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グランドピアノ センターピン交換|カワイ ディアパソン DIAPASON D-183

こんにちは!

本日はグランドピアノの内部アクションにあるセンターピン交換修理の様子をお見せしたいと思います。
モデルはカワイのディアパソンD-183です。
アップライトピアノではセンターピン交換は割とある作業なのですがグランドピアノではあまりやらないのでぜひ見ていってください✨


センターピンとは

ピアノの鍵盤はてこの原理で動いていて、その鍵盤の奥にはさらに複雑なてこが働いているアクション部分があります。

てこで動くということは支点が必要になるわけですが、アクション部分の支点として用いられているのが金属の細いピン、センターピンになります。

グランドピアノは1つのアクションにつき支点は4カ所あり、センターピンも4本、ピアノの鍵盤は88鍵あるので88×4=352本のセンターピンがアクション部分だけで使われています。
さらにダンパーにもピンが使われているため、グランドピアノ一台でおおよそ420本ものピンが使われている事になります。

修理の目的

センターピンは金属でできていますがアクション部分の本体は木材で出来ています。

木材ですので湿気が多いところにピアノが置かれていると空気中の水分を吸収してしまい結果膨張してしまいます。

木材が膨張することでセンターピンをぎゅっと締め付けてしまい動きが悪くなり、タッチが重く感じる、連打がしにくくなる、さらに悪化すると音が出なくなるなどの不具合が起こります。

そこでピンの太さを調整することで元の動きができるようにします。

ピアノのハンマーの画像
加湿によりハンマーが下がらなくなった状態
こうなると鍵盤も戻らない

アップライトとグランドピアノの修理の違い

冒頭でグランドピアノの方がアップライトピアノよりもセンターピン交換の機会が少ないと書きましたがその主な理由としてはそれぞれの構造の違いにあります。

グランドピアノは奥行きがあり、アクションは横向きで重力によりハンマーが落下します。
アップライトピアノは奥行きがないためアクションの形も縦長になりました。そのため重力だけではハンマーの戻りが悪く、ばねの力も利用してハンマーを戻しています。
このただでさえ戻りにくいアクション構造に湿気による木材膨張が加わることでグランドピアノに比べて修理の頻度があがるというわけです。

アップライトピアノのアクションモデル
アップライトピアノのアクションモデル

センターピン交換のやり方

ではやっていきましょう!

まずは鍵盤とアクションを取り出して

グランドピアノアクションの画像

さらに分解

グランドピアノアクションの画像

それぞれピンの固さを確認します。

分解したアクション部品の画像
分解したアクション部品
分解したハンマー
分解したハンマー
赤マルがピンの刺さっているところ

ちなみにすべての箇所を交換することはあまりなく、だいたいハンマーピンを交換することが多いかなという印象です。

交換するところのピンを外し元のピンの太さを確認します。

ハンマーセンターピンを外した画像’
ハンマーセンターピンを外す

ピアノで使われているセンターピンの直径は1.2mm~1.5mm。

ピンの太さを確認したら新しいピンが入るようにリーマーで穴の大きさを調整していきます。
私は作業効率向上のためブッシングリーマーの他、ピンバイスにセンターピンを固定したものも使っています。

ピンバイスとブッシングリーマーの画像
タミヤのピンバイス(上)とやすりがついたブッシングリーマー(下)

ゆるくなりすぎずきつくなりすぎない固さになるように調整します。
滑りが悪い場合は黒鉛を塗布します。
そんでもってピンを交換したら余ったところをカットし必要ならやすりがけをして完成です。

グランドピアノアクションの画像


まとめ

センターピン交換はピアノが置いてある環境によっては必要になることがしばしばあります。

加湿で気が膨らむ分にはこのように交換すれば良いのですが、加乾燥になると木が割れてしまうこともあるので湿度管理には十分ご注意ください><
人間と同じで約65%前後が良いです☆彡


最後までご覧いただきありがとうございました!

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ではまた!

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