「現実を視よ」を読んで

柳井正さんの、「現実を視よ」を読んでの感想。

結論、とても良い本であった。資本主義に対する柳井さんの理解が書かれており、含蓄のある言葉が各所に散らばっていた。また読み返したい本である。

この本の要旨

私が印象に残ったことは2つ。1つは「資本主義の精神」について。もう1つは、「現実をみる」ことについて。

まず資本主義の精神について。著書は資本主義を以下のように捉えていると解釈した。

・資本主義とは、「もっと豊かになりたい・豊かにしたい」という願望の元、生産者がしのぎを削るシステムである
・生産者がしのぎを削るとは、「より良いものを安価で提供する」ということであり、競争によってみんなが豊かになっていく
・そして、豊かになっていくことで、心も繁栄し、人類を幸福にする

そして、このようなシステムのもと、各人は以下のような態度で望むのが良いとも言っている。

・「もっと豊かになりたい・豊かにしたい」という願望の元、どのようにすれば世の中に価値が提供できるかを考え抜き、実行すること
・もっというと、ビジョンを描き、挑戦すること。
・挑戦をすると失敗はつきものだが、それによって人は成長できる。

つまり、まとめると、「もっと豊かになりたい・豊かにしたい」という願望の元、どのようにすれば世の中に価値が提供できるかを考え抜き、挑戦すること。そうすることで、世の中はより豊かになり、豊かになることで心も繁栄し、挑戦することで個人レベルでは成長もできる(失敗はつきものだが、失敗自体は問題ではない)。

この思想を表す言葉が随所に散りばめられており、例えば

・清貧の思想からは何も生まれてこない。もっと豊かになりたいと思うから、人は創意工夫し、努力を重ね、成長する。
・「顧客が何を求めているか」を追求するのがビジネスの要諦
・その企業が本当に顧客の立場に立って、何が欲しいかを頭がショートして煙が出るくらい考えなければ、ビジネスは成功しない
・資本主義の精神とは、成長を目指して自ら事業を起こし、社会をより良い方向へ変えていくこと
・実力を蓄えながら、世の中にどのような価値を提供できるかを考え抜いて、それが見つかった時は、自分で起業する
・人間の成長は失敗から生まれる。挑戦して失敗し、そこでいろいろなことを学び、再び挑戦する。
・競争を否定し、失敗を恐れて、できるものだけをやろうとすることは、いつまでもその場で足踏みを続けているようなもの。
・自分の仕事を通じて、将来どのような人物になっていきたいのか。自分の会社を通じて、この世にどのようなことを実現していきたいのか。
・資本主義社会では、挑戦すればするほど得。人間の劣化の度合いは、挑戦の数の少なさに比例すると言ってもいい。

もう1つは、「現実をみる」ことの大切さについて。
著者は失敗の本質は、現実を直視できていないことから生まれると言っている。そして、日本はここ20年の間、「成長できていない」という現実から目を背けていたとも言っている。
今の現実を受け止め、志を持って、日本が再び資本主義の精神を取り戻すことが大切だと説いている。

感想

資本主義の精神については、なるほどなと思わされた。自分は、どちらかというと「清貧の発想」よりに最近なりかけていたが、物も心も豊かになる方が良いというのは、たしかにそうだと思う。※ただし持続可能な形で

そして、「世の中にどういう価値提供ができるかを考えること」、それも「ショートして頭から煙が出るほど考えること」はまさに今自分がやろうとしていることだ。
まだ答えは出ていないが、徐々に輪郭は出てきていると感じている。ただこの本を読んで、ちゃんと価値を提供するというのは簡単なことじゃないなと改めて感じて、逆にホッとした。
自分は腰を据えて、ただし行動は素早く、どうしていくかを考えたい。


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