試験直前に3回叱られた話ーキャリコン2級受検記録 vol.32

「キャリコン試験前は自己効力があがるように支援しなさい」
国家資格の試験を支援してるとそんなことを言われます。

しかし、2級受検のとき、私は3回叱られました。

1度めは12月の末でした。
当時私は絶好調で天狗になっていました。
どんな相談者役でも大丈夫。
自分ならなんとかできる。
そんな風に思っていました。
無理もありません。
初めての勉強会でも受講者の方や先生から言われるのです。
「山本さんみたいにやりたい」「山本さんみたいにやってください」と。

しかし、そんな私を叱ってくれた方がいました。
私が勝手に「キャリコンの母」と読んでいる一級技能士の先生です。

完璧なロープレをした、と思った時に
この先生から言われたのです。
「ダメ。山本さんのいいところがなくなっている」と。
一瞬わからなくなりました。
あんなに絶賛されている自分のロープレが悪いわけがない。
とも思いました。
しかし、次の一言で納得したのです。
「相談者の発言を受け止めていない。すぐに質問をするから、相談者が考える時間がなくなってる。だから、表面的には解決しているように見えて
何も進んでいない」

たしかにその時の私は、テンポよく進めていました。
相談者の言語を捉え、すぐに質問が頭に浮かぶ感じだったのです。

それが知らず知らず、浅い展開になっていたのです。

ロープレの録画を何度も見直し、いいときと早すぎるところの違いを
確認し、私は、修正をしました。

受け止めの感覚がつかめたのは一週間ほど前。
で、ここから私は最後の仕上げに入ったのです。

試験前、どうしても越えたい荒波がありました。
これさえ越えれば、合格できるような気がしました。

古巣のロープレ会。2回前の試験でお世話になった講座の練習会です。
1日に5ケースの練習をする会でした。

3回目の受検である今回は、この講座は初めての出席です。
「他で学ぶな。ここに集中しなさい」と言われる講座に
あえて参加する。
これぞ、飛んで火にいる夏の虫です。
でも、私は参加しました。
ここでひどく叱られておけば
それ以上のことは試験本番では起こらないだろう。
勇気をだして参加しました。

案の定、罵声を浴びせられました。
ロープレ開始2分で。
その当時私は、こんな風に面談を進めていました。
「だいたい10時40分くらい(今の時間プラス20分)
までお話しを聴いていきますので
よろしくお願いいたします」
針の時計が読めないので、あえて、相談者に時間を言うことで
自分も意識しておこうという作戦でした。

「なにやってんの!」オンラインでも厳しい声が飛びます。
「時間を言うなんて相談者に失礼だし、私はそんなこと教えていない。
だから、ほかで練習するな、と言ったの」と。
そこから先はロープレどころではなく、厳しい言葉が続きました。

しかし、私は冷静でした。
謝りはしたものの、まったく自分のやり方を変えるつもりは
ありませんでした。
セリフではない。言い方にどんな感情をこめるのか、だから。
時間を言ったとしても、それが相談者に不快でない言い方をすれば
いいだけのこと。それこそが非言語コミュニケーションだと。

無理をしていたわけではありません。
冷静に次のロープレをすることができました。
その証拠に、相談者役の方をしっかり受け止めることで
相談者の方が号泣する場面がありました。

結果的に、この練習会で自信はさらにつきました。

しかし、これだけでは物足りなかったのです。

さらに、この練習会を主宰する先生にマンツーマンの練習を
お願いしました。
この先生に認めてもらえば、さらに自信がつく、と思ったのです。
叱られた後ではありますが
再度お願いを受けてくださいました。

ご自身のスタイルから離れた受検生を受け入れてくださったのは
ありがたいことだ、と思いつつ、またしても叱られました。

けれど私の自信は揺らぐことはありませんでした。

「試験前はなるべく褒めて、自信を持たせて」
と言いますが、それは人によると思います。

2回目の不合格のときは、直前にやさしい相談者役と練習したことが
仇になりました。
3回目はとても厳しい言葉をもらいましたが
全然落ち込みませんでした。

ここまで徹底的にやることをやってきた、という自負があったからだと
思います。

社会人の勉強は時間との戦いです。
十分な時間をとることは難しいのですが
やはりやりきれば、自信にはなります。

自信があれば、厳しいフィードバックにも耐えられるのです。

そして、厳しいフィードバックに耐えたからこそ
自分はあたたかく、ご本人の自信になるような
フィードバックを心がけています。

2級試験は合格までに3回を費やしましたが
やりきる覚悟を教えてくれた試験だったように思いました。

この自信を胸に臨んだ本番試験。
試験官の皆さんが身をのりだすようにロープレを見てくださったこと
途中の関わりで何度もうなずいてくださったこと
口頭試問も終始笑顔だったことが印象に残っています。

相談者役の方も試験官の方々も人です。
人の心が動くような支援をしていくことが重要だなと思いながら
帰宅したのを覚えています。

キャリコン2級技能士、私のように取得に時間のかかる方もいれば
1回で合格する方もいます。

それぞれ考え方があると思いますが、私はとても勉強になりました。
どこに行っても、誰を支援するときも
納得性の高い面談ができるように成長できたと思います。

この記録がこれから2級を受検する方に少しでもお役に立てれば
と思っています。

以上、1年近くかかりましたが
2級受検記録でした。





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