい」というニュースの方が切実だった。
今、節電が声高に叫ばれてるけど、当時のテレビ停波を覚えているオッサンとして納得いかないのは、なんでそこから安直に、「節電しなくちゃいけないから エアコンの設定温度と冷蔵庫の設定温度を上げましょう」につながるのか。
エアコンと冷蔵庫 は現代人の生活の基本中の基本。亜熱帯気候の衰退国でサバイバルしていくためには必要不可欠なもの。
前の総理大臣が 携帯電話の料金を下げる と言ったのはそういう意味で評価できた。20年前なら「ジジババは携帯持ってないから関係ない」という風潮だっただろうが、今は年配の方でもスマホは普通に活用してる。
部屋の中を見回してみたら、今は存在価値がずいぶん減ってしまったにもかかわらず、昭和からの慣習で、なんとなくそこにずっと居座って存在してるものが2つある。
電話機(イエデン)とテレビジョンだ。
「無理なく節電しましょう」なんてうまくその気にさせられて、くそまじめな人たちはエアコンを切り、冷蔵庫の温度を上げる。
その結果、「熱中症や食中毒で病院に多数搬送されました」なんてニュースもそのうち出てくるに違いない。
それよか、テレビの電源を元から切る。これでOK。
本当に電力供給がやばいのなら、NHKはじめ、各民放放送局は、午後1時から6時まで番組を休止しなさい。
緊急情報が必要な場合だけ緊急放送したらよい。
そもそも今はみんなネットで緊急ニュースも得てるから。それでも心配な人はラジオ放送を流して置いたらいいだけだ。
ワイドショーで「節電しないと」というテーマで、くだらん番組やってる最中に、司会のアナウンサーがポロっと「でも本当にまじめに節電してる人は今、この番組見てないですよね」って言ったらしい。
こういう人こそ政治家になって欲しいわ。
「おじいさん、おばあさん、テレビを消して、昼間はラジオを聴きましょう。ひる1時から夕方6時まではテレビ番組を休みます。
昔、青春時代に深夜放送ラジオを聴いていらっしゃったでしょ。青春の思い出がよみがえるかもしれませんよ。」って言ったら、みんな納得して協力してくれるでしょうよ。
国会議員の文通費にしてもそうだが、なんで日本人は「身を削る」ということを極度にいやがるのだろうか。
周りに行動させようと思ったら、まず自分が範を示さないと、口だけでスローガンを叫んでも真実味に欠けるんだよな。教員やってる人はわかると思うけど。
前置きが長くなったが、その1973年のオイルショックの頃に、新聞紙で拭いたケツのチカチカした痛みに耐えながら、ある土曜の夕方にNHKで観たのが ヤングミュージックショー。
なぜかその日はディープパープルとキャットスティーブンスを一緒に放送。
ヤングミュージックショーは不定期放送だったから、新聞の番組欄で ヤングミュージックショー という文字を発見した日はテンション上がって一日をワクワクで過ごしたものだ。
なんせ、MTV以前の時代、洋楽のアーチストがテレビで観られる機会などそうそうない。しかもVTRはまだ市販されていない時代。
リアルタイムで見逃したら一生の後悔。
それくらい気合を入れて台所のテレビの前に座ってたもんだ。こんな時に限ってオカンが、思い出したように文句を言ってくるんだよな。番組に集中させてくれー頼む!
さてディープパープル(イアンギランがボーカルの第2期パープルの絶頂期スタジオライブ)も良かったけど、もっと感激したのはキャットスティーブンスの「父と子」だった。
訳詞が字幕で流れたからサルにも歌の内容がわかった。
そしてヒット曲の「雨に濡れた朝」も演奏されたんだけど、このときのピアノ演奏はリックウェイクマンだったのだろうか。たぶん違うかったような気もする。
「雨に濡れた朝」の原題はMORNINNG HAS BROKEN 。この邦題のセンスも素晴らしい。
この曲はメロディーは讃美歌が元曲(讃美歌444番)、歌詞は有名な童話作家エレノア・ファージョンの詩ということで、キャットステーヴンスのオリジナル曲ではなく、カヴァー曲である。
Yusuf / Cat Stevens – Morning Has Broken (Official Lyric Video) - YouTube
この楽曲の魅力のほとんどはピアノ演奏にある。
讃美歌なんぞ縁のないサルも何か心が洗われるような気持ちになる。
この心の琴線に触れるようなピアノフレーズを弾いているのがイエスに加入する前のリックウェイクマンだ と知ったのは実は最近のことで、インターネットに感謝感謝。
キャットスティーヴンスは後にイスラム教に入信して、現在はユスフ・イスラムという名前で布教活動をされておる。
つまり、キャットステ-ブンスという人物は現在はこの世には実在しない。
NHKのヤングミュージックショーのアーカイプ映像も現存しない(当時はビデオテープが超高価だったので、次の番組で再利用するから放送済みの映像を残せなかったらしい。もちろん家庭用のVTRもまだ存在しない)。
1970年代前半の洋楽がレジェンドとして語られるのにはこういう映像記録が残っていないことも要因なのですね。サル中学生だったけど原体験できて幸運だったな。
年金生活の皆さん。平日昼間のテレビ番組が無くなったところで、体調崩して死ぬこともない。
部屋のエアコンはガンガン稼働させて、冷蔵庫もしっかり強冷モードにしてください。その代わりテレビのコンセントをひっこ抜いて、ラジオをつけましょう。ラジオの音楽番組にリクエストのハガキを送りましょう。63円切手貼ってね。
キャットスティーブンスなら「雨に濡れた朝」と「ピーストレイン」がお薦めです。
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