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ホームレスへの現金支給の有効性を示したカナダの研究結果に学ぶ

カナダのブリティッシュ・コロンビア州立大学(UBC)の研究者らが、50人のホームレスに7500カナダドル(約80万円)を支給し、追跡調査を行なったという記事が目に止まりました。

この実験には前例があって、アメリカで7500米ドル(約110万円)の現金を無条件で渡したら「ほとんどをアルコールや麻薬、タバコなど」に使ってしまったという調査があります。

なので、カナダの調査でも期待は薄かったようなのですが、結果はまったく違っていたのです。

比較対象として、「現金を受け取らない」ホームレス65人の調査も行ない、出費を比較。

すると、現金を受け取ったホームレスたちは、ホームレスとして過ごす日数が平均99日も短くなり、貯蓄も増えて、シェルターで過ごす時間が減ること(つまり公的資金の支出削減)になったというのです。

この結果をカナダの議会ではユニバーサル・ベーシックインカムとつなげる動きもあるようです。

しかし、社会基盤の整備とロールモデルの明示など、周辺環境を整えることなしに導入しても、結果はアメリカのほうに傾きがちなのではないかという懸念も拭いきれません。

貯蓄から投資へという政府の掛け声に安心して応じることができる環境が整えば、ベーシックインカムも社会基盤の安定のために議論できる可能性が生まれてくるのでは、と思うのですが……。


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