見出し画像

ハッピーマンデーはMANIC MONDAY


1月15日を祝日にしようとする国会議員のグループがあるってニュースになってたけど、国会議員というのは他にやることはないのか。

  自民党の有志議員でつくる「保守団結の会」は、全国各地の祭りや年中行事を保存・継承するため、行事の集中する小正月(こしょうがつ)の1月15日を休日にすることを求める決議をまとめ、文部科学政務官に手渡した。  決議は、少子高齢化や新型コロナウイルスの影響で行事の維持が厳しくなっていると指摘。若者らの参加を促すため、1月15日を「伝統行事継承の日」として休みにすることを提唱。デジタル技術を使った保存事業や国内外への情報発信の強化も訴えているという。

 1月15日って小正月だから日本の伝統を守るために祝日とする?なんなんだその理屈は。
そんなこといいだしたら、年中祝日だらけになっちゃいますわよ。

 日本の伝統行事がうんぬんーーーならハロウィーンの行事は条例で禁止。仮装している若者は軒並み現行犯逮捕せよ。
 4月8日の花まつり(釈迦の誕生日)の日こそ祝日にすべきでしょう。

 もともとね、1月15日は「成人の日」でした。

 これをあの「J党をぶっこわす!」と叫んで人気者になり、結果的には国家そのものをぶっこわした某首相が「アメリカではハッピーマンデーという素晴らしい制度があるんだけど、日本もやるべし」と言い出して、2000年から成人の日は1月の第2週の月曜日、となってしまいました。

 ほかにも敬老の日、スポーツの日 、海の日 がハッピーマンデー対象の祝日となっていて、年間4回は必ず土、日、月の3連休となる時期があります。

「国民よ!3連休を創出してやったぞ、ほれ遊べ、ほれレジャーに繰り出せ、金使え!」という意図らしいのですが これねーー、学校現場の人間の感覚からすると、むしろありがた迷惑なんですよ。

 いや別に「3連休明けの火曜の朝がしんどい」とか、そういうのは週明けの初日は誰でも同じですから、いいんですよ。しじみの錠剤もあるしな。

 それよか時間割のことですよ。

 学校の年間スケジュールの基本は、どこのクラスの生徒にも同じ学習の機会を提供すること、ですから「曜日ごとの時間割はできるだけ均等にする」必要があります。

 学期ごとに成績を出さないといけないですから、理想的には、各学期ごとに(定期考査ごとに)、曜日別の授業実施数が同じ数になるのが望ましい。

 「テスト直前なのに、試験範囲が全然終わってなくて、先生が超スピードでテスト前最後の授業を進めたから困ったよ。」

 という高校時代の経験は、多くの方が覚えておられることでしょう。

校内の「教務部」という分掌所属の先生が一番気をつかわないといけないのはこの部分。

 では仮にあなたがA高校の教員で、分掌は教務部所属で、時間割担当だったとしましょう。
 3月末から4月当初は連日、激務が続きますよ。
 個々の教員の勤務状況や要望を配慮しつつ、試行錯誤の末、全学年全クラスの時間割表が完成しました。

 やったー!

 しかし次に着手しないといけないことが控えています。

 1年間をトータルして、月曜、火曜、水曜、木曜、金曜で、生徒が登校して授業を受ける日(授業日といいます)が均等になっているかを検証する作業です。
 この場合、ベースはあくまで「実際の授業日」であって、体育祭や遠足やらの「行事日」は含めてはいけません。

 すると、ハッピーマンデーのせいもあって、月曜日の登校回数が必ずといっていいほど少ないことがわかります。
あと、金曜の授業日も少なくなりがちです。
 遠足や体育祭などの校内行事は金曜日に設定されがちだからです(行事日といいます)。体力を消耗する行事は、教員にとっては翌日が土曜日のほうがありがたいからです。

 さて、年間で(考査期間を除いて)、実際の授業日の回数を見てみると、月曜が26回、火曜が30回、水曜が30回、木曜が31回、金曜が28回
となっていました。

 あなたならどうしますか?

 平均値は29回になりますから、どの曜日の授業も29回にすることができれば美しいですね。

 木曜日に 金曜日の時間割で1日、月曜日の時間割で1日。
 火曜日に 月曜の時間割で1日。
 水曜日も 月曜の時間割で1日。

 計算上はきれいに収まりましたね。

 しかしこれ、実際は現場の先生は苦労します。

 非常勤教員のスケジュールは曜日固定で決まっているので(複数の学校をかけもちしている先生も多いですから)、「今度の水曜日は月曜日の時間割です」と非常勤講師に連絡しても「もともと水曜は別の学校で授業がありますので、私は無理です。」となります。

 結局やむなく、当該クラスは自習ということになりますが、授業機会をそろえることが当初の目的なのですから、「自習」というのは意味がないですよね。

 あと、時間割変更は、体感的にイレギュラーなスケジュールになるので、生徒の忘れ物が非常に多くなります。
 「先生、今日は水曜の授業だと思ってたので、英語の教科書もノートも全部忘れました」という生徒がそこら中に現れます。
 教科書ノート類は全部学校に置きっぱなし、というズボラな生徒の場合は大丈夫なのですが。

ハッピーマンデーが導入されて以降、学校の授業の「曜日変更」が明らかに増えました。どこの学校でも、とにかく月曜日の授業が足らないのです。

 やはり祝日というのは、固定の日だからこそ意味があるわけで、「私の誕生日は10月の第2月曜です」なんて言う人はいないわけで。

 今回の「保守団結の会」の提案がきっかけになって、逆に「ハッピーマンデー見なおし」の機運が高まったとしたらラッキーなのですが、そうはいかないのでしょうな。

 今日のBGMはバングルスの マニックマンデー か、
ブームタウンラッツの   I don't like Monday  をリクエストしよう。

My70sRadio.com (a MyTjoe company) � 2007-2018

 

 


 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?