まつぼっくり

note Advent Calendar12月8日 クリスマスの準備

note  Advent Calendar】様参加作品です。

7日:佐原チハルさん≪|≫Ma Deva Shaktiさん:9日

皆様に楽しんでいただければ幸いです

クリスマスの準備

寒い寒い冬のある日。
小さな女の子は真っ白な森の中をてくてくと歩いていました。

てくてくてくてく

時折立ち止まって、何かを拾っています。

「何をしているの?」

振り返ると女の子より少し年上の子が不思議そうにのぞきこんでいました。
「ぼくはちらしっていうんだ。何をしているの?」
「松ぼっくりをひろっているんです」
女の子はちらしにそう言って持っていた籠にたくさん拾った松ぼっくりを見せました。


「たくさんだね」
「たくさんです」
「これで何をするの?」
「クリスマスツリーをつくるんです」
女の子が笑うとちらしは不思議そうに首を傾げます。
「ツリーはおっきいよ」

「それに、モミの木ならたくさんあるじゃないか」
ちらしの言葉に女の子は首を横に振ります。
たしかに、ここにはたくさんの木があります。モミの木だって、たくさんあります。
女の子の済む街でも大きなモミの木にみんなで飾り付けをして、クリスマスを祝うのです。
「おっきなツリーはキラキラしてて綺麗です。でも、離れていたり、近くで見れない人は寂しくなるです」
だから小さなツリーを作ってみんなに配ろうと女の子は考えたのです。
それを聞いたちらしはいい考えだねと女の子に賛成しました。
「僕の手伝っていいかな」
「もちろんです」
二人でたくさん松ぼっくりを拾いました。

家に帰って、二人で松ぼっくりを飾り付けます。
一緒に拾った小さな木の実や枯れて落ちた葉っぱ、宝物のきらきら光る石も一緒です。
たくさんたくさん作って、皆のおうちに配りました。
足が悪くなって外に出れないおばあさんも、風邪をひいて飾り付けに参加できなかったお友達も、みんな喜んでくれました。
「よかったね」
「みんな、喜んでくれてうれしいです」
二人は一緒に笑いました。
そうして、お互いに作ったクリスマスツリーを交換しました。

二人とも心がぽかぽか。幸せです。
二人はにっこり笑いました。

ひらひらと白い雪が降っています。

それでもこころはぽっかぽか。

楽しいクリスマスが始まります。


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