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【物語の現場029】八百屋の若夫婦と共に見た隅田川沿いの景色(写真)

「狩野岑信」の第二十四章で、吉之助と竜之進は大久保家の奥様の魔手から守るため、おつると夫の新吉を甲府藩の浜屋敷に避難させます。

 四人と気絶中の一人は、鉄砲洲の裏店から隅田川沿いに浜屋敷へ向かいます。写真は、隅田川の河口に架かる勝鬨橋の上から見た景色(東京都中央区、2023.11.8撮影)。

 右側に写っている青い重機の後ろに広がる森のようなところが浜屋敷(現・浜離宮恩賜庭園)です。
 物語では夜ですし、当時、この辺りには尾張藩の蔵屋敷などが建ち並んでいたので、その方向については今よりむしろ見通しが悪かったもしれません。

 なお、勝鬨橋は、それらしい名前ですが、江戸時代にはありません。明治時代、日露戦争の旅順での戦勝を記念して「勝鬨の渡し」が設けられ、その後、昭和初期、皇紀2600年の記念事業の一環として橋が架けられました。

 一方、写真左下の小窓は、波除稲荷神社。

 物語の約四十年前の万治年間(十七世紀中頃)、築地一帯の埋め立て工事が進む中、海に漂っていた稲荷明神の像を拾い上げてここに祀ったところ、波浪が静まり工事を無事に終えることが出来た、とのこと。

 残念ながら、御祭神は召喚されたエルフではありません。しかし、この日も聖地巡礼と思しき方の姿が。私もそのアニメのファンなので、心の中でハイタッチしておきました。旅する魔法使いもいいけど、引き籠りエルフもまた愛おしい。続編お待ちしています。

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