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けいおん顧問相談室 その11

1年生は火曜日、2年生は水曜日、そして3年生は金曜日 という風に練習日を分けて活動されている軽音楽部。顧問のE先生と、学年間の垣根を無くしていく実践方法について雑談しています(その10からの続き)。

H「1年生が部員14名で3バンド、2年生が部員12名で3バンド ということですよね。私なら、コーチバンド制 を導入したいですね。」
E「コーチバンド ですか。」

H「仮に、2年生の3つのバンドを2A、2B、2Cと名付けます。1年の3つのバンドは1A,1B,1Cとします。
 1Aのコーチ役として2Aを、1Bのコーチ役として2Bを、1Cのコーチ役として2Cを、それぞれ担当させます。
 1Aがアンサンブル練習しているときには2Aのメンバーは全員が練習場所、LL準備室でしたっけ、に一緒に入り込んで、それぞれのプレーヤーにアドバイスをするんです。」

E「コーチできるほどのレベルの2年生はいないんですけどね。」
H「それでも1年間の経験値の差は大きいですから、演奏スキルそのもの以外の部分でも、例えばギターアンプやベースアンプの使い方とか、ドラムだったらスティックの持ち方とかクラッシュシンバルの叩き方とか、気が付いたことは何でも言ってあげればいいと思います。
 1年生にとっても、先輩が居てくれるというだけで心強いし、緊張感も生まれると思います。」

E「それだと部活動のスケジュールを変えなければいけないですね。」
H「1年2年の部員には話をして、これからは火曜と水曜の両日ともに全部のバンド(6バンド)が練習をする体制に変更したい、と提案します。

 1A(コーチ2A)→ 1B(コーチ2B)→ 1C(コーチ2C)→2A(1Aは見学)→2B(1Bは見学)→2C(1Cは見学)
 という順番で練習していきます。

  1バンドあたりの持ち時間は20分にします。換気タイムを5分とりますので全部で2時間30分くらいですかね。午後6時には終わらせて下校させます。」

E「1バンド20分は短くないですか。」
H「長く時間を与えたところで結局、途中で休憩と称してベラベラ雑談したりするだけですので、アンサンブル練習の時間としては20分で十分です。 それに今まで週に1回だった練習が2回に増えますからね。」

E「待機している時間は何をしているのですか。」
H「飲食はダメだけれど、しゃべろうが、宿題をやろうが、自由にしたらいいと思います。待機時間に1年の部員とコーチバンドの2年が話をするようになったらしめたものです。」

E「2年生が責任もってコーチしてくれるでしょうかね。」
H「コーチバンド制を導入してから1か月半後くらいの時期に、部内のミニ発表会を設定します。
 考査の1週間前になったら部活動が停止になるので、その辺りの平日の放課後にLL教室で1年生バンドの演奏を披露させるのです。
 その際3年生の部員に来てもらって、1年生バンドの演奏で一番良かったバンドを投票でも話し合いでもいいから、決めてもらいます。
 一番良かったバンドとそのコーチバンドにはE先生から何かごほうびをあげたらどうでしょう。例えば〇ット〇ットとか〇ントリー〇ウムとかのファミリーパックなら300円くらいの出費で済みます。」

E「入部してバンドを初めて組んで、最初の曲に取り組むときは有効でしょうね。私はコーチなんてできないし、そんな時間も無いですから。」

H「学校によっては、1年生のバンドが結成されたら、最初の楽曲は 課題曲 ということで、どのバンドにも同じ楽曲を練習させる ところもあるようです。
 これだと演奏力の比較がしやすくなりますよね。例えば、空もとべるはず(スピッツ) とかはお勧めです。
 テンポ的にも伴奏的にもリズム的にも、初心者向きでしかも曲自体は有名ですからね。
 最初は 空も飛べるはず からスタートする、という伝統があれば2年生は1年前に自分が経験した曲だから、自信を持って下級生にコーチできるでしょうね。」

E「軽音楽部はほとんどの子が初心者ですから、最初の楽曲の選曲って大事ですよね。それは私でもわかります。
 ボーカルの子が、自分がそのアーチストのファンだから という理由で難易度の高い曲をバンドでやろう、って提案してしまうと、リズムは複雑、リードギターは速弾き、ベースはスラップ なんて曲で、演奏する子は心理的な負担が大きいです。
 上達する実感が得られなくて、練習するのがいやになってきます。」

H「ボーカルの子はカラオケ気分で選曲してきますからね。
 最初はやはりドラムなら、タム回しなんてのは必要なくて、まずはエイトビートを力強く(特にキックとスネア)きちんと叩けるようになってほしいし、ギターの子はコードストロークをきれいにならすことができるようになって欲しいです(マルチエフェクターなんぞ不要)。

 だから、課題曲を1つにしぼる とまではいかなくても、1年生の最初の楽曲はこのなかから選びましょう、みたいな楽曲リストがあればいいかもしれません。
以前は顧問が部員にCDを貸したりしたものですが、今はYOU TUBEでたいていの楽曲は聴けますからね。」

E「先生のお勧めは他にどんな曲がありますか。」
H「いやいや、完全に個人の好みですよ。 
 空も飛べるはず(スピッツ) くらいのテンポでエイトビートの楽曲なら何でもOKです。
  MAGIC MUSIC (木村カエラ)   青空(ブルーハーツ) 夢(ハイロウズ)FUNNY BUNNY (ピロウズ) 翼をください(赤い鳥) 若者たちのすべて(フジファブリック)
 洋楽なら VENUS (ショッキングブルー)雨を見たかい(CCR)等、今思いついただけですが。古い曲ばかりですんません。」

E「私も知らない曲があるので聴いてみます。」

H「ビートルズはどの曲も、実際に歌うのも演奏するのも奥が深くて、難易度は高いですよ。
 あえて初心者向けとして挙げるなら、WE CAN WORK IT OUT でしょうか。」
E「ビートルズはLET IT BE くらいしか私も知りません。その曲も聴いてみます。」

H「火曜と水曜は1年、2年は部員全員が部活動に来るんだ、という流れが定着してきたら、あとはいろいろ期間限定で、短期企画を実践していけば面白くなります。
 夏休みとか春休みの際に、3週間ほどの期間を定めて、特別バンド編成で活動させるのです。」

E「その期間だけの臨時のバンドですか。」
H「1年2年の混成バンドを結成するのです。
担当する楽器パート所属を先に決めておきます。ドラム6名、ベース6名、ギター6名、ボーカル6名、その他キーボードなど数名。ギターは7人以上になってもツインギターのバンドを作ればいいので大丈夫です。
 担当楽器の振り分けが決まったら、現在活動しているバンドメンバー同士はできるだけバラバラになるように留意しながら、1年生と2年生が半々くらいで構成されるバンドを6つ結成します。
くじびきをして決めてもいいでしょう。」
 
E「面白そうな企画ですけど、部員達が乗ってくるでしょうかね。」
H「E先生から2年生の部員に話を持ち掛けて、乗り気じゃないような反応だったら、それ以上は無理には勧めない方がいいかと思います。
その年その年によって部活動の雰囲気も違いますのでね。

 軽音楽部の運営ってクラス運営と同じくらい、デリケートで難しいかじ取りを要求されますからね。無理は禁物です。そういう機運が高まっているなら実践する、という程度で結構ですよ。」

E「期間限定の企画としては他にどんなものがありますか。」

H「例えばビートルズ特集 とか アーチストで限定することもできるでしょうし、バラード限定 とか曲の種類で限定することもできます。
 ジャンルを限定しなくても、曲の途中の間奏のところで必ずメンバー紹介を挿入すること といったリクエストを付け足すだけでも違ってきます。
 メンバー紹介を演奏中に入れること、というのは意外に難しいのですがやってみると楽しいので、与える課題としてはいいと思いますね。」

 あ、そうそう、冬休みごろから3学期あたりで、期間限定ならではのお勧め企画がありますよ。これは学年混成バンドよりもお手軽といえばお手軽です。」(続く)
 
  

 



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