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お前がヘヴィファイトを始めるべき理由

 プロフィール欄にも書いてある通り、俺は「ヘヴィファイト」という世界一紳士的なスポーツを嗜んでいる。諸事情により今は開店休業中だが、それは一旦置いておく。
 「ヘヴィファイト」とは何か――それについては、先人によるたいへん分かりやすい解説がすでにあるので、俺はわざわざ改めて書いたりはしない。それを書く時間も、そしてお前に読ませる時間もないからだ。
 まずは下のリンク先を読んでくれ。

甲冑バトルと愉快な仲間たち(日本編)
甲冑を着て模擬戦を行う。アーマーコンバット(ヘヴィファイト)にというスポーツについて

 読んだか? 読んだな? なら話を進めよう。
 俺が書こうと思ったのは、ヘヴィファイトに興味はあるものの自分に言い訳をして始めないヤツが世の中にはアホほどいるからだ。やりたくないヤツは別にいい、やるヤツは放っておいてもいずれ自分から来る。問題はやりたいのに、何だかんだと理由をつけて二の足を踏んでいるヤツだ。
 俺はパソコンの前に座っている時間のほとんどを「ヘヴィファイト」「暗黒学園」のエゴサーチに費やしている(もちろん仕事中もだ)。お前たちに「ヘヴィファイトを始めたいけど、できない理由」があるのは十分承知している。だが取るに足らない理由がお前たちの足を止めているのなら、それはお前にとっても、ヘヴィファイト界の今後100年の歴史にとっても損失にもなる。
 俺もまだまだ初めて日が浅い、約2年のヒヨッコだ。だからお前に自信を持って伝えられることは非常に少ない。もっと詳しい人は大勢いる。
 だが「まだヘヴィファイトを初めていない」お前の気持ちは、先人よりも分かるつもりだ。ここに記すのは、俺が独自にエゴサーチ等で調査した「ヘヴィファイトやりたいけど二の足を踏むヤツの理由ランキング」上位三種だ。もしお前の悩みが解消されて、気が向いたら、東板橋体育館か北区中央公園で待っている。そして剣を取れ。

●お金がない。
 この世には「今鎧を揃えようとすると云十万円もするんだぜ!」などと、まるで分かったような呟きでファボやRTを乞う自己顕示欲の権化がアホほどいる。そういうやつの口には汗が染み込んだまま洗ってないギャンベゾンを詰め込んでやりたい。
 これは非常にナンセンスな言い訳その一だ。確かに鎧を一式揃えようとすると、必要な経費は天井知らずとなる。だが上限はなくとも下限はある。
暗黒学園では参加費(会場となる体育館の使用料を参加者で頭割りする。だいたい500円以内)とは別にレンタル料(1回500円)を払えば練習用の鎧(主にプラスチック製)を借りられる。見た目はフレンドポイントガチャで入手できる装備一式という趣きだが、ヘヴィファイトは鎧の見た目ではなくラタンで殴り合う競技なので何の問題もない。

 写真左が暗黒学園で使用しているレンタルアーマーだ(手前も個人所有だがほぼ同じものだ)。胴体に赤いガムテープで刻まれた「暗」の文字が、「一刻も早く自分の鎧を手に入れたい」という気持ちを加速させる。
(12月27日追記:弊学園のレンタルアーマーには足鎧がありませんが、指導には経験者が当たるなど安全には十分配慮しておりますので御留意下さい。我々のモットーは「安全・親切・丁寧・仲良し」です)
(12月27日追記:暗黒学園のモットーですが、正しくは「安全・迅速・丁寧・仲良し」でした。お詫びして訂正いたします)

 もしお前がレンタルアーマーではなく自分だけの鎧を入手したくなっても、すぐに全身鎧を発注する必要はない。この業界には「買ってはみたものの体に合わず、なんとなく持て余している鎧」というのが多く存在するらしい。そういう中古の鎧を根気よく狙っていけば、少なくともお前が恐れているほどの値段はかからないだろう。
 まずは相談してみろ。暗黒学園のファイター達はきっとお前を助けてくれる。

●体力がない。

 ナンセンスな言い訳その二だ。実を言うと俺もまだない。
 学生時代は万年帰宅部、短距離走も長距離走も苦手だった。今もだ。腕相撲でも誰かに勝ったことはない。だが学生時代、俺が勝てなかったヤツのなかで鎧を着た経験があるのは誰もいない。だから鎧を着て戦えば俺が一番強い。必要なのは体力ではなく、技術だからだ。
 最初はプラスチック製の鎧ですら、着ると満足に動けないだろう。まともにスポーツの経験がなければ、経験したことのない筋肉痛が翌日のお前を襲うかもしれない。
 だが動けなければ、筋肉痛になれば、お前はヘヴィファイトを楽しめないのか? 俺は違った。ヘヴィファイトを楽しむのに必要なのは体力ではない。疲労が、筋肉痛があると知っていても通い続けようとするガッツだ。それがあればお前は技術を磨き、剣を振り続けることができるだろう。楽しんで続けていれば、いつしか鎧の重さもマシになっているはずだ。

 始めて鎧を着た時の俺の姿(写真右)だ。ここから10分もしないうちに剣を持ちあげられないほどバテた記憶がある。今なら20分はもつ。
(12月27日追記:こちらの写真で着用しているのはレンタルアーマーではなく他の方からお借りしたものですが、先に挙げた写真の追記同様、安全には配慮しております)

●近くでやっていない。
 これに関してはすまない、どうしようもない。
 いかんせん競技人口がオリンピック競技種目の中でも特に少ない近代五種(33人)並みだから、首都圏をはじめ近畿の一部分しか参加する機会がない。だが我々がヘヴィファイトを続けることで競技人口が増加し、一都一道二府四十三県にその萌芽が伝播することを願い、日々活動を続けている。
 逆に考えれば、今始めることさえできればどれだけヘボでも鎧さえ手に入れば国内で少なくとも100位以内には入れるということだ。お前は今から野球で100位以内のプレイヤーになれるか? なれないだろう。なりたいならバットより剣を取るべきだ。

 以上が、俺が今回言いたかったことだ。
 色々言ったが、別にお前にヘヴィファイトを強制するつもりはない。世の中にはもっと魅力的で、金も体力も使わず、ためになる趣味がきっとあるだろう。この趣味のメリットといえば、戦ったあとのご飯がとても美味いことと、合法的に後腐れなく人を思いっきりブン殴れるということぐらいだ。
 だがもしお前の中に浪漫の火が灯っているのなら、その灯がお前に戦いを望むのなら、我々は待っている。

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棺桶六
甲冑積立金にします。