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【物語の現場050】江戸城松之大廊下・探幽の松のイメージ(画像)

「狩野岑信」の第六十二章で、松之大廊下での刃傷事件について書きました。初登城の吉之助が偶然目撃した形にしました。

 さて、その江戸城本丸御殿の松之大廊下ですが、昔の時代劇などでは中央に巨大な松が一本描かれているの一般的でした。

 狩野派と言えば狩野永徳の巨木表現。狩野探幽も、その完成形とも言える京都二条城大広間の「松鷹図襖」を描いています。
 従って、松之大廊下が松の巨木で飾られていたとしても不思議はない。しかし、近年の美術研究の成果として、そこに描かれていたのは、威容を誇る巨木ではなく、瀟洒な松の並木であったことが分かっています。

 探幽の指揮で描かれた松之大廊下の松は、江戸後期の天保時代まで残っていました。それが火事で失われ、当時の御用絵師筆頭である木挽町狩野家(元の竹川町狩野家)の九代目・晴川院養信の指揮により復旧されます。
 晴川院は非常に几帳面な男で、彼の遺した資料から、探幽時代の松も巨木ではなく松並木であったことが判明したのです。

 画像は探幽の松のイメージ。

 手持ちの作品から探幽の薫陶も受けていた清原雪信の「紫式部石山寺観月図」の一部分を切り抜き加工してみました。あくまで参考です。


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