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けいおん顧問相談室 その10

本日の相談者というか、雑談のお相手はE先生(女性)。
教諭歴10年で現任高校(普通科全日制)は2校目。1校目は支援学校だったので、部活動指導に関わったのは現任校に赴任してきてから。担当教科は英語で担任あり。
 高校時代は水泳部所属だったので、水泳部の顧問が第一希望なのだが、今の学校には水泳部は 存在してるけれど部員ゼロか1人、の状態が毎年続いていて、結果的に軽音楽部の顧問としての仕事が中心になっている。

E「よろしくお願いします。いろいろ聞いていただきたいことはあるんですけど、頭の中はまとまっていない状態です。すみません。」
H「いやもう、雑談しましょう。今の学校現場って、先生は忙しすぎて、教員同士で雑談する暇さえないじゃないですか。昭和の時代なら、職員室でストーブ談義 みたいなのがあって、年配の先生からの経験談とかが雑談の中から得られたんですけど。」
E「じゃあ、とりとめなくしゃべります。」

H「まず部員数と活動の状況を教えてください。」
E「3学年合わせて30人くらいでしょうか。活動は火曜、水曜、金曜の放課後で、3時30分から2時間くらいです。でも、何かいつも遅くまで残ってますね。完全下校は午後7時なんですが、6時半ごろまで音は聞こえてきます。」
H「毎回、E先生が午後7時まで居残ってらっしゃるのですか?」
E「副顧問が2名いますので、付き添い担当の曜日を決めて、3人の顧問教諭で付き添いしてますから、私が付き添うのは金曜日だけです。
 あとの2名の顧問にも 週1回だけですからお願いします、と無理を言って残っていただいています。」
H「担任されていたら、どうせ雑用が山積みでしょうからね。校内の発表の機会はありますか。」
E「9月の文化祭以外では、7月に地域の自治体が主催するバンドコンテストみたいなのに3年生が出演してます。文化部発表会というのが11月の土曜日にありまして、これには2年生が出演します。
あと、近隣にある公立高校とは交流があって、夏休みに合同で交流ライブをやっています。相手校に出向く形です。」

H「練習場所は1か所ですか?」
E「はい。4階のLL教室の隣にLL準備室というのがあるんですけど、実際は教員も常駐しない空き状態になっています。書籍類の本棚しかない部屋です。そこの一角を占拠して使わせてもらってます。英語科の先生は黙認、といったところでしょうか。
 練習場所は一か所ですが、他のバンドは隣のLL教室で待機するわけです。」
H「LL教室とか視聴覚室とか放送室は曲がりなりにも防音壁があったりするので、そこが使えるならばありがたいですよね。」
E「ESS部は木曜日に活動するのでバッティングはないですし。」

H「練習場所が確保されていて、顧問付き添いもローテーションで回していて、それなりに発表の機会もあって。基本的に活動の態勢は整っているように思えますが。何かご不満でもありますか。」
E「学年同士の関係性が疎遠、というか、それぞれの学年で別々にクラブをやっている感じなんですよ。他学年のことは関心がない、といった雰囲気で。」
H「教育的な観点での部活動の意義の一つは、学年を超えた人間関係構築 ですから、それはちょっと物足らないですね。」
E「部活のスケジュールも学年ごとに別々で、火曜は1年の日、水曜は2年の日、金曜は3年の日です。1年と2年は3バンドずつ、3年はあまり把握してませんが4つくらいバンドがあるようです。」
H「それだと、学年が違う部員同士は顔を合わせる機会もあまりないですね。」
E「そうなんですよ。時々 バンドリーダー会議 というのを開いて、この先の予定とか学校行事のこととかを確認し合いますが、全部員が揃うことはあんまりないです。」

H「軽音楽部はバンド単位で活動するから、学年を固めてしまうのはある意味合理的かもしれないですけどね。学年行事とかのからみもありますからね。それで上手くいっているならば。」
E「私が現任校に赴任する前に、学年同士ですごい対立があって、その時以来、自然に他学年とは活動日を別々にする、という暗黙の了解ができたらしいです。」
H「今でも学年同士で険悪なんですか?」
E「いえいえ、2年生の部員は、1年生の練習する火曜日はLL教室に来て、待機している1年生部員としゃべったりしてますね。」
H「ああなるほど。他学年の練習日に見に来ることはいいわけですね。」
E「しゃべりに来てるだけですけどね。飲食は禁止ですので。
  あと、2年のドラムの子が3年のバンドにヘルプで入っている、という例もあるので、実際はそれほど学年間が断絶しているわけではないです。」

H「お聞きしたところ、LL教室の使用状況さえきちんとできているのであれば、特に現状に問題はないように思いますけど。」
E「環境的には恵まれてるのかなと思います。ただ、なかなか上達しないというか、1年生が1曲通して演奏できるようになるまでに半年以上かかってしまうんです。誰もアドバイスをしてくれないからでしょうけど それに対する危機感もなく なあなあで終わってしまって。」
H「先生、それは 軽音あるある ですよ。」
E「同じ曲をずっとやってたりしますね。レパートリーが少ないです。」

H「3年生の引退はいつごろですか。」
E「7月にある地域のバンドコンテストが最後ですね。9月の文化祭は有志バンドのワクで勝手に出たいものは出る、という感じで。」
H「ああ、有志バンドのライブ企画があるんですね。」
E「体育館でのライブなんでいけど、これに出れるのは3年生が優先されるので、1年2年の部員はLL教室の軽音楽部の発表の方に出演します。」

H「3年生はいいとして、先生が気になるのは1年2年の活動ですね。」
E「今の2年生が結構前向きな部員が多いので、何か提案できないかな、と思ってます。あまりガラッと変わってしまうのは抵抗あるでしょうけど。」

H「2年生で活動に前向きな部員さんが多いのなら、今がチャンスでしょうね。さきほどバンド数は1年3バンド、2年3バンドとおっしゃいましたね。」
E「バンド数でいうとそうです。部員数は1年14人、2年が12人です。」
H「学年のバランス的にはいいですね。今は アニメけいおん ブームも落ち着いて、数年前のような大量入部してきて困る ということもないのでしょうかね。」
E「アニメけいおんブームの時は、女子の入部がやたら多かったですね。その分、退部者も多かったです。ギター購入して1か月で退部とか。
 今はだいたい10名ちょっとの入部で、退部する子はほとんどいないですね。そんなに厳しくないクラブですから。だからなかなか上達していかないのでしょうけど。」
H「私の提案はあくまで個人的なもので、効果を保証できるものではありません。だから話半分に聞いてくださいね。まずは学年の垣根をとっぱらうことから手を付けましょうか。」(続く)
  

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