TNGあらすじ&主要人物紹介

・はじめに
 

 今回の記事では、TNG(スター・トレックThe Next Generationの略)のあらすじと、登場するレギュラーメンバーの紹介をしていこう。
 多くの人種を採用することで多様性を強調した初代スター・トレックのキャスティングから、TNGでは更に一歩踏み込んだ配役がなされている。
 地球人どころか有機生命体ですらないアンドロイド、かつての仇敵であったクリンゴン人、重要ポストに就き辣腕を奮うパワフルな女性クルー……様々な人が活躍できる明るい未来を描く事で、現実世界もかくあるべしと言うメッセージ性を視聴者に伝える狙いがそこからは見て取れる。

・あらすじ


 時は24世紀、初代スター・トレックの時代からおよそ80年後。かつての仇敵クリンゴンとの和平こそ実現したが、惑星連邦は未だ残る未開地域の探索や、ロミュランを始めとする不穏な動きを見せる種族との外交に追われていた。
 そんな中、ピカード大佐が指揮する宇宙艦エンタープライズDは、様々な任務のため宇宙を飛び回る事となる。個性豊かなクルー達と絆を深めつつ、我等がピカード艦長は今日も未開のフロンティアへと挑んで行く。

・作品の見どころ
 

 何を隠そう、スター・トレックと言うシリーズの地位を不動のものとしたのがこの作品である。実は第2シーズン中期あたりまでは、初代を踏襲した無難な作りと言った調子で、本国でもさほどの人気は無かった。
 しかし第3シーズンに入ったあたりから、脚本の完成度が目に見えて向上し始め、加速度的に面白さを増していった。スター・トレックと言えばどの作品か、と言う疑問を投げかけられた際、この作品を代表作に挙げるトレッキーも多いだろう。本編終了およそ30年後に続編が作成されている事からも、その圧倒的人気が見て取れる。
  なんと言っても見どころは、シリーズの中でも飛び抜けて自由で奔放なその作風だろう。設定上の制約も最も少ない今作は、とにかく様々なシチュエーションやロケーションで物語が進行していく。
 未開惑星を探索したかと思えば、次の週は地球でのセレモニーの回だったり、贅沢にも丸1話クルーの休暇の様子に費やしたりもする。後の作品に繋がる強大な敵の登場や、新たなテクノロジーの発見など見逃せない新要素も満載である。

・登場人物紹介

ジャンリュック・ピカード艦長

 階級は大佐。作中設定59歳、数々の功績を挙げてきたベテランの老指揮官。アールグレイの紅茶とシェイクスピア歌劇を愛してやまない紳士。『アールグレイ、ホットで』はお決まりの台詞。
 卓越した指揮能力を持ち、常に物腰柔らかで冷静沈着、部下への気配りを欠かさない理想の上司。特に外交的手腕に優れ、異種族とのデリケートな交渉や未知の種族とのファーストコンタクトも見事にこなしてみせる。一方で、内に誰よりも熱い開拓精神を秘めた熱血漢の側面も併せ持つ。
 そもそも数々の功績を挙げたベテランにも関わらずいまだ大佐なのは、現場を離れたくなくて提督やアカデミーの名誉職への栄転を蹴っているからである。
 そんな艦長も若い頃はかなりのDQ……荒くれ者だったようで、バーの喧嘩で心臓を刺され死にかけている。そのため今も人工心臓である、時折必要なメンテナンスがとてつもなく面倒臭い。老境に入り落ち着いた後は目立った欠点のない人物だが、子供の相手が苦手と言う意外な弱点も。
 頼れる大ベテランでありなから、未知の史跡や自然現象にはルーキーのように目を輝かせる瑞々しい感性も持つ、老いてなお盛んな皆に愛される艦長である。

ウィリアム・ライカー副長

 階級は中佐。ワイルドな風貌のナイスミドル、頼れるみんなの兄貴分的な存在。指揮においては慎重派で堅実なピカード艦長と比べて、大胆でアグレッシブな作戦を好む傾向にある。特にここ一番での博打や相手を欺くブラフに長けており、彼の作戦が艦を救うことも多い。とにかく精神的にタフであり、喧嘩を売られようが睨み付けられようが物怖じしない。
 プライベートにおいては階級関係なく様々なクルーと遊ぶ事が多く、特にポーカーに興じるシーンが多い。基本的に実直で誠実な人柄だが、美人に目がなく結構な女好きなのが玉に瑕。しかし艦長以下、恋愛に積極的なキャラクターが少ないので、男女のエピソードを一手に引き受けている側面も。
 総じて、艦長に足りない部分を補う、別方向の魅力に溢れた理想的な副長と言える。

データ少佐

 天才科学者スン博士によって作られた、艦隊初のアンドロイド士官。真っ白な肌と金色の瞳が特徴的。押しも押されもせぬ超人気キャラ、SFではド定番の『人間性』の獲得を夢見るアンドロイドであり、TNGそのものが彼の成長物語でもある。
 文字通りの人間離れした頭脳と思考能力の持ち主であり、どんな状況でも膨大な知識に裏打ちされた冷静な対処が可能。毒物やウイルス、精神攻撃が効かないのはもちろん、身体能力も人間を遥かに凌駕しており、危険な上陸任務でも非凡な活躍ぶりを発揮する。
 任務の上では誰もが認め頼れる超人だが、人間性を学ぶため奮闘する姿はとても微笑ましく、まるで子供のような無邪気さすら感じさせる。
 人間への勘違いや思い込みから空回ったり周囲を困惑させることも多いが、次第に周囲もデータを理解し、友情を深めていく。回を重ねるごとに深みを増し、魅力的になっていく彼のキャラクター性からは目が離せない。

ジョーディ・ラフォージ少佐

 機関部主任(最序盤だけパイロット)を務めるエンジニア。先天的な病気により視力を失っているが、多機能バイザーによって問題ない……と言うか、常人よりも遥かに『視える』。凄いぜ未来技術。
 若くして機関部を任された超一流のエンジニアであり、艦の心臓部を支える縁の下の力持ち。非常に勤勉で実直な人柄だが、同時にとても陽気で社交的な性格でもあり、誰からも好かれるタイプ。面倒見が良く、問題を抱えた部下を気にかける姿を良く見る。友達にも上司にも欲しい男。
 データを初期の頃から気にかけており、一番最初にありのままの彼の個性を受け入れた人物でもある。『頑張るデータとそれを手伝うラフォージ』のコンビは、この作品の名物と言って差し支えないだろう。技術的な面からもサポート出来るため、単なる親友以上の存在と言える。
 なお、完璧超人に見えて異性との付き合いが大の苦手。本人は無自覚だが、割と仕事人間なので話が続かない模様。困り果てて周囲に助言を求める微笑ましい光景が幾度か見られるだろう。

ウォーフ中尉

 戦術士官、後に保安部主任も務める。滅多に笑うことのない厳しい顔立ちの、連邦士官では珍しいクリンゴン人。幼少期に両親をロミュランによる虐殺で亡くしており、地球人の連邦士官により育てられた。
 クリンゴンらしい名誉を重んじ好戦的な性格であるが、それ以上に謹厳実直でド真面目であり、良くも悪くも軍人っぽい気質である。
 不穏な動きをする未知の異種族と遭遇した際の
ウォーフ『艦長!先制攻撃しましょう!』
ピカード『待てウォーフ!』
 のやり取りはテンプレ。
 単純明快なクリンゴン人……かと思いきや、意外と気難しく繊細な一面が垣間見えることも。そもそもの生い立ちが複雑な上、実の親の家はクリンゴン政府の権力闘争に巻き込まれてしまっており、ウォーフ自身もクリンゴン社会からは迫害される立場である。
 本人は艦隊士官であることにもクリンゴン人であることにも誇りを持っているが、クリンゴン社会から爪弾きにされる自分の立場に苦悩している。
 エンタープライズでの任務の中で、見事な指揮能力と自分に欠ける冷静さを持つピカード艦長、クリンゴン人にも負けない勇敢さとガッツを持つライカー副長、2人の上官への尊敬の念を強めていく。
 特にライカー副長とは性格や趣味もウマが合うためか、プライベートでも親しくする姿が良く見られる。2人の男と男の熱い友情は、見ていて清々しいものを感じることだろう。

ディアナ・トロイ

 肩書はカウンセラー、階級は少佐。抜群のプロポーションと美貌を持つ、ベタゾイド人と地球人のハーフ。ベタゾイドは強力なテレパシー能力を持つ種族で、多くのヒューマノイド生命体はもとより、時には原始的な生物の思考すらも読み取る事が可能である。ディアナはハーフなため純粋なベタゾイド程の力は無いが、それでも大抵のヒューマノイドの嘘や敵意は感じ取れる。
 相手の発言の真意を探り、本心を聞き出し解決に導く一流のカウンセラー。ベタゾイドとしての能力を抜きにしても、聞き上手でどんな相手にも優しく接する性格なためクルーからの信頼は篤い。しかし怒らせるとなかなか恐い一面も……笑顔で怒るタイプ。
 カウンセラーの職務以外にも、敵対種族や未知の種族と遭遇した際には彼女の能力が生命線になることも多い。多方面に活躍しており、船には欠かせない人材。
 実はライカー副長と昔恋仲だったが、破局している。現在はお互いに折り合いをつけ、良き友人として付き合っている模様。
 本人は至って常識人で清楚だが、破天荒・身勝手・自由奔放を極めた台風のような母がおり、いつも手を焼いている。言っては悪いが欠片も似ていない……そして、似なくて良かった。

ビバリー・クラッシャー

 船の医療主任、階級は中佐。ブロンドの髪と知的な美貌が印象的な、シリーズ初の女性船医。今作におけるいわゆる『強い女性』を象徴するような人物で、バイタリティ溢れるアグレッシブな性格。誰にでも物怖じせず発言するし、揺るがぬ医師としての信念を胸に秘めている。ピカード艦長とは旧知の仲であり、良き相談相手として活躍することも多い。
 過去に艦隊士官の夫を亡くしており、遺された息子のウェスリーを女手1つで育てている。才能溢れるウェスリーを誇りに思う反面、父のこともあってか危険な目に遭わせることを恐れ苦悩することも多い。
 中佐と言う階級は医療主任としては高く、実は第4位の指揮権を持つ。人員不足時や危機的状況においては、指揮権を発動し的確にクルーを統率するドクターの姿が見られるだろう。

ウェスリー・クラッシャー

 幼少期からエンタープライズDで育った青年、ビバリーの1人息子。非常に頭の回転が速く、知的好奇心も人1倍、将来を期待されている艦のホープ。本人も艦隊士官を目指しており、ピカード艦長は憧れの人……なのだが、当の艦長は子供が大の苦手なため、当初は非常にぎこち無い関係だった。
 しかしウェスリーの才能と熱意を感じた艦長は、彼を臨時少尉に任命。アカデミー入学よりも前に連邦の最新鋭艦で任務に当たるという破格の待遇により、目覚ましい成長を遂げていく。
 努力家かつ才能にも恵まれているが、感性はごく普通の青年と変わらない。将来の進路に迷ったり、恋愛で迷ったり、教育ママなビバリーとの関係に悩んだりする。そんな悩める青年を、年長者のライカーやラフォージが親戚のオジサンのような立ち位置で手助けしていく構図は必見。
 長い航海の中で様々な経験を糧に成長していく、レギュラー陣の中でも特に『成長』に焦点を当てたキャラクターだと言えるだろう。


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